2021年3月10日
浜松市議会議長 様
公立学校に「1年単位の変形労働時間制」を導入するための条例制定に反対する要請書
【要請趣旨】
一昨年末の臨時国会において、都道府県・政令市の条例によって、公立学校に「1年単位の変形労働時間制」を導入するための「給特法一部改正法」が可決されました。
これを受けて浜松市は、昨年度3月議会において、「1日8時間労働制を崩す、在校等時間の上限(1月45時間、年360時間)の条例制定」を行いました。
さらに浜松市は、今年度3月議会において
「教職員における「休日のまとめ取り」のための1年単位の変形労働時間制」を導入しようとしています。
この条例が制定されれば、日常的に超過勤務時間が増えて、教職員の多忙化がさらにすすみます。
労働基準法に定められた「1年単位の変形労働時間制」は、業務の繁閑のある職場において、1年間で平均すれば週40時間以内となることを条件に、繁忙期における所定の勤務時間を1日10時間まで延長することを認める制度であり、時間外勤務が恒常的に生じている職場には導入できないとされています。
→厚生労働省「1年単位の変形労働時間制」参照
厚生労働省調査(2018年)によれば、全校種の教職員の1日の勤務時間の平均は11時間17分です。このように恒常的に時間外勤務が生じている学校職場にこの制度を導入することは、時間外勤務の実態を覆い隠し、緊急・最重要の課題である長時間過密労働の解消に逆行するものです。
それどころか、所定の勤務時間が延びることによって「8時間労働」の原則が壊されてしまうことは、教職員のいのちと健康にかかわる重大な問題です。
ゆとりをもって子どもと向き合い、時間をかけて授業の準備を行うことがいっそう困難となり、ゆきとどいた教育をすすめることが難しくされてしまいます。
政府は国会審議の中で、
この制度の導入によって「教師の業務や勤務が縮減するものではない」ことを認め、
制度導入の目的は「夏休み等における休日のまとめ取り」だとしました。
しかし、夏休みといえども学校は「閑散期」とは言えず、
また、制度を導入しなくても夏季休暇、ボランティア休暇、有給休暇、組合が長年要求してきた学校閉庁日3日間、教特法22条2項の自主研修等を使えば「休日のまとめ取り」は可能です。
→ 夏休みの旧盆期間中は、当番もおかず、学校閉庁日にしてください!と、
組合ではず~っと、要求してきました。
それに対して、ず~っと、「いや、子どもには夏休みでも、教職員には勤務
日」と、教育委員会は答えてきました。
ところが、ここ数年、組合には言い訳もせず、夏休みの学校閉庁日を置くよう
になってきました。せめて、今までごめんね、くらいは言ってほしいものです。
さらに労基法は、
この制度導入が労働条件の重大な変更であることから、書面による労使協定の締結と労働基準監督署への届け出を必須としています。
各学校に意向調査を行っておらず、「校長会で説明したのみ」としていることは、国会の確認を軽視するものです。
そのような制度を、労働基本権を制約された公立学校の教員に対し、条例によって導入できるとしたことは、労働法の大原則を壊す重大な問題です。
今、学校には、「教材研究ができなく、子どもたちに申し訳ない」「明日の授業準備さえままならない」など、教職員の悲痛な声があふれています。
長時間過密労働を解消するためには、少人数学級の実現や教職員定数の抜本的改善によって人を増やし、1人あたりの業務量を縮減することが不可欠です。
教職員のいのちと健康を守り、ゆきとどいた教育をすすめる立場から、下記のことを要請します。
【要請項目】
1.公立学校に「1年単位の変形労働時間制」を導入するための条例制定をおこなわな
いこと
以上
この要請書は、議会事務局を通して、浜松市議会の議員の方、全員に伝わっています。
議会や各会派で、どのような議論をされているのか、注視しているところです。
ご意見や情報をくださるとありがたいです。