1年単位の変形労働時間制導入のための給特法「改正」法案に抗議!全教

【全教談話】労働法の理念に背く

「給特法の一部を改正する法律案」

(1年単位の変形労働時間制導入を許す「改正」案)

閣議決定に抗議し、撤回を強く求める

         2019年10月23日

         全日本教職員組合

         書記長 檀原毅也

 

 政府は10月18日、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案」を閣議決定しました。閣議決定された法案は、労働基準法第32条の4に定められている「1年単位の変形労働時間制」を、都道府県・政令市の条例により公立学校の教員に適用できるよう、給特法第5条に地方公務員法第58条の読み替え規程を整備するものです。

 

 地方公務員法第58条は、労働基準法32条の4「1年単位の変形労働時間制」を地方公務員には適用しないと定めています。

それは、①住民サービスを目的とする公務員の業務に「繁閑」はありえない、

②労働基本権が制約されているため、労働協約を締結することができないためです。

 

また、厚生労働省の通知・指針には、「1年単位の変形労働時間制」導入の条件として1ヶ月を超えて1年以内の一定の期間を平均して1週間あたりの労働時間が40時間を超えないこととし、週の労働時間をあらかじめ定めておくことが困難な業務については適用する余地はないとしています。いずれの面から考えても学校現場に、この制度を導入できないことは明白です。

 

 「1年単位の変形労働時間制」導入は、8時間労働の原則を壊すという労働者にとって重大な不利益変更であるがゆえに、労働基準法は「労使協定」の締結を厳格に求めています。しかし、法案は「労使協定」ではなく「条例」をつくれば公立学校に導入できるとしています。これは労働法の理念に背き、憲法の労働基本権を逸脱する重大な問題です。

 

 このような無法なやり方が通るのであれば、「労使協定なしの1年単位の変形労働時間制」が合法化され、労働基準法をなし崩しに改悪することにほかならず、労働者全体に関わる重大な問題です。

 

 そもそも、時間外勤務を強いられていることそのものが違法であり、本来、政府・文部科学省がやるべきことは、時間外勤務をなくすための使用者責任を果たすことであり、教職員定数を抜本的に改善し、教職員一人ひとりの業務を削減していくことです。 

 

 長時間過密労働が強制されることは、労働者のいのちと健康にかかわる問題であるとともに、子どもと教育にかかわる問題です。長時間過密労働の実態を覆いかくし、長時間労働を固定化、助長する「1年単位の変形労働時間制」の導入は断じて容認できません。閣議決定の撤回を強く求めるものです。

                               以上