2023年度最低賃金の改正決定に対する異議申出
全教静岡(全静岡教職員組合)は、静岡労働局長と静岡地方最低賃金審議会会長に対し、次の「異議申出書」を提出しました。静岡県評なども多数の組合が提出しています。
なぜ?
2023年度最低賃金の改正決定に対する異議申出書
標記のように、今回の最低賃金の改正決定に関して異議を申し出ます。再度のご審議をお願いします。
理由は以下のとおりです。
第1に、憲法25条と生計費の観点から、納得し安心のできる最低賃金とすべきだと考えます。
今回の答申額は目安通りの40円です。引き上げには賛成です。しかしこのまま引き上げられたとしても984円です。全労連や静岡県評の調査では、静岡県だけでなく全国どこでも1500円以上でないと安心した生活ができないという結果が出ています。低すぎます。
半数以上の県が中央の目安額を上回ったことにも注目しています。ガソリン価格190円台などの物価高騰に賃金上昇が追い付かないことに考慮したと思われます。
47都道府県中、24の県が、中央最賃目安額を超えた答申を出しています。
また地域間格差をこれ以上広げられないという危機感なども押し上げにつながっていると思います。人口流出が深刻な問題となっている静岡県でも、その危機感は共有すべきではないでしょうか。納得も安心もできない額です。
7月26日総務省の発表した人口動態調査では、静岡県は全国3位の人口減少数でした。
第2に、全国どこでも同じ時間、同じ仕事をしていることに対して、同じ賃金、同じ待遇であるべきと考えます。子どもたちの前に立って、教育をする(働く)際には、全国でも学校でも、同じです。全国どこでも同じとなっていくために、最低賃金が一つの目安となるべきだと思います。一律を望みますがせめて目安平均額を超える額とすべきだと思います。
第3に、学校で働く多くの会計年度任用職員の賃金は、最賃を念頭においた額に設定していると思われます。会計年度任用職員は、その仕事内容や勤務時間に関係なく学校になくてはならない存在となっています。組合としては、正規化すべきと要求しています。昇給など見込めない現状の中では、せめて賃金アップの感触がわかる額に引き上げてほしいと願います。そのためには、最賃の上昇が必要です。
各自治体の会計年度任用職員(非常勤職員)の募集条件を、HPなどでごらんいただくとわかります。
当組合などが実施した会計年度任用職員へのアンケートで、要望の第一位は、断トツで、賃金アップでした。生活がかかってんです。当たり前だけど。でも、職場では、地域では、賃金あげろ!とは言いにくいのです。
第4に、子どもたちを通して家庭の状況を見る時、経済的に困窮またはぎりぎりの生活をしている家庭が増えていると感じています。ひとり親家庭の貧困率が5割を超えていると言われます。低い時給のため、ダブルワークが当たり前になっている保護者もおられます。保護者・家庭の経済的な状況は、子どもたちの今の成長だけでなく、将来の進路にも大きくかかわります。この面でも、最賃の大幅アップは切実に求められています。
厚生労働省が7月4日に発表した2022年国民生活基礎調査によると、子どもの貧困率は11.5%。児童のいる母子世帯のうち、54.7%が「生活が苦しい」と訴えています。母子家庭の半分以上が、派遣なども含めると5割以上(厚生労働省)です。最賃の影響をもろに受けます。
今回の最低賃金改正の提案は、以上から見て到底納得のいくものではありません。
時給984円で、どのようにしたらまっとうな生活ができるのでしょうか。
なぜ全国で、あるいは同じ職場で大きな差がつけられるような資料分析や判断が出てくるのでしょうか。
どうか、再度審議をし直し、必要な聴き取りや調査をやり直していただきたく、ここにお願いします。
以上