尾崎さんの公務災害認定を求める裁判が結審!

注目の判決は、

    3月22日(木)13時30分から静岡地裁

 12/28尾崎善子さんの公務災害認定を求める裁判が、結審を迎えました。

協力していただいた方々に感謝

 04年8月に静岡地裁提訴以来2年余、立証活動を精力的に行い、11人の方が意見書・陳述書を出していただきました。当時尾崎さんと一緒の職場だった方にも弟さんが聴き取りを行い、それも実名で意見書として提出できました。
 尾崎さんの勤務していた地区で協力をいただくのは、実は大変なことです。もちろん県内でも。その中で、切実な現場の実態や思いを裁判所に提出するのは、そう簡単なことではありません。相手は、地方公務員災害補償基金静岡県支部(以下基金)ですが、基金支部長は静岡県知事です。また、基金の後ろにいるのは静岡県静岡県教委ですから。11人の意見書の重さがおわかりいただけるでしょうか。本当にありがとうございました。
 全教元障害児教育部長の浦岡さんは、当初から関わり心配してくださり、陳述書のみならず証人席にもすわっていただきました。その中から学ぶことが多かったです。
 また、「一言意見書」という形でもまとめて証拠として提出しました。これも、29人の方々が、現場の生々しい実態や悩みを、短い中ですが凝縮して綴っていただいたものです。尚これは、仙台市教組の大友過労死裁判のたたかいから学びました。
 県内のみならず、全国的にお願いした署名は、団体署名で392筆、個人署名で2773筆いただきました。全国の教職員の方が、我が事のように心配してくださっています。全教の会議などで「尾崎裁判」と言えば、だいぶの方がわかります。 夏には小笠のお茶を販売させていただきました。これも完売でした。ちょっと不安だったのですが。

弟さんと弁護団の奮闘に頭下がる 

 しかし、何よりこの間6年余、提訴前の基金への公務災害認定請求から資料、証拠集め、聴き取りなどされてきた尾崎さんの弟さん、そして塩沢弁護士をはじめとした弁護団の奮闘はただただ頭が下がるばかりです。
 結審の後の学習会で、弟さんは「やれることをやり尽くした。姉のことというばかりでなく、教職員のみなさんのたたかいとして、この間基金側が言ってきたこと、そのひどい中身を是非広げてほしい。」と訴えられました。

最終準備書面

 さて、当日の結審は、最終準備書面を原告側(尾崎さん)、被告側(基金)それぞれ提出したことが明らかにされました。塩沢弁護士からは若干の説明がされましたが短時間で、裁判長から「判決は3月22日木曜日13時30分から。」とあっただけで、あっけなく終わりました。(証人尋問以外は毎回そうだったのですが)
 で、終わった後の学習会で塩沢弁護士などから補足説明がありましたので、記録の限りで紹介します。
 まず、最終準備書面は162ページにわたっていること(基金側は61ページ)、弁護士事務所をあげて、心血を注いで取り組んだものであることが紹介されました。その内容は、訴訟の要件(この訴訟が妥当なものであること)から始まり、総論(法律論)、各論(事実論)で構成されています。
 公務災害補償はなぜあるのかという制度論では、過労死弁護団のたたかいなどからも学び、そもそも労働者の生存権の問題であることが大事なんだと言うことです。労働者は「従属労働」なのだから、「かわいそうだから救ってあげるよ」ではなく、災害補償はできるだけ手厚くやるべきだということです。

本人がおかれた立場を十分斟酌(しんしゃく)すべき

 その点で11/29にさいたま地裁で画期的な判決が出ているそうです。それは「平均人基準説」のような他の人だったらどうかなどの、訳のわからない比較ではなく、本人がおかれた立場を十分斟酌(しんしゃく)して判断すべきだと結論づけたものだそうです。すなわち、他の担当者にとってさほど気にならない仕事も、まじめで責任感の強いAにとっては、要領よくできず、負担だったから労災が適用されるべきだと。
 労災の方は一定の前進があるが、教師という職業のもつ業務、性格についてははっきりしていなのが現状です。管理職の場合は公務災害となった判例があるが、一般教員の例は、岩手地裁で1件あるだけだそうです。それも高裁で否決されています。

基金の官僚性が問題

 基金の官僚性の問題も大きいようです。中央の基金と相談し、現地調査もせず、専門医の鑑定程度で判断してしまうのです。尾崎さんの場合も、教師の仕事の性格をはっきりさせず、物理的な量、すなわち養護学級の子どもの人数が少なかった、時間割も大変でなかった、体験入学児童と関わった時間も少なかったなどのものさしだけで、その仕事の重さを判断しています。基金側は最終局面になって「後出しじゃんけん」のように、精神医学の権威の鑑定書を出して、仕事が無くても尾崎さんはうつ病になったかのように主張してきました。

教師の仕事の性格をはっきりさせること

 しかし、基金側は、事実をどう見るかの視点がありません。原因となった尾崎さんの教師としての仕事、障害児教育とはどういうものか、そして責任を持つ子どもに対して尾崎さんがおかれた立場や状況に立っての解明が必要なのです。2週間の体験入学の異常性、その前後の経過、静岡県の障害児教育の現状や問題、体験入学児の「自閉的傾向」の重さ、またうつ病についても解明が必要で、我らが弁護団の最終準備書面が膨大なものになったのは、それなりのわけがあるのです。
 最終準備書面は、連絡くださればお送りします。

34人+1人で傍聴席埋まる 決意新たに 

 当日の傍聴には、ご遺族、支援する会、全教静岡、高教組、OB、安健センターなど34人が詰めかけました。短時間での結審でしたが、その後の弁護士会館での学習会にも参加し、今後のたたかいの決意を確認しあいました。なにせ、「判決が、主文、公務外認定を取り消す(勝ち)でも、棄却(負け)するでも、お互い控訴することになるだろうから、どちらにしても一審では終わらない。」との塩沢弁護士の言葉は、ちょっと気楽には聞くことができませんでした。
 そうそう傍聴者はもう一人いました。おそらく基金の人だと思います。

判決日3月22日(木)13時30分静岡地裁 是非来てください