年度末人事異動、勤務時間の適正化、教職員評価についての要請書

 日頃、子どもや教職員が安心して過ごすことができる学校環境を整えようとご尽力されていることに敬意を表します。
 さて、今年も引き続き標記について、特に十分な配慮をしていただきたくお願いします。
教職員が健康で安心して働くことのできる職場環境づくりや勤務実態の改善は、憲法労働基準法労働安全衛生法厚生労働省通達や文部科学省通達でも明らかなように、管理職の重要な職務の一つです。職員の勤務時間の適正な管理をはじめ、管理職として職員への「安全配慮義務」を履行していただくよう切にお願いするものです。
 つきましては、下記の点で十分な対応をしていただくよう要請します。

1.年度末人事異動について

 (1) 教職員の希望や状況を十分把握し、校長個人の恣意的な判断を排し、市教委に対し正確に丁寧に意見具申すること。
 (2) 教職員の通勤条件・生活条件及び希望を最大限尊重し、納得と了解を大前提として人事を進めること。留任希望の職員に「希望校」を書かせたり、3区にまたがって「希望」を書かせるなどの強要は行わないこと。赴任直後1、2年目の留任希望の職員にまで「希望校」を書かせるなど論外であり、直ちに撤回すること。
 (3) 人事に関わる経過については教職員に常に明らかにすること。
     とりわけ希望外の異動の可能性がある場合には、「校長が当該教職員と十分話し合い、納得のいく異動となるよう努力する」こと。3月になって初めて希望外の異動を当該教職員に伝えるなどの不誠実な対応は、絶対行わないこと。
 (4) 退職を強要しないこと。
(5) 教職員への対応は、平等に行うこと。
(6) 組合・組合員と誠実に話し合うこと。

2.勤務時間の適正化および労働安全衛生について

 (1) 既に7時間45分の勤務になっている県費事務について、15分短縮分の業務縮減・改善もしくはその残業分にみあう賃金保障・代替などを校長会を通して県に要求すること。4月実施の教員に対しても15分短縮分の業務改善(縮減)措置が行われるよう県に働きかけること。
 (2) 市教委平成19年4月27日付通知「教職員の勤務時間の適正化について」の趣旨の徹底に努めること。
   ① 教職員に周知させること。
   ② 休憩時間取得、「定時退庁日」などについて、実現のための手だてを取ること。
   ③ 報告文書の削減等市教委に具体的施策の実施を求めること。    
   ④ 校長、教頭自ら「勤務時間管理の適正化」について理解を深めること。
 (3) 「教育職員の勤務時間の把握と医師の面接指導について」(平成20年3月17日市教委通知)は、「労働安全衛生法に基づく管理体制の整備は、教育職員が意欲と使命感を持って、教育活動に専念できる適切な労働環境の確保に資するものであり、ひいては学校教育全体の質の向上に寄与する観点から重要なもの」であることを踏まえ、職員の安全と衛生を確保する立場で誠実に対応すること。
     尚『教育職員始業終業時刻等記録簿』の取扱いについては、「やむを得ない場合」による「自己申告制」(厚生労働省2001年4月6日通知)である事を踏まえ、かつ勤務時間の実態を把握するためのものであることから、早出、休憩が取れない、持ち帰りなども時間外と認めること。また必要な実態調査も行うこと。
 (4) 校長、教頭が率先して労働基準法および労働安全衛生法遵守の立場に立つこと。
   ① 校長が「衛生推進者」に任命されており、「学校を巡回し、空調設備などの施設・設備、温度・採光などの環境衛生、教職員の勤務実態等を点検し、問題があるときは所要の措置を講ずる。」(文科省平成19年12月6日通知)という法的責務を負っていることを職員の前で表明(「表明」する法的義務があります。)し、かつ誠実にその職責を遂行すること。
     「(校長)自身が労働安全衛生法に定められた衛生推進者であることを教職員に周知し、一人一人の勤務状況や健康状態の把握に努めること」(市教委通知)
 尚、「(関係労働者の意見の聴取)第23条の2 委員会を設けている事業者以外の事業者(引用者注・50人未満の職場)は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければならない。」という労働安全衛生規則に留意すること。
   ② メンタルヘルス、セクハラ、パワハラについて、市教委の施策を待たず校長、教頭が率先して研修を深め、教職員の立場に立った対応をすること。
   ③ 労働基準法労働安全衛生法、及びそれに関わる厚生労働省平成13年4月6日通知、文部科学省平成18年4月3日通知、文部科学省平成19年12月6日通知等については、研修を深めるとともに、職員にも周知徹底すること。  

3.静岡市の教職員評価について

 (1) 教職員評価制度導入に反対すること。
 (2) 賃金への反映・人事への「活用」に反対すること。
 (3) 次の点について、配慮すること。
   ① この制度(試行)がどのように「教職員の資質向上」「学校の活性化」につながるのか、また試行でどうつながったのか、職員に十分説明し、納得を得ること。
   ② 「できるだけ教職員の負担にならないようにする」「目標は4つ以内」などの市教委の方針を守ること。「執拗に書き直しをさせる」、「記入内容・項目等を増やす」などのことはやめること。
   ③ この試行における面接は「成果と課題の確認」(市教委)に限定すること。「退職勧奨をする」、「自己目標シートとは直接関係ない話をする」、あるいは教務主任を同席させるなどの逸脱したやり方を行わないこと。
   ④ 教職員の士気の高揚につながるよう配慮すること。「評価されるようで相談しにくい」、「自信がなくなる」などの声があがるような指導は行わないこと。
⑤ 「評価者評価」に当たっては、上記④はもとより、「勤務時間内での評価」と客観的評価に努め、評価理由の開示と納得してもらうための説明及び異議申立ての保障を必ず行うこと。
                                   以上