長年がんばってきた労苦に対する報いがこれか!


 1月30日、静岡県教委は各職員団体に対し、退職金削減についての最終回答を行いました。その内容はすでに新聞でも報道されていますが、今年3月20日以後の定年退職者の退職金を約150万円、10月1日以後の退職者は約300万円、来年7月1日以後の退職者は約430万円、減額するというものです。そのための条例案が2月県議会に提案されます。(注;「特例給与」の措置のため、減額はそれぞれ約20万円解消されます。)

はじめに結論ありきの一方的な決定

 今回の提案が最初にあったのは12月。いきなりの提案でした。その後、職員団体との話し合いはたったの2回だけ。その内容も「ゴールはもう動かせない。スタートをいつにするかだけ。」という一方的なものでした。
 労働者の生活に直接影響する重大な問題であるにもかかわらず、組合とまじめに話し合おうともせず一方的に決定したことは、暴挙としか言えません。市教組が加入する全静岡教職員組合(全教静岡)は今回の提案を断固拒否し、撤回を申し入れました。

退職後の生活設計に大きく影響

「いきなり150万円の減額は厳しい。まだ息子は大学生で、授業料が年100万はかかる。」
「住宅ローンを退職金で完済しようと思っていたのに、計画の練り直しです。困ってます。」
「この10年間毎年給料が減り、そのうえ退職金まで。年金だってどうなるかわからないし、老後が不安です。」


 全教静岡・市教組がみなさんからの意見を募集したところ、これまでに多くの怒りの声、戸惑いの声が届いています。みなさんから寄せられた声は県教委に直接届けました。
 にもかかわらず、切実な声を無視して退職金削減を決めたことに、強い怒りを感じずにはいられません。


 全国の様子を見ると、16の自治体が年度内の削減による混乱を避けるため、削減の開始を4月1日からとしています。
 また山口県や北海道のように、その後の段階的削減も1年ごとに先延ばししているところもあります。
 これらの自治体と比べても、静岡県のやり方は退職者に対する何の思いやりも無いものと言えます。

「早期退職者が非難されるべきで はない」と県教委

 すでに削減条例が可決されている愛知県や埼玉県などでは、削減の開始より前に早期退職する職員が続出しているという報道があります。
 静岡県の場合でも、3月19日以前に退職すれば150万円の減額を免れるわけですから、早期退職の希望者が出てきてもおかしくはありません。定年前の早期退職でも同様。
 全教静岡が「本県でも早期退職者が出た場合、どのように対処するのか?」と質問したところ、県教委は「早期退職者が出たとしてもそれを非難することはできない。本人の意思を尊重する。」と答えました。
 さらに「1か月以上の欠員が生じる場合には講師を配置する。(佐賀県京都府のように)退職者を引き続き講師として任用することも可能だ。」という見解も示しました。
 全教静岡、市教組は、教職員が生活を守るために年度途中での退職を希望したとしても、それはやむを得ないことで、無責任などと避難することは筋違いだと考えます。むしろ非難されるべきは、いきなり理不尽な決定をした静岡県のほうです。

静教組の妥結は全教職員への裏切り

 2月2日の静岡新聞は「県職員組合と県教職員組合(静教組)などと交渉妥結した。」と報じました。
しかし、全教静岡や静岡高教組は断固拒否、妥結などしていません。教職員の生活と権利を最後まで守り抜く立場なら、このような理不尽な提案は拒否するのが当然です。それを、組合内での論議も無しに、執行部だけで安易に妥結してしまったのはなぜでしょう?理解に苦しみます。同じ日教組でも、宮城県職員組合は、ねばりづよい交渉で、開始を4月1日とするところまで押し戻しました。


 このように書くと「組織への干渉」と言われるかもしれませんが、静教組の安易な妥結によって、結果的には静教組組合員でない人の退職金まで削減されてしまうのですから、看過できない問題です。高い組織率を誇る教職員組合だからこそ、その責任を果たしてもらいたいものです。