故大友先生の自殺を、公務災害と認める!

□堺の鈴木さん、京都の荻野さんや東條さんなどの公務災害認定判決に続いての画期的な地裁判決です。
□何より今回は、「過労自殺」について、認定させたことが大きいです。頑なに認めてこなかった地公災基金への痛撃!
仙台市教組、宮城県教組を中心としたたたかいにも、学ぶところ大!ご苦労様でした。
□控訴させないように、引き続き頑張ってほしいです。
□もちろん、犠牲者を今後出させない運動がもっと大事ですね。がんばりましょう!
□静岡の尾崎裁判、まさに28日に東京高裁で第2回口頭弁論が行われ、傍聴に行ってきたところです。詳しいことは、後日お伝えします。
基金側の「準備書面」(反論書)に憤っています!

大友先生の被災を“公務災害”と認定!!  勝利判決に対する声明

2007年8月28日
故大友雅義先生の公務災害認定を実現する会

 本日、仙台地方裁判所第1民事部は、中山中学校の教師であった故大友雅義先生の自殺を公務災害と認めるよう請求した原告の訴えを認め、地方公務員災害補償基金宮城支部による「公務外認定」とした裁決を破棄する決定を行いました。
 私たちは、この判決を歓迎するとともに、当判決が確定するまで油断せず、取り組みを継続する所存です。
 昨年度、文部科学省が実施した全国の教員勤務実態調査結果から、教員の時間外勤務は常態化しており、長時間・過密労働の実態にあることが明らかになりました。また大友先生は、このような過重な業務を行っていた上に、生徒会の責任者として指導を行い、さらに被災の年は、仙台で開催された全国中学校バドミントン大会の事務局長としての長時間にわたる激務を行っており、その結果の被災であることを考えれば当然すぎる判決でした。
 しかし、被告側はこれまで、校長による大友先生の勤務時間を証明する記録(証拠)が無いことを唯一の手がかりに、大友先生の長時間にわたる労働そのものを否定してきました。にも関わらず、今回、裁判長が大友先生の勤務実態を概ねこちら側の主張通り認め、「公務災害」と認めた背景には、これまでみなさんから寄せられた「ひと言意見書」や裁判長への要請署名、そして遺族や現場のみなさん、医師による裁判所での証言の存在が大きかったことは間違いありません。これまでのみなさんのご協力に感謝いたします。
 今後、地方公務員災害補償基金宮城支部長に対しては、学校現場の労働実態を直視し、控訴せず判決を受け入れることを、また、宮城県教育委員会仙台市教育委員会に対しては、違法状態に置かれている学校現場の、教職員の過重労働の早急な改善を求めます。



平成19年8月28日判決言渡
平成17年(行ウ)第23号 公務外認定処分取消等請求事件

判 決 要 旨

1 事案の概要
本件は、原告が、夫である大友雅義が、仙台で開催された第28回全国中学校バドミントン大会(全中大会)の競技役員として大会準備に従事中に自殺したこと(本件災害)について、地方公務員災害補償基金宮城県支部長が、平成15年5月23日付けで原告に対して行った、本件災害を公務外の災害と認定した処分の取消しを求める事案である。

2 結論
当裁判所は、地方公務員災害補償基金宮城県支部長による本件公務外認定処分は
違法であって取消しを免れないと判断する。その理由の要旨は以下のとおりである。

3 争点(1)(中体連関連業務が公務にあたるか。)について
 雅義は、本件災害があった平成10年度に、中山中学校バドミントン部の顧問に任命されていたとともに、県中体連パドミントン専門部副委員長及び全中大会実行委員会総務部部長としての職務(中体連関連業務)に従事していたところ、校長による部活動顧問への任命は、市中体連、県中体連及び全中大会実行委員会の役員に正式に選任された場合には、これに就任すべき旨の職務命令を包含するもの(条件付きの職務命令)と認めるのが相当であるから、中体連関連業務は、公務とは無関係の行為ということはできず、学校長の職務命令によって行われる公務にあたるというべきである。

