全教静岡と県教委の確定交渉における教育長の問題発言

10月27日(金)、全教静岡と県教委との1回目の確定交渉がありました。

はじめに、全教静岡から事前に提出してあった要求書の重点要求に対する教育長からの回答書が配られました。

その中に次のような内容がありました。

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<要求項目> 教職員の未配置、「教員不足」の解消を急ぐこと

 現場で働いている任期付教員や臨時的任用教員からの教員採用選考試験志願者を増やすため、教職経験者に対する負担軽減措置をさらに拡大すること。

ア 臨時的任用を含む教職経験者であって、当該年度に県内の公立学校に勤務する者  については一次試験のすべてを免除すること。

イ 新卒者を中心とする一般受験者と教職経験者を別枠で選考し、教職経験者については夏季休業中に選考試験を行うこと。また、教職経験者枠での選考試験においては、筆記試験重視ではなく経験評価を重視した試験内容とすること。

ウ 非常勤講師経験者に対しても特別選考を行うこと。

 

<教育長回答>任期付職員及び臨時的任用職員の教員採用試験につきましては、その経験と実績を考慮し、教員採用試験において、教職一般教養試験免除や課題作文への代替といった措置を講じております。なお、令和7年度教員採用試験につきましては、質の高い教員確保のため、例年より2か月早期化し実施する方針で決定しております。今後、その効果を検証し、よりよい採用試験の在り方について検討してまいります。

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この回答に対し、全教静岡から「『質の高い教員確保』とあるが、我々は現在学校で働いている臨時教員こそ質の高い教員と考えるが、教育長はどうか?」と質問しました。

すると教育長は、「教職経験があるからと言って必ずしも質が高いとは言えない。」という見解を述べました。

この発言は極めて無責任な、問題発言です。

なぜなら、県内に1000人以上もいる臨時教員(臨時的任用教員や任期付教員)の任命者は教育委員会自身だからです。例えば臨時的任用教員を3年間続けてきた人には、教育委員会が少なくとも6回、辞令を発令して任用してきたことになります。この人には教員として働くための資質や力があると教育委員会自身が認めてきたからこそ、繰り返し辞令を発令してきたのではないでしょうか。もしそうでないとしたら、子どもや保護者に対する重大な裏切り行為です。

また、臨時教員は非正規の立場であっても、日々、正規教員と同じ仕事をしています。初任者研修こそ受けられませんが、校内研修その他様々な研修も受けています。その人たちに対して「必ずしも質が高いとは言えない。」と言うことは、教員を育成するという教育委員会の任務が十分に果たせていないと自ら認めるようなものです。

今回の教育長の発言は、厳しい状況の中で学校教育を支えてくれている臨時教員のみなさんに対して大変失礼な発言であり、また、任命権者としての責任を放棄した重大な問題発言だと言えます。

公立学校教員の人数は「標準法」と言われる法律で最低限必要な人数が決められていて、それを「定数」と呼んでいます。しかし静岡県には、500人以上の「定数内欠員」が存在します。どういうことかというと、本来正規で任用するべき「定数」よりも、正規教員が500人以上足りないということです。足りない分の教員は、半年ごとの臨時的任用で補充されています。

ごく簡単に言えば、教員採用選考試験で本当ならあと500人合格するはずのところをあえて不合格にし、その人たちを半年ごとの臨時的任用という形で働かせるということを、長年続けてきました。しかし近年は、教員採用選考試験に合格できなかった人たちが「臨時でもいいから教員をやります。」とは言わなくなり、諦めて民間に就職する学生が増えてきました。そのために、あてにしていただけの人数が集まらず、正規と臨時を合わせても「定数」に満たない、「定数内未補充」という状況が生まれています。静岡県の今年度初めの「定数内未補充」は52人。多くの学校が欠員状態で新年度を迎えています。

私たち全教静岡は教育長に対し、今回の問題発言の撤回を求めるとともに、政策的に多くの臨時教員を生み出してきたことが今日の教員不足問題を引き起こしたという教育行政の責任を認め、一日も早く「定数内欠員」をなくすこと、長年学校現場を支えてきた臨時教員を正規にすることを要求して、今後も交渉を続けます。