[尾崎裁判]
不当判決! 裁判官の“教育現場の実態”や“体験入学そのものの問題”を大事にしない「判決」に大きな怒り! 皆さんには引き続く裁判闘争への大きな支援をお願いします! (「支援する会」ニュース№14より掲載)
 3月22日、静岡地裁で「尾崎裁判」(故・尾崎善子先生の公務外認定処分を取り消し、公務災害を認めるよう請求した裁判)の判決が出されました。支援する皆さんが30数名駆けつけてくださり、傍聴席を一杯にして「判決」に耳を傾けました。定刻に席に着いた裁判長は、
 「原告の請求を棄却する」
と、結論を一言述べただけで、「詳しくは文書(107ページに及ぶもの)を」というものでした。
 2年半もかかった裁判なのですから、そう判断した理由を分かりやすく述べてもいいのではと思った「判決」でした。
うつ病」の原因は、公務にあった!と認めるが、自殺は・・・ 
 「判決」では、「尾崎先生がうつ病を発症したのは、体験入学が要因となった」ことははっきり認めました。だったら「うつ病」に罹り、自殺に追い込まれてしまった尾崎先生は「公務災害」として認定されて当然と思うのですが、それが違うのです。「自殺が公務の過重性にあったかというと、尾崎先生の仕事は、受け持っている子どもの数も少ないし、仕事量も多いとは言えない。そう見ていくと、決して過重性があったとは言えない」とし、更に「平均基準説」(他の人ならどう受け止めるかという論で、一般的な基準を持ち込もうとするもの)の立場にたって、「尾崎先生にはべつの要因(潜在的・個体的要因)があった」と決めつけています。
今、裁判の流れは「個人基準説」(人と比べるのではなく、本人にとってどうなのかという論)の立場がとられるようになってきています。ところが、今回の「判決」は、全く“時代遅れ”のものでしかなかったのです。
 問題点いっぱいの「判決」に怒り! 
 「判決」後の「報告会」の中で、参加者からいろんな「問題」が指摘されました。
■「教育現場」の実態を、裁判所にわかってもらう必要がある。むずかしいことだが、大変大事なこと。
■体験入学そのものに対するとらえ方が問題。裁判官は、それを避けている。
■子どもの障害の内容・程度を考えようともせず、「尾崎先生は、2人の子どもしか受け持っていなかった」とする考えは間違っている。
■尾崎先生を「一年間しか養護学級の担任をさせないで転任させ、新任校で出来たばかりの養護学級の担任にさせた」校長たちにも大きな責任があるのではないか。
■普通学級担任とは全く違う、その大変さが分かっていない。

 「教育現場の実態」を知らない裁判官が、今回のように「○○先生が病気になったのは、○○先生が他の先生と比べて精神的に弱かったからだ」と結論を出させるようなことを許してしまってはいけません。
 原告の一人、弟の正典氏が以前から「姉と同じような先生を一人も出さないために、裁判を闘う」と言っていました。私たち『支援する会』も同じように考え、支援する運動を進めてきました。この『支援する会ニュース』をお読みの皆さん、裁判はこれから「東京高裁」へと進んでいくことでしょう。「署名」も、また一から出直しです。皆さん、大きな大きな支援をよろしくお願いいたします。
2007年3月23日