3・11を忘れない!  &  浜松の給特条例「改正」ちょっと待った!

 

 全教(全日本教職員組合)は、毎年「被災地を歩く・見る・考える」の取り組みを行い、また国に対しても被災地の声に基づく復旧・復興を訴えています。

 忘れない!

 

 

浜松市教委が給特条例に、「業務量の適切な管理」を追加しようとしているが、ちょっと待った!

 浜松市教育委員会は、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)の一部改正の趣旨を踏まえ、教育職員が正規の勤務時間及びそれ以外の時間において行う業務の量の適切な管理を図るための措置に関する規定を定めるため、条例の一部を改正」したいと2月議会に提案してきました。

 

理由は、国・文科省が言うから

 文科省の指針を参考とし、浜松市の「教育職員の在校等時間(教育職員が在校している時間に、校外における児童生徒の引率の時間等を加え、勤務時間外の自己研鑽や休憩時間を除いた時間)の上限等に関する方針について教育委員会が定める旨の規定を加える」として、給特条例に次の条文を加えたいとしています。

 

追加しようとしている条文

第5条 (略)

(教育職員の業務量の適切な管理等)

第5条の2 教育職員の健康及び福祉の確保を図ることにより学校教育の水準の維持向上に資するため、教育職員が正規の勤務時間及びそれ以外の時間において行う業務の量の適切な管理その他教育職員の健康及び福祉の確保を図るための措置については、給特法第7条第1項に規定する指針に基づき、教育委員会規則で定めるところにより行うものとする。

 

これでは、「パッシブ・ラーニング」

 残業(時間外勤務)は原則としてダメよ!と言っている給特法を国が変えました。でも、それを県や政令市が条例に加える必要はありません。それをすると、教職員の長時間過密労働時間が減る、多忙が解消しますと根拠づけするならともかく、「国がそうしたから、右へ倣え」ではあまりにも主体的でなく、職員団体に丁寧な説明もなく・対話的でなく、深さもなく、パッシブすぎるのではないでしょうか。

 

労働時間を「在校等時間」として、あいまいに

 気になるのは、「在校等時間」という造語です。拘束されている時間です。「自己研鑽」と言いますが、趣味の時間ではありません。だったら帰宅させてください。問題となっている「時間外労働」時間をあいまいにする、数字として出させないようにしたいようです。勤務時間、労働時間、拘束時間として明確にすべきです。時間外は給特法から言えば、違法あるいは脱法的なものです。

 

時間外はだめなのに、上限時間という矛盾

 給特条例で時間外勤務は命令できないはずなのに、月45時間、年間360時間までの「上限時間」を設定するという矛盾を、説明できていません。そういう現状を認めた上で、「ここまでなら、時間外勤務をさせてもいいよ」と管理職にお墨付きを与えているようなものです。実際、管理職が誤解(曲解)するのではと危惧します。

 

西部地区労連と西部教組が反対の要請書を市議会に提出

 西部地区労連と西部教組は3月11日、次のような条例提案に反対する要請書を市議会に提出しました。

 

要請書

 浜松市議会議長  様

 

      静岡県西部地区労働組合総連合・静岡県西部教職員組合 

   

  公立学校に「1年単位の変形労働時間制」と、

   その地ならしの在校等時間上限の条例制定をしないことを求める要請書

 

【要請趣旨】

 昨年末の臨時国会において、都道府県・政令市の条例によって、公立学校に「1年単位の変形労働時間制」を導入するための「給特法一部改正法」が可決されました。

 

 労働基準法に定められた「1年単位の変形労働時間制」は、業務の繁閑のある職場において、1年間で平均すれば週40時間以内となることを条件に、繁忙期における所定の勤務時間を1日10時間まで延長することを認める制度であり、時間外勤務が恒常的に生じている職場には導入できないとされています。

 

 恒常的に時間外勤務が生じている学校職場にこの制度を導入することは、時間外勤務の実態を覆い隠し、緊急・最重要の課題である長時間過密労働の解消に逆行するものです。それどころか、所定の勤務時間が延びることによって「8時間労働」の原則が壊されてしまうことは、教職員のいのちと健康にかかわる重大な問題です。ゆとりをもって子どもと向き合い、時間をかけて授業の準備を行うことがいっそう困難となり、ゆきとどいた教育をすすめることが難しくされてしまいます。

 

 労基法は、この1年単位の変形労働時間制が「8時間労働」の重大な変更であることから、書面による労使協定の締結と労働基準監督署への届け出を必須としています。そのような制度を、労働基本権を制約された公立学校の教員に対し、条例によって導入できるとしたことは、労働法の大原則を壊す重大な問題です。

 

 今回、浜松市において教職員に在校等時間の上限を導入することは、事実上無給の残業を認めることになります。これは1日8時間労働制を崩す端緒となり、残業隠しの「1年間の変形労働時間制」の地ならしにつながります。

 

 今、学校には、「教材研究ができなく、子どもたちに申し訳ない」「明日の授業準備さえままならない」など、教職員の悲痛な声があふれています。長時間過密労働を解消するためには、少人数学級の実現や教職員定数の抜本的改善によって人を増やし、1人あたりの業務量を縮減することが不可欠です。

 

 教職員のいのちと健康を守り、ゆきとどいた教育をすすめる立場から、下記のことを要請します。

 

【要請項目】

1.公立学校に「1年単位の変形労働時間制」を導入するための条例制定をおこなわないこと。

 

2.1日8時間労働制を崩す、在校等時間の上限(1月45時間、年360時間)の条例制定をおこなわないこと。

 

                           以上

 

ご意見もそうですが、ぜひ勤務の実態を教えてください。

zenkyoshizuoka@dream.ocn.ne.jp