8月27日静岡県人事委員会に、全静岡教職員組合(全教静岡)の要求書を提出してきました。
 要求書は以下のとおりです。
                       

静岡県人事委員会へ提出した「要求書」

 
 静岡県職員の賃金労働条件等の改善に尽力されていることに敬意を表します。
 人事院は8月6日、内閣と国会に対して、0.36%の官民較差にもとづき、初任給を2,500円引き上げ、若年層に同程度の改定、高位号棒でも1,100円の引き上げなどの俸給表の改善を勧告しました。一時金も0.10月分引き上げを勧告しています。2年連続の引き上げ勧告は歓迎するところですが、この間の賃金引き下げや2年間の「臨時引き下げ」、消費税増と物価上昇(2.9%平成26年度消費者物価指数前年度比・総務省)などを考えると非常に不十分です。また本年4月からの「給与制度の総合的見直し」によって、多くの職員が現給保障をを受けているため、実際の支給額は引き上げになりません。
 格差の分を地域手当の支給割合の引き上げに重きを置くことも容認できるものではありません。ますます地域間格差を広げる地域手当の見直しは、全国で同じ仕事をし、生活している公務員・教職員から大きな怒りを買っています。
 また、フレックスタイム制拡大を打ち出していますが、過大な業務量削減抜きに「超過勤務の縮減」や「柔軟な働き方」が実現できるとは思えません。

 さて、静岡県では、貴職も遺憾の意を表明した「臨時賃金引き下げ」、退職金の引き下げ、住居手当の廃止等々が実施され、現給保障があるとはいえ平均2%引き下げの「給与制度の総合的見直し」も導入されました。静岡県の公務員・教職員は、我慢に我慢を重ねてきています。生活を圧迫するだけでなく、公務員・教職員の専門性・継続性・安定性を否定し、モチベーション低下を引き起こしています。
 昨年貴職が「過度な時間外労働の解消」「教育職員の多忙化の解消」について長文の報告をし、「長時間労働」について「真摯な検討」をお願いしたにもかかわらず、長時間過密勤務状況はさらに悪化し、一層深刻な事態となっています。依然として定年まで勤め上げることが困難となっており、若年層での離職や精神疾患もあとを絶ちません。
 貴職は「配分」論を言いますが、「配分」とは政策論であって時の県政の施策方針に関わるものです。どのように「配分」してほしいかは、県政の施策方針に関わらず、職員の賃金や生活、勤務実態を考えて、「情勢適応の原則」にもとづき、貴職自らが判断するべきものと考えます。
ついては、このように非常に苦しい状況の中で奮闘している教職員の声に耳を傾け、教職員の専門性と勤務の実態に見合った待遇改善がなされることを切に願い、以下の要求をいたします。


 1 地方公務員・関連労働者の暮らしを守り、「全体の奉仕者」として誇りと尊厳を持って職務に専念できるよう、賃金・労働条件の改善・充実をはかる勧告をおこなうこと。   
   具体的には、消費税増税分や物価上昇分を加味し、高齢層も差別せず全員に月例給4%以上の引き上げ、一時金0.9月以上引き上げ(5.00月)の勧告をすること。

 2 教員の給与勧告にあたっては、地方公務員法および教員人材確保法にもとづき、専門性および勤務実態に見合った適切な給与水準を確保すること。


 3 「給与制度の総合的見直し」を中止すること。


 4 「公務と民間では昇進管理等の人事運用に相違もある」と貴職も認めた50歳台後半層における公民の違いをより精査し、生計費原則に立ち、また若年層の将来展望に希望を持たせるために  も50歳台後半層の賃金引き下げを行わないこと。

 5 地域手当を全県6%以上とし、また地域間格差をなくすよう国と県に提言すること。

 6 職務による格差の拡大をやめ、生計費原則に立ち、号給足伸ばしなど必要な措置を講じること。



 7 確実な「雇用と年金の接続」のため、定年延長の実施、および希望するすべての職員の雇用の保障を勧告すること。現行の再任用教職員の賃金については、生活を維持するにふさわしく引き  上げること。


 8 長時間過密労働・時間外勤務解消へ向けた具体的措置を講じるよう、昨年以上に強く具体的に勧告をすること。


 9 部活動指導の勤務上の位置づけを明確にさせ、さらに顧問教員等の負担軽減をすすめるための社会基盤の確立を求めた改善勧告をすること。


10 「7・4総務省公務員部長通知」の指導に基づき、臨時・非常勤教職員の任用および勤務条件  を、職務内容に照らして再検討すること。

11 臨時的任用教職員や非常勤教職員の賃金及び休暇制度等の労働条件改善の実行に向け、踏み込んだ勧告をすること。

12 再任用制度の義務化にともない、これまで静岡県教職員の一員として重要な役割を担ってきた臨時的任用教職員や非常勤教職員を、調整弁として「首切り」することがないよう勧告すること。


13 教育の現場にはなじまない評価制度と評価にもとづく差別的賃金体系を推し進める勧告をしないこと。


14 「メンタルヘルス対策」では、「予防」から「復帰」までのさらに踏み込んだ対策について勧告すること。

15 「ハラスメント防止」とりわけ「近年顕在化」しているパワーハラスメント防止について、管理職に対して特に強く勧告すること。


16 憲法とILO勧告に基づき、公務員労働者の労働基本権を保障するなど、民主的公務員制度確立にむけ積極的に政府に働きかけること。

17 公務員賃金の持つ社会的影響力を考慮し、比較対象企業規模を「100人以上」に戻し、消費拡大による景気の回復、地域経済の活性化などをめざす積極的な改善を行うこと。

                                           以上