県教委、退職金の大幅削減、今年度退職者から適用すると「駆け込み提案」減額の大きさでも、「踏み絵」を迫る姿勢でも、「倫理性」すら問われる許せない提案

 県教委は、1月30日教育総務課長と組合との交渉の場で、退職金を2年間3段階で400万円超も減らす提案をしてきました。しかも、今年度退職者から適用するという、働く者をないがしろにする「駆け込み提案」です。(注;「教職員」は「地方公務員」と読み替えても同様です。)

県教委の提案してきた内容は、次のとおりです。

 1 施行日は議会議決後の3月20日。

 2 (1) 3月20日から9月30日までは、調整率を98/100 とする。
     (注;現行104/100より額で150万円の大幅減)

   (2) 10月1日から来年平成26年6月30日まで92/100とする。
     (注;現行より300万円の減額)

   (3) 来年平成26年7月1日から87/100とする。
     (注;現行より430万円超の減額)

 3 算定方法に「特例給料月額」を加える。
     (これは、一定の譲歩。約20万円加わる)

県教委の提案は許せない

 これらの提案は、次の点で不当で許されない、全く倫理性のかけらもない提案です。

1. 150万円〜400万円の大幅な減額の酷さ

■ 多忙で、無定量に仕事を増やされてきて、でも、定年までは頑張って働こうと粉骨砕身し、やっと定年までたどりつこうとしていて、良かったね、頑張ったねと言ってもらえるはずの教職員への非道な仕打ち。
■ 若手・中堅の教職員の将来の展望ややる気を削ぐもの。
■ 住宅、教育費などローン返済をあてにしていた教職員の生活設計を根底から崩すもの。

2. 年度末まで一生懸命働くと 給料を盗られ、ただ働き

■ 4月から仕事をしてきて、当然年度末まで働くつもりでいる(仕事を与えられている)今年度退職者に対して、突然150万円もの減額を年度内に施行を強行するというだましうち。
■ 3か月分の給料を盗られるのと同じです。最後はただ働きしろというブラック企業並みの酷さ。
■ 多少違いますが、来年度、再来年度退職者も上記と同様。
注  県の調査では、年度内実施は24県で、4月1日来年度からの実施は16県もあります。ということは、少なくとも、今年度退職者を裏切らない措置を取ることが可能であったわけです。

3. 途中退職(誕生日以後の定年退職)を認めつつ「踏み絵」を迫る 「駆け込み退職」という非難

■ 定年誕生日以後の年度内退職を、「非難できない」「制度上出来る」「本人の選択を尊重」と県教委は言いながら。
■ 静岡県知事は、他県の「駆け込み退職」について「教職員の職分の倫理性を汚した」と言って、「倫理性」という名の下に「踏み絵」を強制。
注; 注;施行日までは、現行の104/100の支給率で退職金が支払われます。従って、定年の誕生日が過ぎていれば、現行通りの退職手当となります。そのため、全国で地方公務員の「駆け込み退職」が主にマスコミで問題とされています。
□ しかし、「春休みだって、教職員には仕事がある」のに「半端な時期に条例や制度を施行するということ自体、思慮がない」、「誰もが納得する年度末にやろうと思えば出来るにもかかわらず、…この決定はその教師の気持ちをもてあそぶ制度である」などの声こそ正論。
□ 定年まではとぎりぎりで働いてきた教職員や退職金をローン返済や教育費などとして生活設計してきた教職員が、150万円という多額の「不払い」があると知って辞めるのは、むしろ当然。
■ 静岡県のように3月20日施行(年度内施行)とすると、3月21日以降に定年の誕生日を迎える教職員は、現行どおりの退職ができないという差別的な制度。

4. もともと「駆け込んだ」のは、国や県

■ 国家公務員の退職金大幅減額を決めた国こそ「駆け込み」の張本人。11月16日、衆院解散が決まっていたその日に、衆参あわせても1時間程度の審議で減額が決定。時を待たず総務省が11月26日には、地方公務員も退職金大幅減額をするよう地方に圧力。(マスコミは、これをこそ、「駆け込み」と批判すべきです。)
■ 県の提案も、「駆け込み」。組合に対して初めて12月12日提案。2回目1月18日。しかも、国に逆らうことはできないからと、端から400万円減額は既定路線であるとの提案。2月議会に間に合わせるために、形式的に今回のを持つ。

5. 「継続雇用」など組合のせめてもの提案を検討せず

■ 途中定年退職者(誕生日以後の定年退職)について、臨時教職員として採用するなどの措置を取るよう要求してきたのに、今回に至っても「制度的にはできる」「本人の選択を尊重する」と、従来の回答のまま。
■ 現場が困らないように検討している様子も見せない。
注;他県では、途中定年退職者(誕生日以後の定年退職)を引き続き臨時教職員として雇い、現場に支障がないような措置をとっているところもあります。静岡県も、せめて同様の措置をとるべきです。そうでないと、来年度もさ来年度も「教職員の気持ちがもてあそばれる」ことになります。


 付け加えるならば、国家公務員の退職金削減は、「大臣政務官稲見哲男君) この退職金の問題で合意をできましたのは、連合、公務労協とでございました。」(参議院総務委員会11月16日)というように、「合意」している組合がありました。静岡県ではどうでしょうか。心配です。
 追、2月2日静岡新聞は、2つの組合が、合意していることを報道しました。合意の内容はわかりません。途中定年退職者(誕生日以後の定年退職)への組合の対応もわかりません。理解を示したのなら、応援することになるのが、組合の常識だと想いますが。

 1ヶ月前なら、臨時教職員を措置できるというのが、交渉の際、県教委の示したところです。


 また、県教委が、各市町教委に関係する通知を発したということです。2、3日中には、各職場に伝達されると想います。
 校長が、どのように説明したか、教えてください。


 いずれにしても、今後は2月県議会、県会議員に積極的に要請をしていきたいと思います。せめて、「駆け込み審議」「駆け込み決定」にならないように。