給特法一部「改正」案=1年単位の変形労働時間制導入法案 あれだけ批判されても自公維新で可決強行

全教声明

全教は「給特法の一部を改正する法律案」の成立に断固抗議するとともに、

公立学校に「1年単位の変形労働時間制」導入を許さないたたかいに全力をあげます

 

 本日、第200臨時国会参議院本会議において公立学校の教員を「1年単位の変形労働時間制」で働かせることを可能とする法律案が可決されました。

1日8時間労働という大原則を壊す労働法制の大改悪、

憲法違反の法案であり、

かつ教職員の長時間過密労働を固定化し助長する恐れがある法案が

衆参合わせて30時間にも満たない不十分な審議で

採決されたことに断固抗議します。

多くの教職員は、もう体が持たないかもしれないという不安を抱えながら、

現状を何とかしてほしいという切実な願いをもって

今日も子どもたちの前に立っています。

今回の「給特法の一部改正」はその願いにこたえるものではないばかりか、

「過労死促進法」ともいうべきものです。

 

 国会審議を通じて、「1年単位の変形労働時間制」は

萩生田文科大臣自身が認めたように平日の時間外労働を縮減する効果はまったくなく、むしろ個々の教職員に、意に沿わない長時間労働を押しつけ、

人間らしい働き方をさせないものであることがはっきりしました。

所定の勤務時間を延ばすことにより、

時間外勤務を見かけ上減少させることで

長時間過密労働が改善されたかのように見せるまやかしに過ぎません。

 

萩生田文科大臣は、

「1年単位の変形労働時間制」導入の目的を

夏休み等に5日間程度の休みのまとめどりをするためと答弁していますが、

この制度を導入しなくてもまとめどりはできることも国会審議で明らかになりました。

また、萩生田文科大臣は「超過勤務月45時間、年360時間」という「上限ガイドラインが守られていることが制度導入の大前提」と答弁しましたが、

「月45時間」に収めるための具体的な施策を何ら示していません。

そもそも「月45時間」もの恒常的な超過勤務がある状況では

「1年単位の変形労働時間制」導入の余地はなく、

1日7時間45分の勤務時間内で毎日の業務ができるような条件を整えることこそ

政府・文科省など教育行政の務めです。

 

労働基準法が定める制度導入の最低基準である

労使協定を結ぶのではなく、

地方自治体の条例で導入できるとしていることは

労働基準法の改悪にほかならず、

到底許されるものではありません。

 

一方、野党議員の追及により

政府・文科省

条例制定の段階で各学校の意向をふまえると答弁したこと、

そして、条例を策定しないこともありうると認めたことは

今後のとりくみの足掛かりとなるものです。

また、「給特法」そのものの矛盾も白日の下にさらされ、

その抜本的改正の必要性はだれの目にも明らかになっています。

 

全教は学校における長時間過密労働解消のためには

教育予算を増やし、

教職員定数を抜本的に改善することこそが必要であり、

「1年単位の変形労働時間制」を導入することに

断固反対の立場で運動を重ねてきました。

各組織でも法案の問題点を広く知らせるためのとりくみが進み、

法案反対の連帯は大きく広がり、

9月半ばからとりくんだ請願署名は9万筆を超えました。

繰り返し行った国会議員への要請は、

立憲野党の各議員が明確に法案反対の立場で質疑・討論し、

法案の矛盾や問題点を次々と明らかにすることにつながりました。

 

 「1年単位の変形労働時間制」導入を許さないたたかいはこれからです。

全教は職場・地域における対話・学習を重ね、

条例を制定させず

学校現場に導入させないとりくみに

全力をあげるとともに、

給特法の抜本的改正を求めるとりくみをすすめます。

「せんせい ふやそう」の圧倒的な世論を構築して、

長時間過密労働を解消し、

ゆきとどいた教育を実現するために

教育政策の転換と教育予算増の実現をめざす決意を表明するものです。

 

 

                   2019年12月4日 

                   全日本教職員組合中央執行委員会