オリパラへの子どもたちの観戦をやめさせて! 全教が談話

2021年6月14日

 

【全教談話】

東京オリンピックパラリンピックの学校連携観戦を中止し、子どもたちのいのちと健康を守れ

 

全日本教職員組合

書記長 檀原毅也

 

 現在、東京都をはじめとする首都圏の多くの学校で、東京オリンピックパラリンピックの競技を会場で観戦する学校連携観戦が計画されています。

国会審議等では、東京都だけで81万人、他県を含めると全国で128万人が参加を予定しているとされています。

2019年度に計画された内容を、コロナ禍のもとでも変更することなく実行しようとするものです。コロナ感染拡大が収束せず、変異株への置き換えがすすみ、ワクチン接種もまだ途上であり、定期的なPCR検査も実施されていないなかでの学校連携観戦により、いっそうの新型コロナ感染症の感染拡大のおそれがあります。

 

 また、学校連携観戦については、公共交通機関を使い、競技場最寄り駅の一駅前で降りて徒歩で会場に移動することや、保安上の観点から水筒の持ち込みを禁止するなど、計画当初から炎暑の中の移動と観戦による熱中症のおそれなどの問題点が指摘されていました。

また、観戦終了時刻が夜間となる場合もあり、帰宅時間が遅くなり、通常の学校生活に支障が生じるおそれもあります。

 

さらに、感染防止のために、駅や電車内での「密」状態への対応や基礎疾患や障害のある子どもへの対応、入場できない子どもへの対応など、きわめて多く問題が懸念されます。

 

事前に観戦者のPCR検査をおこなった上での陰性証明やワクチン接種の証明の提出などが求められることも想定され、学校現場に大きな負担となることが予想されます。

 

教育活動をすすめる上で、最優先に考えられるべき安心・安全に学ぶことに逆行する学校連携観戦を強行することはまったく不適切であり、再考されるべきです。

 

子どもたちが世界的なアスリートの姿を目の当たりにすることの意義をふまえても、なお、学校連携観戦を予定通りに実施することにこだわるべきではありません。

 

教育行政は、子どもたちのいのちと健康を守る責任を果たし、各校の学校連携観戦を中止するという判断を尊重すべきです。

 

5月27日、全教は、「コロナ禍のもと、東京オリンピックパラリンピックは中止し、感染症対策を最優先とすることを求める」書記長談話を発表しました。

 

その後も、国会審議等では、菅首相らは、コロナ禍の中での開催に固執する一方で、感染拡大を招くことへの責任については決して言及しません。

開催を推進すべき立場の関係者が、だれも責任を引き受けようとしないで、開催することのみが目的化している異常な事態です。今なすべきことは、オリンピック・パラリンピックの開催ではなく、コロナ感染拡大を抑えることに全力集中することです。

 

 全教は、子どもたちの学校連携観戦の中止とオリンピック・パラリンピックの開催中止を強く求めるものです。