働く者の立場、生活(生計費)を見ての勧告を! 県人事委員会に要求書

静岡県人事委員会に、今秋こそ、学校現場の要求にこたえて!と、

要求書を提出しました。長いですが、ご一読ください。👀

 

全教静岡(全静岡教職員組合)の

   静岡県人事委員会に対する 

     2022年

        要求書

 

 静岡県職員・教職員の賃金・労働条件改善のためにご尽力されていることに敬意を表します。

 コロナ禍3年目、消毒にピリピリしていたころから比べれば、多少収まった感もありますが、感染まん延は落ち着くことはなく、常に気を遣っている毎日です。

 そんな状況を訴えた一昨年、昨年でしたが、人事院勧告も県人事委員会勧告も2年連続一時金引き下げなど、あれだけ苦労したのにこの仕打ちかと唖然としたものです。今年の人事院勧告に期待は高まりましたが、若い層のみの給料引き上げ、勤勉手当のみの一時金引き上げ、会計年度任用職員については触れないなど、がっかり感は底知れないものでした。

 民間と比較して高齢層の賃金が高いと言われますが、民間とは人事や昇給の違いなどあり(県人事委員会は「昇進人事のあり方」と言って認めていました)、比較は困難なはずです。むしろ教育費、介護、健康管理にかかわる費用、住居支出などが増えているのに、上がらない給料でやりくりが大変なのが高齢層の実態です。そこに昨今の物価高騰が、生計費や教職員としての専門性維持を脅かしています。

 

 勤務の状況を見ると、6月教育委員会定例会に示された2021年度精神疾患長期休職者の著しい増加は、「働き方改革」が進められているはずの学校現場に驚きの結果として受け止められました。高止まりに加えての結果です。昨年6月県議会では、県庁、警察、教育委員会において、この10年で自死をされた方が、毎年1人以上おられたという答弁がされました。座して減少を待つような余裕がないことは明らかです。

 

 コロナ禍に加え、ICT活用、学習指導要領の改訂が、学校現場の業務の大幅な増加をもたらしています。貴職ご自身によって学校現場の実際を見聞していただきたいと思います。文書報告や管理職からの報告だけでは想像できない多忙な状況を目の当たりにすることと思います。切実です。

 「教員不足」と言われ、教員志望が減っていると言われますが、上述のことを考えれば、さもありなんと思えることでしょう。

 学校の職員としてなくてはならない会計年度任用職員の存在を見逃すことのないようにお願いします。教育は人で成り立っていることは、学校現場では当たり前のこととしてとらえられています。コロナ禍でその重要性にさらに光が当てられています。新任用制度3年を経過するにあたって、新任用制度の趣旨と会計年度任用職員の重要性に照らして、改めて待遇の改善への歩を進めていただきたいと思います。

 

 定年引き上げについては、7割の給料で教職生活を維持することの大変さ、学校職場での短時間勤務導入などが困難な実態などが十分考慮されるべきであると考えます。

 

 このような中で、賃金・勤務条件が改善されることは、モチベーションを高める上でますます重要となっています。今年の貴職の勧告・報告が、私たちの働く実態と要求を十分に汲んだものとなるよう期待して、下記のように要求します。

 

            記

 

1. コロナ禍を乗り切るために先頭に立っている公務員・教職員にこたえ、生計費原

  則に則り、物価高に対応し、かつ教職員の専門性や従来からの多忙な勤務実態に見

  合った賃金引き上げを勧告すること。

 

2. 初任給・若年層の大幅な賃金引き上げとともに、30歳代以降の賃上げも格差な

  く勧告すること。

   特に民間とは勤務実態・条件の違う教職員の50歳代後半層の賃金引き上げも勧

  告すること。

 

3. 公務員賃金の持つ社会的影響力を考慮し、コロナ禍だからこそ消費拡大による景

  気の回復、地域経済の活性化につながる賃金引き上げの勧告を行うこと。

 

4. 配偶者扶養手当減額について、実態に即して見直しを行うこと。

 

5. 一時金の引き上げを勧告すること。その際、勤勉手当でなく期末手当の引き上げ

  とすること。

 

6. 比較対象企業規模を「100人以上」に戻すこと。また、当面「100人以上」

  の企業に絞って比較した資料も提示すること。

 

7. 地域手当を全県6%以上とすること。また地域間格差をなくすよう国と県に提言

  すること。

 

8. 教育の現場にはなじまない評価制度と評価にもとづく差別的賃金体系を推し進め

  る勧告をしないこと。

 

