全教憲法・教育闘争ニュース

全国一斉学力テスト中止を文科省に要請

◆ 全国からの署名、37139筆文科省に提出

12月21日、子ども全国センターなどは、文部科学省に対して来年度の全国一斉学力テスト中止を求めて全国から集まった署名37139筆を提出し、中止の要請をしました。
はじめに全国センターの三上満代表委員が「今回のテストでは答案の返却ミスを含め、さまざまな問題が出ている。渡海文科大臣も過度な競争はよくないと言っている。ぜひ中止を」と、要請の主旨を説明しました。
対応した文科省初等中等教育局学力調査室の企画係長は「43年ぶりに実施したが、意見はいろいろ聞いている。序列化への懸念は強いと認識している。来年度は個人情報の関係で番号方式にした。課題があれば見直していきたい。」と回答しました。

全教から山口副委員長は、「すべての子どもを対象とした悉皆調査は、競争や序列を激しくする。悉皆はやめるべき。ベネッセが利潤追求のため利用している。学校を通じて、子どもの親に教材の宣伝をしている。民間企業に丸投げはやめるべきだ」と、抜本的な見直しを迫りました。
新日本婦人の会岡田麻也子さんは「半年後に結果が返されてきたが、どこが問題なのかわからない。こんなことに77億円の税金を使わないでほしい」と訴え、
子どもの権利のための国連NGO・DCI日本支部の三宅良子さんは「過度の競争教育で子どもたちがゆがめられている。平均点以下の子どもが、『みなさまに申し訳ない』と、言っている。どう受け止めてもらえるのだろうか」と訴えました。
文科省企画係長は「実施判断は各市町村教育委員会だ。実施のやり方も含めて専門家検討会議で検討していきたい」と回答しました。
今後、各市町村教育委員会へ再度一斉学力テストの中止と来年度実施見送りの申し入れの強化が求められます。

文科省全国学力・学習状況調査の分析・活用の推進に関する専門家検討会議」を発足

文部科学省は、12月10日、「全国学力・学習状況調査の分析・活用の推進に関する専門家検討会議」を発足させました。
委員は、大学研究者や小・中・高校長など16名で、座長に兵庫教育大学学長梶田叡一氏が任命されました。設置の趣旨として「調査結果を活用して、教育および教育施策の成果や課題などを検証し、その改善を図るため調査結果に関し、さらに専門的な分析を行うとともに、調査結果の分析・活用の推進のための方策などについて専門家による検討を行う」としています。

会議での委員の意見は「分析には、おおざっぱなものは出ているが、広い意味での相関関係をみていく必要がある。活用には、教育委員会、学校、教師にフィードバックできるのか。」「A問題はよくできており、B問題は課題がある。フィードバックして授業の改善に役立ててほしい。問題そのものも検討してほしい。先生がどういう授業をおこなっているのか。家庭学習は、どうおこなわれているか。授業方法と学習方法もみていかなければいけないのではないか。」「少人数教育を学校できちんとやっているところは違うのではないか。設問項目に入れてほしい。」「教育の質をどう変えるか。教える側の質の問題だ。」など、分析・活用を学校単位、学級単位でやり、授業改善にどう生かすかが強調された意見が多数みられました。

今、中教審教育課程部会「審議のまとめ」が出され、最終答申発表まで何度となく教育課程部会が開かれていますが、その中でも、この全国学力・学習状況調査(全国一斉学力テスト)結果を改訂学習指導要領に折り込み、学力テストでその結果を検証・評価し、改善するというシステムを作り、国が求める学力を押しつけようとしています。今後の、中教審教育再生会議などの動きに注目する必要があります。