県人事委に要求書を提出

静岡県人事委員会に、要求書を出してきました。


2014年8月27日

要求書

 
 静岡県職員の賃金労働条件等の改善に尽力されていることに敬意を表します。
 人事院は8月7日、内閣と国会に対して、0.27%の官民較差にもとづき、1級の初任給を2,000円引き上げるなど若年層に重点を置いて国家公務員の俸給表を改定し、一時金を0.15月分引き上げることなどを勧告しました。7年ぶりの引き上げ勧告は歓迎するところですが、この間の賃金引き下げや2年間の「臨時引き下げ」、消費税増などを考えると非常に不十分です。また、一律ではなく50歳台後半層の据置きには大いに不満が残るところです。
 一方で、昨年の「報告」で打ち出した「給与制度の総合的見直し」について、組合側の再三の中止要求に反し、その実施も勧告しました。自らの民調ではないものを根拠に、俸給表水準平均2%引き下げ、50歳台後半層を対象にした最大4%引き下げは、到底許されないものです。さらに、新たに7級地を新設し、20%もの地域間格差を広げる地域手当の見直しは、全国で同じ仕事をし、生活している公務員・教職員から大きな怒りを買うものです。しかも、これを勧告するにあたって、組合側との誠実で納得を得るための手順を踏むことがなかった人事院の姿勢も問われています。
 さて、静岡県では、貴職も遺憾の意を表明した「臨時賃金引き下げ」、退職金の引き下げ、住居手当の廃止等々が実施され、公務員・教職員は、我慢に我慢を重ねてきています。生活を圧迫するだけでなく、公務員・教職員の専門性・継続性・安定性を否定し、モチベーション低下を引き起こしています。貴職の再三の提起にもかかわらず、長時間過密勤務状況はさらに悪化し、一層深刻な事態となっています。依然として定年まで勤め上げることが困難となっており、若年層での離職や精神疾患もあとを絶ちません。
 貴職は事前の交渉に当たって「配分」論を言っていますが、「配分」とは政策論であって時の県政の施策方針に関わるものです。どのように「配分」してほしいかは、県政の施策方針に関わらず、職員の賃金や生活、勤務実態を考えて、「情勢適応の原則」にもとづき、貴職自らが判断するべきものと考えます。
ついては、このように非常に苦しい状況の中で奮闘している教職員の声に耳を傾け、教職員の専門性と勤務の実態に見合った待遇改善がなされることを切に願い、以下の要求をいたします。

 1 地方公務員・関連労働者の暮らしを守り、「全体の奉仕者」として誇りと尊厳を持って職務に専念できるよう、賃金・労働条件の改善・充実をはかる勧告をおこなうこと。   
   具体的には、昨年度の臨時賃金引き下げや消費税増分を加味し、高齢層も差別せず全員に月例給4%以上の引き上げ、一時金5.00月以上(1.05月引き上げ)とすること。


 2 教員の給与勧告にあたっては、地方公務員法および教員人材確保法にもとづき、勤務実態に見合う適切な給与水準を確保し、教職調整額の大幅な引き上げを勧告すること。


 3 人事院の「給与制度の総合的見直し」に加担することなく、現行の給料表水準を維持拡充すること。「民間賃金の低い地域」など民調にもとづかない根拠は排すること。また、人事院勧告の「見直し初年度の改正原資を得るため平成27年1月1日の昇給を1号棒抑制」することに組しないこと。


 4 「公務と民間では昇進管理等の人事運用に相違もある」と貴職も認めた50歳台後半層における公民の違いをより精査し、生計費原則に立ちまた若年層の将来展望に希望を持たせるためにも50歳台後半層の賃金引き下げを行わないこと。


 5 地域手当を全県6%以上とし、また地域間格差をなくすよう国と県に提言すること。


 6 職務による格差の拡大をやめ、生計費原則に立ち、号給足伸ばしなど必要な措置を講じること。

 7 確実な「雇用と年金の接続」のため、定年延長により希望するすべての職員の雇用を保障すること。現行の再任用職員の賃金については、生活を維持するにふさわしく引き上げること。


 8 長時間過密労働・時間外勤務解消へ向けた具体的措置を講じるよう、一層強く具体的な勧告をすること。


 9 部活動指導の勤務上の位置づけを明確にさせ、さらに顧問教員等の負担軽減をすすめるための社会基盤の確立を求めた改善勧告をすること。


10 臨時的任用教職員や非常勤教職員の賃金及び休暇制度等の労働条件改善の実行に向け、踏み込んだ勧告をすること。


11 再任用制度の義務化にともない、これまで静岡県教職員の一員として重要な役割を担ってきた臨時的任用教職員や非常勤教職員を、調整弁として「首切り」することがないよう勧告すること。


12 教育の現場にはなじまない評価制度と評価にもとづく差別的賃金体系を推し進める勧告をしないこと。


13 「メンタルヘルス対策」について、その実態と重要性からさらに踏み込んだ勧告をすること。


14 憲法とILO勧告に基づき、公務員労働者の労働基本権を保障するなど、民主的公務員制度確立にむけ積極的に政府に働きかけること。


15 公務員賃金の持つ社会的影響力を考慮し、比較対象企業規模を「100人以上」に戻し、消費拡大による景気の回復、地域経済の活性化などをめざす積極的な改善を行うこと。

                                           以上

※ 昨年度まで、「ハラスメント(とりわけパワハラ)防止指針」を策定させること。と要求に入れましたが、県教委が遅くとも今年度中には出したいと明言したので、今回は載せませんでした。


※ 提出時のやり取りでは、「給与制度の総合的見直し」については、まだ全部理解していないので…と逃げられましたが、「評価制度」については、地方公務員法改正で、義務になったので、勧告・報告でも言わざるを得ないと、積極的な様子だったので、警戒が必要です。


※ 静岡県の民間は、全国より回復が遅い(企業が多い)という言い方をしています。全国は今年の賃上げはしても、静岡県は民間賃金が低いので、賃上げしないとでも、言うかもしれません。これも、警戒が必要です。