9. 定年引き上げについて、生計費や教職員の専門性を考慮し、賃金水準の引き下げ

  のない勧告をすること。

  定年前再任用短時間勤務や高齢者部分休業など学校現場ではほとんど実効性のない

  制度であることから、実態にあった制度を提言し、「雇用と年金の接続」がかな

  い、希望するすべての教職員の雇用と労働条件が保障される勧告すること。

 

10. 現行の再任用教職員の賃金・一時金については、生活を維持するにふさわし

  く、かつ、実際の業務内容に見合うよう引き上げること。

 

11. 長時間過密労働・時間外勤務解消へ向けた措置を早急に講じるよう、従前以上

   に強く具体的に勧告すること。

   学習指導要領改訂による業務量の増加と人手不足に対応した人員確保措置を行う

   よう勧告すること。

   「働き方改革」のためと言いながら、実質多忙を加速させているICT活用につ

   いても実態を見た提言を行うこと。

   勤務時間インターバル設定や連続する長時間・時間外労働是正などについて具体

   的な提言を行うこと。 

        ※勤務時間インターバル 勤務終了から次の勤務開始までの時間

         長野県は11時間としました。

  

12. 部活動指導の勤務上の位置づけを明確にさせ、顧問教員等の負担軽減をすすめ

   る改善勧告をすること。

   子どもや家庭、教職員の負担を考慮しない、所謂「部活の地域移行」について、

   解決策として安易に示さないこと。

 

13. コロナ禍による業務量や配慮・注意事項の増大、感染の危険性の拡大などの中

   でも教職員が安心して働くことのできる労働条件を示すこと。

   業務上感染した場合は公務災害となることを周知徹底すること。

 

14. 会計年度任用職員について、新しい任用制度が3年を経過する時期に同一労働

   同一賃金等の趣旨から、改めて待遇改善の勧告をすること。

   学校でなくてはならない仕事内容や勤務実態に応じた賃金等の待遇改善を勧告す

   ること。

   勤務時間実態把握をし、時間外手当の支給を行うこと。

   「6月未満、15.5時間未満」の任用期限条件の撤廃、賃金、残業手当、退職

   手当等の改善を勧告すること。

 

15. 臨時的任用教職員の60歳を超えた場合の賃金等の待遇の引き下げを行わせな

   いこと。

 

16. 臨時的任用教職員や会計年度任用職員の雇用の確保に留意するよう勧告するこ

   と。

 

17. 「メンタルヘルス対策」について、精神疾患罹患者の大幅増加、20代女性教

   員の長期療養者の高止まりなどの課題を調査・分析し、改善のための勧告をする

   こと。

   産業医の拡充やストレスチェック制度活用まど、「予防」から「復帰」までの職

   場改善対策を任命権者に強く求めること。

 

18. 「ハラスメント防止」、特に近年顕在化しているパワハラ及びマタハラ防止

   に、「労務管理者」(県教委)としての管理職が職務として先頭に立って取り組む

   よう特に強く勧告すること。

   ILOハラスメント撤廃条約の趣旨に沿った宣伝・啓もうと施策の実施のために

   貴職が先頭に立つこと。

 

19. 障害者雇用について、「水増し問題」及び依然として雇用率未達成の現状を深

   刻に反省し、採用人数や割合を増やすこと、受け入れ体制や施設・設備の改善を

   行うことなど大胆に提起すること。

 

20. 「治療と仕事の両立支援」(厚生労働省)の指針に沿って、がん治療等病気治療

   を必要としながら働く方々への配慮や労働環境改善を促す報告を行うこと。

 

21. ジェンダー平等の視点での人事管理方針の改善を打ち出すこと。女性管理職登

   用を大幅に進めることや、男性配偶者の育休取得のための労働条件の改善を行う

   よう積極的に提言すること。

 

22. マイナンバーカードについて、安全性や機能性など確立していない状況で、教

   職員を守る立場から、その押し付けにくみしないこと。 

        ※総務省から、促進の号令が出たとの情報あり。

 

23. 憲法とILO勧告にもとづき、公務員労働者の労働基本権を保障するなど、民

   主的公務員制度確立にむけ積極的に政府に働きかけること。 

         

                          以上

 

 今後

  ・ 静岡県人事委員会への要請行動

 

  ・ 静岡市人事委員会勧告 例年9月中旬

 

  ・ 浜松市人事委員会勧告 例年9月下旬

 

  ・ 静岡県人事委員会勧告 例年10月中旬

 

  ・ 10月以降 静岡県教育委員会との交渉や要請行動

 

  確定闘争が続きます。

 

  尚、現在、定年を65歳まで延ばす。給料は7割(+_+) などの提案が当局からさ

 れています。短時間勤務とか、部分休業などと言われていますが、学校職場で可能で

 すか?

    …「定年引き上げ(延長)」の交渉が進められています。