文科省・学力テストのやり方 「最終的には市町村の判断」と回答

◆ 全教、文科省交渉で賃金・定数・学力テストについて追及

 4月12日、議員会館前で、11時から座り込み、議員要請行動が続くなか、全教本部は春闘要求に基づく文部科学交渉を行いました。交渉には、全教本部から米浦委員長、新堰・本田・山口副委員長、東森書記長、北村・吉田書記次長が出席、文部科学省からは、財務課・尾崎春樹課長、学力調査室・原裕室長補佐ほか2名が対応しました。
 交渉の冒頭米浦委員長は、教育関連3法案が子どもと教育をよくするとは思えないことに触れ、廃案にするよう求めました。交渉では、教職員の賃金改善、教職員定数贈、全国学力テスト中止を求めました。

旭川学テ判決を尊重することは「変わらない」と回答

 交渉のなかで、「全国学力テスト」中止を求めたことに対して、「学力テストは、すべての子どもの学力が身に付いているのか把握し、指導の改善を図るために実施する」とし、「個々の学校の結果は公表しない」「過度の競争をあおらないようにする」と回答しました。また、個人情報保護の点では、「配慮するのは当然」だとし「委託業者に対して、流出しないよう契約している。やっている間のセキュリティはもちろんのこと、終わった後も処分する」こととしました。また、「希望する市町村には、個人番号方式もある」ことを、自ら市町村教委の圧力をかけたことを棚に上げ強調しました。
   全教は、「悉皆で調査をおこなう限り、競争強化と学校の序列化は避けられない。あらためて中止を求める。」と述べた上で、「前回確認した旭川学テ最高裁判決の立場に立つこと」を、再度確認すると、「変わりはない」ことを回答しました。さらに「それでは、実施するかどうか、問題となっている個人情報保護のために、どのようなやり方をするのかは市町村判断ではないか」と追及したことに対して、あれこれのやりとりの末「最終的には市町村の判断だ」と回答しました。
   また、文部科学省は、「氏名・個人番号対照方式」を採用する市町村に対して、4月10日、文部科学省まで来させて説明会を開いた際に、「検討し、4月13日、無理なら16日までに回答」を、求めていることも明らかになりました。
◆ ただちに取り組みを強めよう
文部科学省の交渉の回答を受けて、ただちに各市町村へ申し入れにいきましょう。各地で、父母、民主団体との共同の取り組みで、すでに「個人番号方式」でやることを決定しているところも相次いでいます。まだ検討中のところや、回答のない地域では、父母とともに市町村教委へ申し入れしましょう。

新婦人静岡・清水支部が市教委に要請書

学力テストを無記名・個人番号方式に

 新婦人静岡および清水支部は、4月12日付で“「『全国一斉学力テスト』を無記名にして個人番号方式にすること」について、貴自治体の検討を求める要請書”を静岡市教委に提出しました。これは、「番号方式を決定している自治体は大阪の全自治体、京都の2626市町村中18自治体が検討中、神奈川、千葉でも複数の自治体が希望している」という新聞報道をもとに、「『全国一斉学力テスト』を無記名にして個人番号方式にしてください。」と要請したものです。
 4月12日に電話で要請したところ、静岡市教委学校教育課の担当者は、「名前を書かせるということで決めている。理由は小学生がわからなくなるから。」という回答だったそうです。
 小学6年生に失礼な話です。それ以上に国が学力や個人の生活情報までつかむことや、民間受験産業が実務を行うこと、個人情報保護などについて市教委は考えていないのではないか、と思われます。

ベネッセ 学力テストで“商売”

石井議員指摘に “契約違反”と文科省

 全国一斉学力テストを受託した受験産業大手のベネッセが、自社のおこなう業者テスト「総合学力調査」の売り込みに学力テストを利用していることが、4月13日わかりました。衆院文部科学委員会日本共産党の石井郁子議員が指摘したものです。
 文部科学省の銭谷真美初等中等教育局長は「全国学力調査の中立性・公平性に疑いをもたせかねない。テスト業務委託契約書では、事業を委託したことで宣伝行為を行わないよう求めている。今後行わないよう同社に申し入れている」と述べ、契約違反との認識を示しました。
 同社が各地の小学校長あてに送ったダイレクトメールでは、「小学校6年・中学校3年生を対象とした全国学力調査が本年4月24日に予定されておりますが」と述べた上で、同社の「調査」を購入・実施することで(1)記述式の出題で多面的な学力を正確に測れる(2)全国比較や意識調査とのクロス分析資料が入手できる―などと宣伝しています。同「調査」は今月5日から行われています。
 石井氏は「文科省の行う学力テストに先行して売り込みをはかっている。重大な問題だ。学力テストはいまからでも中止すべきだ」と批判しました。
 質問を聞いていた自民党委員から文科省に対し「重大だ。もっと厳しくあたれ」などの声が上がりました。 07年4月14日「しんぶん赤旗

全教(全日本教職員組合憲法・教育闘争ニュース№6