静岡県人事委員会への要求書2023

 8月7日の人事院報告と勧告を受けて、静岡県人事委員会(例年10月中旬勧告)、静岡市人事委員会(同9月中旬勧告)、浜松市人事委員会(同9月下旬勧告)に向けて、要請を行います。

 以下は、全教静岡の静岡県人事委員会に対しての要求書の前文です。

要求書・前文

 人事院、初任給1万円増など「33年ぶりの高水準」の勧告を行い、報告でも「週休3日制」「在宅勤務手当」、「勤務間インターバルの確保」、「休暇取得期間の拡大」などに触れました。今春闘の成果や、公務員・教職員の長時間労働に対する批判に応えたものと思います。

 

 しかし、昨年来2万、3万とも伝えられる品目の値上げがあり、物価高騰は日々の生活を圧迫しています。再任用を含め全体の給与カーブ引き上げとは言え、人事院勧告の水準では、当面の生活の維持だけでなく、将来の生活設計にも不安が募ります。若年層の上げ幅を大きくしましたが、将来設計を見据えて就職することを考えれば、公務員・教職員の志望者を増やすことになるかは疑問が残ります。また住居費や教育費などの比重が増える中・高年齢層にとっては、納得のいくものではありません。

 

 人事院が打ち出した「給与制度のアップデート」ですが、「人材確保」「個々の成長」「多様な働き方」のどれをとっても、今やることではないというのが、現場の声です。その関連で「65歳の定年を見据えた給与カーブのあり方等、引き続き検討」と示されると、成果・実績・評価主義で、全体の給料を増やさず、競わせることに主眼があると思わざるを得ません。

 

 「県内小中教員84人不足」、「教員の精神疾患療養 県内急増」とは、最近の地元新聞1面の見出しです。学校現場の多忙化は深刻であり、そこに見出しのような内容が加われば、現場の教職員の大変さはご想像できると思います。このことは、昨年度も指摘していたことです。教員不足は「適切な人員配置」以前の人事行政の過誤とも言えることです。精神疾患長期療養者については、貴職が再三警告しているメンタルヘルスに関わる重要な改善課題です。しかもここ数年来、指摘し要求してきていたことであり、即刻の改善勧告がされてしかるべきと考えます。

 

 勤務間インターバルの確保や休暇制度の改善は、心身の健康を保つのに当然のことです。しかし人を増やし、業務を減らすという誰もが認める多忙解消の二大テーマの実行抜きに「働き方改革」を進めることには無理があります。7月の富山県滑川市の中学校教員過労死裁判の判決は、「校長の安全配慮義務違反」と断罪しました。静岡県教育委員会は、業務改善〝夢〟コーディネーターを配置するなど取り組んでいると言いますが、教員の分掌が増えただけの声もあがっています。第二第三の安全配慮義務違反校長が出るのではと危惧しています。貴職からの抜本的改革提言がなされることを望んでいます。

 

 会計年度任用職員は、子どもたちの成長と発達を支える重要で学校にはなくてはならない職となっています。当然見合った待遇であるべきです。昨年度、任用制度の改定4年目を前にして、貴職からの待遇改善等の報告・勧告がなされると期待しましたが、ありませんでした。私たちが行ったアンケートで会計年度任用職員の方たちの要求の第一は、断トツで「賃金の上昇」です。生活の面での保障は重要な要素です。昨年度末、高校の非常勤講師の方が勤務のあり方と時間外手当の支給について措置要求をされたことを真摯に受け止め、考えていただきたいと思います。

 

 新型コロナウイルス感染では、県は警報を発令しました。ICT教育推進などの要請の声はますます強まっています。学校現場に求められる課題が増えて、教職員の多忙化に歯止めがかかりません。これでは、教職員志望者が増えるわけはありません。

 

 このような中で、賃金・勤務条件が改善されることは、現場の教職員のモチベーションを高める上でますます重要となっています。今年の貴職の勧告・報告が、私たちの働く実態と要求を十分に汲んだものとなるよう期待して、下記(注;今回は略)のように要求します。

 

 要求項目については、次回。