安健センター「職場の安全衛生活動」交流会報告 07.1.27 

1/27に県評に於いて、安健センター(静岡県働くものの安全と健康を守るセンター)主催の「職場の安全衛生活動」交流会が開かれました。

職場の労働安全衛生委員会

□ 先ず、事務局が調査した県内19職場(23の部署)の安全衛生委員会(以下、委員会)の活動が紹介されました。委員会を毎月開催しているのは14委員会でした。19の所で「職場巡視」をしており、21の所で広報もしています。
 議題は、「インフルエンザ」「喫煙率」「検診の実施報告」「過重労働者面談」「メンタルヘルス」「長期病休者対応」などです。
 取り組みとしては、「労災事故の追跡調査」、「産業医による健康相談の実施」、「リスクアセスメントによる職場の改善」、「職場巡視による超勤の指摘」等です。

「50人未満」職場でも委員会をつくらせるべきだ

□ 委員会は50人以上の職場(臨時的任用者含む)に設置すべきとなっています。(これには罰則がある)しかし事務局から「労働安全衛生規則」の(関係労働者の意見の聴取)第23条の2は、「委員会を設けている事業者以外の事業者は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者に意見を聴くための機会を設けるようにしなければならない」となっているから、「50人未満」の職場でも委員会をつくらせるべきだ、という提案がありました。

◆2つの労組から、職場の労働安全衛生活動の紹介がありました。

□ 民間労組からは次のような報告がありました。

 職場の安全衛生活動を活発化させるのに大事にしてきたのは以下の点です。
 1.事業主の心を動かす
  ① 法(労働安全衛生法)を遵守(コンプライアンス)することが大事だと訴   えました。
  ② 業務上の災害や心的危害は、百害あって一利なしと訴えました。
   ア 業務上の災害や心的危害は、労働生産性を落とす。同時に、「開いた穴」    は、労働者へのしわ寄せとなる。
   イ コスト増(浪費)につながる。保険料の高騰(見えない人件費であり、    賃金原資の目減り)となる。
   ウ 職場環境の悪化をもたらす。それは、人材流出、マネジメントの低下を    もたらす。
 2.組織的な活動にする
   ア 就業規則に明記させる。
   イ 50人未満も含めて全事業所に委員会を個別設置させる。
   ウ 各事業所で環境や働き方が違うので、個別業態で統括部署を設置させる。   エ 予算もあるので、全体を取りまとめる中央委員会を設置させる。
   オ ニュースなどで周知させる。
 3.労組の関わり
  ① 職場の実態をつかむ。定期的な職場安全点検をする。見慣れている中で、   見過ごしがちな埋没しやすい問題をつかむ。
  ② 年1回の労安の学習会(既に9回開催、管理職も来るようになった)を持   ってきた。職員の半分以上が受講し意識や知識が広まった。
  ③ 上部団体や他団体の取り組みから学ぶ。
 4.今後、重点としたいことは、
  ① 産業医をもっと活用する。
  ② 専門性発揮のため、「衛生管理者」「安全管理者」(免許取得)を養成する。  ③ 委託、派遣の方にも目を向ける。    
以上の中で、労災事故が極端に減ったということです。

□ 市職の取り組み

 全国で自殺者が3万人というが、実は自殺未遂の人はさらに15万人はいるだろうとのことです。この職場でも、年平均すると1人以上いるとのことです。また超勤年360時間以上の調査をすると、900時間とか1000時間などの職員もいるようです。年休取得も管理職や新採など0日に近い人もいたそうです。従来は、公務災害が隠され(これは罰則あり)、委員会も年1回程度開催だったようです。
 しかし現在委員会は月1回開催になり、産業医や衛生管理者による月1回(以上?)の職場巡視をさせるようになりました。
 各職場が作成して産業に見せる「産業医職場巡視点検票」を見せてもらいました。先ず、「常勤」と「非常勤」の欄があります。対象は当然全職員です。
 「定期健診受診状況」では、全員が受診しているか確認します。その上で、「異常・心配なし」と「要治療」等の人数を書くようになっています。同じ職場で「なし」という人は少ないとか。VDT健診受診状況もあります。希望受診のようですが、パソコン全盛の時代には必要なことですね。
 「超過勤務状況」には平均時間や最高・最低時間、そして360時間超の人数も記入することになっています。
 「有休取得の平均や最低取得日数」「喫煙者数」の記入欄があって、次に「産業医健康相談該当者」の欄があります。これは「過去6カ月で月100時間を超える時間外勤務、または2カ月〜6カ月に月平均80時間超」の職員を調べるものです。 「長期休暇者」(1カ月以上)や室内温度、湿度、照度記入欄もあります。
 これらを見て、産業医が意見を書くわけです。当然必要な改善につながります。
 それでもサービス残業は残るので、月1回労組と人事課、福利課で抜き打ち職場巡視も行っているそうです。また、懲戒基準にサービス残業をやらせたり黙認した管理職には、管理・監督の不適切として減給などの処分も盛り込ませたそうです。 よく管理職は、個人が好きで残って仕事をしているのだ、と言っていました。しかし、公務に「私」はないはずだ、夜中に「私的」に公務職場に残っていたら、それは窃盗罪だ、と指摘しているとか。

□ その後まだ学習は続きましたが、印象に残った話を3つだけ…

① 仕事の「やる気」の問題での一番は、仕事の質よりも「人間関係」だという調 査があるそうです。その点でのキーポイントは、管理職。話を聞いてやれず「やる気」を起こさせることを知らない管理職が多いそうです。ウン、わかるなあ。
② ILOの「労働」の定義は、「仕事を通して健康になり、人間として成長すること」であり、「お金ももら」い、かつ社会に貢献すること、だそうです。
③ ILOの第1号条約「8時間労働」を日本はいまだに批准していないということ。「通勤時間」を勤務時間に入れる国もあるというのに、日本の勤務時間の考え方の遅れは、相当ひどいと実感。  

□ 上記から見ても学校現場の労安体制は、非常に遅れています。また情報を発信しますので、ご意見や情報をお寄せください。