給特法一部「改正」案=1年単位の変形労働時間制導入法案 衆議院で拙速な採決 許せない!

8時間労働制を崩そうとしている!

 11月15日 衆議院文教科学委員会では、野党が主に給特法改正案について質疑を行っていました。

 本来、1年単位の労働時間制などの導入には、労使協定が必要です。当たり前ですよね。使用者が勤務時間を勝手に変えることが許されたら、労働者はたまりません。

 ところが、今回の1年単位の変形労働時間制導入については、地方公務員の勤務条件は条例で定めるとなっている(勤務条件条例主義)から、法律の読み替えをして、その後自治体が条例を変えれば、いいんだと政府・文科省

 「繁忙期」に勤務時間を8時間から10時間にすると教育委員会が言えば、そうなってしまうのだ、という大変横暴な仕打ちができるというのです。

 ということは、今回は給特法「改正」ですが、その他の地方公務員でも、法律を少しいじれば、今は禁止されている1年単位の変形労働時間制も可能になるっていうことです。教員だけの問題ではないということです。

 また、8時間労働の原則が崩されるということになりかねません。→だから、全労連の方々も、国会前抗議行動や国会議員要請行動にも積極的に参加してくれています。

 

 文科相=萩生田氏は、校長が教職員一人ひとりと対話し、スケジュール、行事などを見ながら共通認識とし、教育委員会と相談しながら進めていくと答えていました。ただ聞くだけだと、労使協議のようにも聞こえます。

 しかし、労使協定、労使協議・交渉には法的縛りは公立学校教員にはありません。「法的拘束力はない」とも答弁しているのです。

 

 もっと現場の実態を見ながら、議論を深めてほしいと傍聴者は願ったのですが。

 15日の委員会では、自民党公明党、維新の会の賛成多数で法案が可決され、

19日の衆議院本会議に回されることとなりました。

 そして、↓の暴挙です。

 

2019年11月19日

【全教談話】

「給特法の一部を改正する法律案」の衆議院本会議での採決に断固抗議する

                   全日本教職員組合

                   書記長 檀原毅也

 

 11月19日、第200臨時国会衆議院本会議において、公立学校に「1年単位の変形労働時間制」を導入できるようにする「給特法の一部を改正する法律案」が与党自民・公明と維新の会などの賛成多数により可決され、参議院に送られることになりました。

 

 1日8時間労働という労働時間の大原則を壊すことになる重大な法案にもかかわらず、衆議院文部科学委員会での審議は参考人招致を含め、4日間計16時間足らずに過ぎませんでした。

 

不充分な審議のもとでの拙速な採決に断固抗議するものです。

 

短い審議時間でも、さまざまな問題点や矛盾が明らかになりました。

 

根本的な問題は、この法案の目的があくまでも休日のまとめ取りであり、現場の教職員が求めている平日の深刻な長時間過密労働の縮減・解消には何ら効果がないものであるということです。

 

そもそも、休日のまとめ取りのために「1年単位の変形労働時間制」を導入するというのは転倒した議論です。「1年単位の変形労働時間制」は長時間過密労働の実態を覆い隠し、固定化し、助長する恐れすらあります。

 

そして、長時間過密労働解消のために何よりも必要な教職員定数増の要求の根拠まで覆い隠そうとするものです。

 

また、審議において政府側は所定勤務時間を長くする期間は4月、6月、10月など行事の多い月を想定するとしました。これでは教員の心身の健康にこれまで以上に重大な問題を引き起こしかねません。

 

政府側は導入の前提として超過勤務を月45時間、年360時間とする上限ガイドラインを大臣指針に格上げして守らせる、終業から始業までのインターバルの休息時間などを盛り込んだ省令と指針をつくるなどと答弁しましたが、大臣指針に法的な拘束力はなく、省令の内容も明確にされていません。

 

勤務の縮減や教職員定数増よりも「1年単位の変形労働時間制」導入を先行させることは許されません。

 

「1年単位の変形労働時間制」導入に際して労働基準法が必須の条件としている事業場ごとの労使協定によるのではなく、地方公共団体の条例により導入できるとしている点についても野党の追及がありました。

 

萩生田文科大臣らは勤務条件条例主義を強調する一方で、現場の教員の意思を反映するとも述べましたが、条例制定から学校現場への導入までの過程や手順については曖昧な答弁に終始しました。

 

当事者である教員の合意なしに所定の労働時間が延ばされてしまう危険性があります。

 

今回の「給特法の一部改正」は労働基準法の改悪にほかならず、労働法の体系を崩し、労働者の権利を保障する憲法に反するものです。

 

法案に反対する国会請願署名は短期間のうちに6万7000筆を超え、国会前や全国各地で連帯の動きが広がっています。

 

「1年単位の変形労働時間制」導入ではなく、教職員を増やすことで少人数学級を実現し、一人ひとりを大切にする教育を実現したいという教職員・国民の願いの現れです。

競争と管理を押しつける教育政策を転換し、教育予算を増やす政治を実現することが求められています。

 

 全教は、参議院で現場の実態を踏まえた徹底的な審議により法案の廃案を求めるとともに、教職員の長時間過密労働を抜本的に解消し、ゆきとどいた教育を実現するために全力を尽くす決意です。

 

 

署名や要請FAXなどに取り組んでいます。

みなさまの反対運動への参加、署名の協力など募っています。