4 争点(2)(本件災害は雅義が従事していた公務に起因するものか。)について
(1) 地方公務員災害捕償法31条の「職員が公務上死亡した場合」とは、職員が公務に基づく負傷又は疾病に起因して死亡した場合をいい、上記負傷又は疾病と公務との間には相当因果関係が必要であり、その負傷又は疾病が原因となって死亡事故が発生した場合でなければならないと解すべきであり、上記相当因果聞係が認められるには、公務と負傷又は疾病との間に条件開係があることを前提とし、これに加えて、社会通年上、公務が当該疾病等を発生させる危険を内在又は随伴しており、その危険が現実化したと認められることを要するものと解すべきである。
(2) うつ病と自殺との因果関係について
 職員が精神障害に起因して自殺した場合、それが公務に基づく精神障害に起因し
てて死亡したといえるためには、当該公務と精神障害との間に相当因果関係が認められること及び当該精神障害と自殺との間にも相当因果関係が認められることが必要であるところ、本件において、雅義がうつ病にり患したことと雅義が自殺したこととの間に相当困果関係が認められることについては当事者間に争いがない。
(3) 公務とうつ病との因果関係
ア 内的要因について
 雅義は、個体としての脆弱性を強める程の性格的特徴を有するとは評価できず、
他に、雅義が、うつ病にり患しやすい肉的要因を有していたとは認め難い。
 イ 雅義の従事していた公務の過重性(外的要因)について  
 雅義は、平成10年4月以降、免許外科目である社会科を初めて担当するように
なったことが認められる。社会科は、指導経験がない科目であるゆえ、雅義は、指
導方針や実際の授業内容をどのようにすべきかについて悩み、授業の準備に多くの時間と労力を費やしたものと推認でき、このことは、雅義に対し、相当な精神的負荷を与えるものであったというべきである。
 また、雅義は、同年7月上旬に全中大会実行委員会の総務部部長に就任したが、大会運営等を総括する立場ともいうべき総務部の職務の重責は多大なものであったと認められる。
 加えて、雅義は、上記時期ころから、生徒会指導において、文化祭、体育祭、生徒会選挙の各実行委員会の指導が重なっていたこと、県中総体の準備等の職務を行わなければならなかったため、全中大会の職務を県中総体が終了した同月下旬以降の短期間に集中的に行わなければならず、学校における超過勤務に加え、自宅においても深夜に至るまで、このような職務に従事していたと認められ、これにより、極めて大きな精神的負荷が与えられていたというべきである。
 雅義は、総務部部長に正式に委嘱を受けた同月上旬以前から、同月における過重な職務の状況を把握していたため、この時期が近づくに連れて、次第に不安感、重責感が募り、それが多大な精神的負荷となっていたものと推測され、このことから、同年6月末以降、不眠、食欲不振等のうつ病エピソードを訴えるようになったものと解される。そして、雅義は、同年7月中旬以降、疲労感を訴え、自信の低下ないし将来に対する悲観的な訴えをするようになったことからすれぱ、遅くとも、この
ころまでには、軽症のうつ病にり患していたもの認めるのが相当である。
 上記のように、雅義の従事していた職務内容は、雅義に対して質的に極めて大きな精神的負荷を与えるものであったと認められる上、雅義は同年6月以降、1か月に少なくとも約100時間以上の超過勤務を行っていたと認められ、雅義が従事していた公務は、労働時間から見ても、極めて大きな精神的負荷を与えるもの(で?)あったというべきである。
そして、上記公務以外に、雅義に対してうつ病を発症させる外的要因となり得る
事情は認め難いことをも総合すると、雅義が従事していた公務は、社会通念上、う
つ病を発生きせる危険を内在又は随伴しており、その危険が現実化したといえる関係あるものと認められるというべきであり、したがって、雅義が従事していた公務
と雅義がり患していたうつ病との間には、相当因果関係が認められるというべきで
ある。
(4) 以上のとおり、本件災害は雅義が従事していた公務に起因するものと認められるから、本件災害の公務起因性を否定した本件公務外認定処分は、違法というべきであって、取消しを免れない。 以上