物価高騰にも配慮なし これではWell-beingどころではない

物価高騰にも配慮なし 

     これではWell-beingどころではない

23人事院勧告

 人事院は8月7日、国家公務員賃金等について、「報告と勧告」を行いました。公務員・教職員の労働基本権の代償機関(ホントは欧米のように当局と直接交渉が当たり前)としての人事院ですが、「社会一般の情勢に適応(つまり民間に準拠)」させるとし、今年も生計費や長時間・過密過酷な労働実態に見合わないものでした。この「勧告」が地方の人事委員会にも影響を与えます。

 

 報道では「初任給1万円超増」「33年ぶり高水準」の見出しがおどりました。今春闘労働組合の奮闘により、昨年までの若年層に限られた賃上げを、再任用も含めた給与カーブ改善としました。人事院は「過去5年の平均と比べ、約10倍のベースアップ」ともぶち上げました。

 

 賃金等

 30年間賃金アップが行われてこなかったためです。実際、公務員賃金は、下がりっぱなしです。1997年の静岡県人事委員会の資料で比較すると、額面で2~3万円下がっています。この間の業務量の増、多忙化の進行に見合ったものになっていません。

 

 物価高騰に配慮がないのも問題です。「鶏卵相場は、Mサイズの卸値が1kg当たり305円前後で、これは1年前よりも130円近く上がっている。ガソリン価格レギュラー190円台(-_-;)」「交通費や出張旅費など大変な職員がいて、職場でも話題に。軽自動車で燃費も20km/Lくらいですが、大型車の方は7~8km/Ⅼなんですって、びっくり。そして、暑さでエアコンも入れたら・・・と嘆いていました」と、現場からの声。

 

 6月の実質賃金は、15か月連続で低下しました。名目賃金は上がったけど、物価高に追いついていないのです。

 国家公務員高卒初任給が最低賃金以下であることが問題となっています。しかし今回も改善されませんでした。

 

 勤務条件等 

 多忙化に対して、「フレックスタイム制」「週1日ゼロ割振り日」「週休三日制」の言葉が並びます。その分、出勤日の勤務時間数を増やすと。それって、多忙に拍車をかけるだけではないでしょうか。しかも、学校現場で取得はまずありえない、絵にも描けない餅です。在宅勤務手当なども同じです。

 

 「勤務間インターバル確保」や休暇取得期間の拡大などは今後の改善課題です。

 

 非常勤職員(地方は会計年度任用職員) 非常勤職員について「安定的な人材確保」と人事院は言います。待遇改善や女性が多く働いているなどの実態改善については触れていません。これでは人材確保はできません。「安定的」と言うなら、正規採用すべきです。

 

 「給与制度のアップデート」 「人材確保」、「個々の成長」、「多様な働き方」をアップデートの中身としています。評価・実績主義の域を脱していません。

「65歳定年を見据えた給与カーブの在り方等、引き続き検討」と言っているのも注意です。

 

 今回の「報告と勧告」で「Well-beingが実現される公務を目指して」と打ち出しています。現場では誰もがわかっています。「人を増やし、業務量を減らす」 これです!

 

 人事院勧告は、地方自治体や関連地域職、民間一般企業にも影響します。

9月中旬静岡市、下旬浜松市、10月中旬の静岡県人事委員会の勧告に向け、

声をあげましょう。