秋のたたかい  県教育長回答から

2013年11月20日 
県教委交渉 最終回答

臨時教職員の3月31日の空白期間、継続して社会保険に加入する方向へ

医師の指示があった期間について、妊娠障害休暇を取得できるよう制度を拡充


 ほかは、根本改善にほど遠く モチベーション維持できず

 私たちの賃金等の労働条件を確定するための一連の交渉を経た11月20日、県側から「最終回答」が示されました。私たち全静岡教職員組合(全教静岡)は、一部を評価しながらも、現在の異常な働き方に対する改善の具体性と労働実態に見合う賃金への方向性すら示されなかったことから、回答を基本的に受け入れることはできませんでした。
 全教静岡は、職場の声に耳を傾け、引き続いて課題解決に向け奮闘していきます。


1  給与改定について
 給与改定については、人事委員会の報告どおり、月例給及び特別給ともに改定を見送る。

【解説】勧告が出されなかったから当然だと考えてはいけません。そもそも教員の給与は勤務実態・専門性に見合っていません。ですから、一般公務員と比較して年間10万円位教員給与は高く、引き下げるべしなどという財務省主張が、平然と出てくるのです。


2 50歳台後半層における昇給・昇格制度について
 50歳台後半層における昇給・昇格制度の見直しについては、給与の減額措置を実施している状況等を踏まえ、この交渉で結論を得ることを見送り、来年度の交渉において職員団体と話し合いを行う。

【解説】1年先送りしたということです。 県が示していた案とは、55歳で昇給停止(もう給与は上がらない)。ただし、特に良好な場合1号アップ、さらに良好な場合2号アップ。これに対し、全教静岡は、何を根拠に「良好」と判定するのか厳しく批判しました。「今行っている人事評価制度ではない別な評価を行うが、今まだ具体的に決めていない。」という説明でした。こうしたいい加減な提案をいきなり出してくるとは。そもそも民間の50才台後半の働き方と全く異なる学校現場での働き方からして、このような提案を出せるはずがありません。


3 評価制度と賃金リンクについて
教育委員会事務局及び学校を除く教育機関に勤務する職員について人事評価の結果を勤勉手当に反映させることについては、手当への反映を先行実施している知事部局における検証結果を踏まえ、必要な見直しを行った上で改めて職員団体との交渉の場を設ける。

【解説】知事部局職員(県の一般職員のこと)は、3年前からボーナスの勤勉手当について、人事評価制度を活用した賃金リンクを導入していました。同じ県庁内で働く教育委員会事務局の職員にも適応させるという提案でした。これについては、知事部局が3年間実施してきたことの検証結果をよく聞いて、改めて提案すると変わりました。「学校以外の関係者に導入した次は、学校に」という企みであることは疑う余地がありません。私たちは断固反対します。現人事評価制度は百害あって一利なし。その実態、本質を見つめ、白紙に戻すべきだと主張しています。



4 臨時的任用教職員の社会保険の取扱いについて            
 臨時的任用教職員の社会保険の取扱いについて、小中学校については同一教育事務所館内において、前任用と次の任用までが1日空く場合であって、任用終了前に次の任用が決定している場合は、実態として任用は継続すると判断し、空白期間も含め、継続して社会保険に加入する方向で調整していく。

【解説】現制度では、月末の日に所属していると「その月は勤務していた」と見なされるようになっています。臨時的任用教職員(臨教)の場合、3月30日で切られ翌31日は勤務できませんから、3月は「勤務していなかった」と見なされ、3月分の社会保険と年金掛け金が自己負担となります(勤務している場合は、1/2を県教委が負担)。つまり、30日間働いていても、「あなたは3月は働いていなかった」という不思議な制度です。私たちの歴年の強い要求に対し、県教委は年金機構本部や厚生労働省に見解を問い、今回の回答に至ったと説明しています。保険金額負担(1/2)を勝ち取ったことは重要ですが、1日空いていても、実質継続的に勤務していたと認めさせた意味も大きいのです。2012年度より年休の繰り越しを認め、翌2013年度からは4月1日任用者だけでなく、入学式・始業式の日の任用者にも拡大して認めたように、今回も直ちに、同様の拡大が行われるよう要求を強めていきます。



5の1 単身赴任手当及び通勤手当について`
 職員の住居と配偶者等の住居との間の交通距離に応じて100キロメートル以上300キロメートル未満の場合は6,000円を、300キロメートル以上500キロメートル未満の場合は12,000円を加算額として支給することとしているが、100キロメートル以上300キロメートル未満までの距離及び加算額を細分化する規則改正について、人事委員会に話をしていく。(平成26年4月実施予定)

【解説】いわゆる単身赴任のケースで、大半の教職員には関係ありません。しかし、例えば東京に単身赴任の場合6000円の加算、静岡からの片道の新幹線代分しか支給されないという事実を知っていましたか?

5の2また、通勤手当について、自宅から交通用具により最寄の駅付近まで出ている職員の駐車場利用の実態を踏まえ、当該駐車場に係る通勤手当の支給対象の拡充について検討し、その内容を人事委員会に報告していく。

【解説】これは重要な事項です。ただし、遠距離通勤を強いて駅前などに駐車して、交通機関を使い通勤せざるを得ないようなあり方自体を私たちは原則認めません。人事委員会にきちんと求めていく県教委の姿勢に期待します。


6 年次有給休暇の取得単位について
 年次有給休暇の取得単位について、新たに、勤務時間の始めから休憩時間まで又は休憩時間終了から勤務時間終了までの全てを休む場合に限り、1時間未満の端数を含む単位での取得を認めることとする。 技能労務職員についても同様の取扱いとし、実際に休んだ時間を1日・半日単位の年次有給休暇の残日数から減じることとする。 なお、施行日はいずれも平成26年1月1日からとする。

【解説】現在は1時間単位の年休取得となっています。これを分単位まで認めようというものです。「休憩時間を含む場合に限り」となっているのは、例:8:00(始業時刻)〜13:15(休憩開始時刻)の年休の場合、実質5時間15分の取得時間でも6時間となる(従来)→今回の改正では、実質時間5時間15分とするというものです。休憩時間の開始・終了が多くは5分もしくは10分単位となっているので、分単位と言っても実際は5分、10分単位となります。


7 妊娠に起因する疾病に係る休暇について
 切迫流産など妊娠に起因する疾病に係る休暇の取扱について、医師からの入院等の指示があった場合には、平成26年1月1日から、その特例として、医師の指示があった期間について、妊娠障害休暇を取得できるよう制度を拡充する。 

【解説】「妊娠障害休暇」はこれまでも制度としてありました。現制度では14日以内となっていますから、切迫流産の危険性などにはとても不十分なものでした。それを医師の安全宣言がでるまで認めるというのですから歓迎すべきことです。しかしながら、あまりに対応が遅すぎます。過酷な勤務をしながら新しい命を育むという女性教員に対し、現制度はあまりに鈍感であったと言わざるを得ません。妊娠した小学校女性教員の体育授業を免除する(あるいは補助員をつける)、妊娠した養護教諭にも特段の人的措置を行うことなど、全教静岡は長く主張してきています。そして、何より、妊娠教員が普通に、安心して勤務できる仕事環境をつくることこそ行政の責務であると言わざるを得ません。


「交渉」の場は不当に制限されていますが、様々な要請、折衝等によって、改善を求めていきます。
交渉の際の教育次長(学テ対策の長。行政出身)の発言なども、問いただしたいと考えています。(後日報告)

この写真は、11月1日の交渉