全教静岡の春闘要求に
県教育長が回答 その1
4月28日静岡県教育長は、全教静岡の春闘要求(20に重点項目)に対して回答し、短時間ですが組合との交渉の場を持ちました。
回答の内容などについて、数回にわたって報告します。ご意見をください。
重点 1 教育委員会の自主性とコロナ禍対策
教育委員会の政治的中立と自主性の姿勢を堅持すること。とりわけ新型コロナウイルス感染・まん延防止の対策については、法的・疫学的な根拠に基づいて自主的教育的に判断すること。
県教育長回答 市町立学校における新型コロナウイルンス感染症対策につきましては
原則として各市町教育委員会が行うものでありますが、県教育委員会といたし
ましても、必要に応じて支援してまいります。
→ なぜこのような要求を例年続けているかというと、戦前の教訓や戦後憲法の理念から、政府・政治の圧力・介入に対して、教育委員会は盾になって学校教育を守る任務があることを伝えたいからです。
首相の一方的な休校の「要請」を安易に受け入れたことなどは十分に反省すべきことです。思い出してください。2月27日の木曜日の夕方、教育委員会も含めほとんどの教職員は、テレビ・ラジオ・ネットのニュースで、「首相の休校の要請」を知ることになりました。定時退庁が当たり前の校長や教育委員会の課長は、帰宅後に知った場合も多かったのではないでしょうか。
翌日の28日の金曜日にはいくつかの通知が発出され、決定もされています。いつ、だれが、どのようにして提案し、検討・議論し、修正し、方針を決定したのでしょうか。29日は土曜日、3月1日は日曜日、そして2日月曜日や3日火曜日には臨時休業が決まっています。その過程で、様々なお知らせや報告が出てきました。
よくブラック企業と取引先間では、金曜日夕方受注、月曜日納入なって当たり前とか言われます。ひどい話ですが、教育委員会、学校でも同様なことが行われました。
「オンライン授業」の事例も似たようなものです。
学校現場の混乱は、想像できますよね。
コロナ禍の対策では、濃厚感染の場にいる教職員は感染した場合に公務災害の対象になる(地方公務員災害補償基金)との周知を求めてい
また、静岡市教委の「からだとこころのアンケート」(7月と10月実施)によって、「よく眠れる」54~65%(つまり「眠れない」46%~35%)、「元気」76%~82%(つまり「元気でない」18%~24%)などの子どもたちの実態が明らかになりました。このような子どもたちの体とこころ、生活にも目を向けてほしいと、県教委に訴えています。
静岡・浜松両政令市と静岡県について、教育条件・教職員の勤務条件等について改善を図り、格差がないよう引き続き努力すること。
県教育長回答 政令市との連携につきましては、昨年度に引き続き、しずおか義務教育
連絡会を実施し、労働条件等の諸課題についても協議してまいります。
→ 政令市権限移譲によって、同じ静岡県内の教育事情に格差が生じています。「静岡式35人学級」の「25人下限」については静岡県が先んじて、静岡市がようやく実施しましたが、浜松市はまだです。
移譲前の3月まで「不妊治療休暇」を取ることができていた方が、政令市になったら年休となった例もあります。 賃金の面では、給料の特例措置や地域手当に差が出ています。 人事評価の賃金リンクでも、3者でまちまちな対応をされています。
引き続き是正を求めていきます。
重点 3 免許外教員の解消
免許外教員の解消に引き続き努めるとともに、解消の見通しを明らかにすること。
県教育長回答 免許外教員につきましては、原則10学級以下の小規模校に非常勤講師を
配置したところ、令和元年度の125件から令和2年度は117件と8件減少いた
しました。今後もその解消のため、非常勤講師の増員及び必要な教科の教
員の採用に努めてまいります。
→ 昨年度の静岡県内の免許外教員の数は、表のようです。
|
国語 |
社会 |
数学 |
理科 |
音楽 |
美術 |
保体 |
技術 |
家庭 |
英語 |
合計 |
20 |
9 |
16 |
22 |
10 |
2 |
17 |
25 |
43 |
52 |
10 |
206 |
専門でない教員に1年どころか、3年間教えてもらうという生徒も出ていました。
もちろん、免許外教科を教えることになる教員の負担は明らかです。その教員をフォローする専門の教員も負担です。非常勤講師を増やして措置してきたことは前進です。
しかし、それでいいとは到底言えません。
重点 4 学テやめて
全国学テの2021年度実施をやめるよう国に働きかけること。少なくとも「毎年・悉皆」で行うことに反対すること。
県教育長回答 全国学力・学習状況調査につきましては、その目的は、「学校における
児童生徒への教育指導の充実と課題を検証し、その改善を図る」ことであ
ります。このことを踏まえ、市町の指導主事が関わる学力向上連絡協議会
において、学校現場の情報を共有するとともに、その中で出された課題に
つきましては、文部科学省に伝えてまいります。
→ 文科省に伝えているのは、残念ながら「中止」ではありません。
回答にもあるように、県教委は全国学テが授業改善に役立っているという立場です。「過去問」や似たような問題を練習する、前学年の後半に練習や宿題が増える、解答用紙を別にする、テストは最後までとにかくやるなどが中心の「授業改善」ではないでしょうか。
真に「学校現場の情報と課題を共有」してもらいたいと要求しています。
以下、「春闘要求に県教育長が回答」について 随時報告していきます。
県教育長交渉で出された2つのこと
どう思いますか?
組合の要求に対する回答とともに、
県教委から次の2つの提案がありました。
1,定年延長については国の動向を見ながら、組合とも情報の共有・協議をする。
2,教職員の児童生徒に対するわいせつ行為について「SNSの私的なやり取りが懲戒処分の対象となり得ることを明確化」する。このことについても、組合と協議する。