尾崎さん支援する会総会が開かれます

 (尾崎善子先生の公務災害認定を支援する会)
 基金の上告理由への反論について学ぼう〜職場のたたかいに即通じる!

9月23日(水)・秋分の日

13時30分〜

西部教組事務所

浜松市東区神立町119−11  ※ 神立=こうだち
   053−443−7887
  JR浜松駅バスターミナル乗り場 10番より 労災病院下車
    ・蒲線(系統番号71・74・77・78)・労災・篠ヶ瀬線(系統番号85)
    ・笠井線(系統番号75・76)
  →柳通『神立町東』交差点を南に50m、東側に見える5階建てビルの2階


  基金(地方公務員災害補償基金)が上告理由にしている「公務起因性判断の事実認定」および「うつ病に関する医学的知見の認定」、さらに「最高裁判例に相反している」ことについて、この間、塩沢弁護士中心に、重要な反論を最高裁に提出しています。その点について、塩沢弁護士から学びましょう。

 それは、職場での問題やその解決につながることです。
 また、あなたの声をお聞かせください。

 是非ご参加ください!どなたでも自由に参加できます。 

〜高裁判決とその後

画期的な東京高裁判決

 2008年4月24日、東京高裁は、尾崎善子さん(小学校養護学級担任・静教組小笠支部組合員)の自殺を「公務災害」として認める判決を出しました!

静岡地裁判決を真っ向から否定

 2007年3月の静岡地裁判決(地方公務員災害補償基金の主張を鵜呑み)は、
① 2週間の養護学級体験入学の受け入れは大変ではなかった。
② 4月に特休に入って3カ月半後の自殺は「職場復帰」へのストレスだった。
③ うつ病による自殺は尾崎さん個人の「脆弱性」の問題(平均的な教員なら罹患しない =平均人基準説)。   
というものでした。
 しかし東京高裁は、事実認定はほとんど地裁判決と同じながら、全く正反対の観点で判決を出しました。

体験入学の過重性(質的な業務の過重性)認める

 異例の2週間の体験入学について「本件体験入学実施により、それまで経験していなかった尋常でない事態に次々と遭遇し、精神的にこれに付いていくことができず、…それまで20年間培ってきた教員としての存立基盤が揺らぎ…精神的に深刻な危機に陥って、気力を使い果たして疲弊、抑うつの状態になった」と、その過重性を認めました。
 そして、「体験入学実施期間中に本件体験入学実施による精神的重圧によりうつ病に罹患し、復職間近になって重症化し、うつ病に基づく自殺企図の発作によって自殺したものとみとめられるのであり、」「本件体験入学の実施の公務としての過重性は優に肯定することができる」としています。
 つまり長時間残業などの時間的な過重性ではなく、質的な業務の過重性を認めた点で画期的な判決です。

うつ病は「普通の体の病気」

 また気分障害うつ病等)について、最近の医学的知見から「特殊な遺伝疾患ではなく普通の体の病気」「もともと周期性の病気」等、長い解説を加えています。

個人的な「脆弱性」の問題ではない

 基金や地裁判決は、尾崎さんの個人的な「脆弱性」をことさらに強調していたのですが、東京高裁判決は、「うつ病になりやすい性格とは、『問題のある性格傾向』という意味ではなく、むしろ、適応力のある誠実な気質と強く関係する」と明快です。
「几帳面、まじめ、職務熱心、責任感、誠実という(うつ病に関係の深い)性格傾向を有していても、柔軟性にやや欠ける者であれば教職員として採用するにふさわしくないとは到底いえない」とし、尾崎さんの場合「20年間に及ぶ教員としての十分な勤務実績を上げたことによって裏付けられている」とも言っています。

公務災害認定が法(地方公務員災害補償法)の趣旨

 基金や地裁は、「弱い人のために」税金を使うわけにはいかない(平均人基準説)と主張していました。東京高裁判決はその冷たさに対して、憤っているかのように次のように結んでいます。
 「当該公務員が几帳面、まじめ、職務熱心、責任感、誠実、柔軟性にやや欠けるという うつ病に関係の深い性格傾向を有していたことを理由に、当該公務員を公務災害の対象 としないことが 法の趣旨であるとは、到底理解することができない。」
まじめにやってきた仕事によって災害(病気)にあったのに、公務災害にならないなんておかしいことです。

基金は不当にも上告

 2007年3月の静岡地裁不当判決の際、地元の同僚の方が「えっ、公務災害にならなかったの?」とびっくりしておられました。現場感覚では今回の東京高裁判決は当然のことなのです。まじめに働いていた教員が、2週間もの異例・異常な「体験入学」という業務でうつ病を発症したのです。うつ病発症の「引き金になった」ということは、基金静岡地裁も認めていることです。それなのに、頑なに公務災害として認めようとしない態度です。これで、本当に安心して、士気を高めながら、働くことができるのでしょうか。「過重な業務でも我慢して働け」「うつ病を発症するような弱い奴は助けない」と言っているようなものです。こんなこと許せません。
 支援する会や安健センター、全教静岡などが直接基金支部に要請し、県内・県外の多くの方々が、FAXなどで上告しないよう要請しました。にもかかわらず、地方公務員災害補償基金静岡県支部支部長 石川県知事=当時)は、最高裁に上告しました。

基金側上告理由は、

 「高裁は『判決理由』を述べていない!」「公務起因性を判断する事実認定については一審判決と同じなのに、結論が正反対になっている。それにもかかわらず、同じ事実認定を前提としながらも、なぜ結論が異なったのか、その理由を述べていない。明らかに理由不備がある。」「また、うつ病に関する医学的知見の認定についても、医学上の事実認定についても根拠を示さず結論を導き出しているのは理由齟齬ないし理由不備である」ということが、基金側の問題にしたいところなのです。
 「高裁判決は、最高裁判例にないから取り消せ!」もう一つ「上告受理申立理由書」では、「公務起因性について、高裁の判決は最高裁判例に相反している。今までの公務関係の最高裁判決は、公務に過重性が認められなければ、公務起因性がない、公務が単なる誘因に過ぎない場合には、公務起因性を否定、本人基準説は採用していない」とし、高裁の判決は最高裁判決に相反しているので、取り消しを免れない」と述べています。要するに、高裁の判決は最高裁判例にないから取り消せ、と言うのです。

尾崎さん側、再三反論

 基金の上告に対して、特に上記2点を中心に弁護士さんが反論をしています。また、全国の過労死弁護団とも連携を始めています。

 9/23総会で塩沢弁護士から詳しいお話を聞くことができます。