県教委「理想の学校教育具現化検討委員会」傍聴記録

メモ S
□ その会議は
 欠・小川正人氏 (東京大学大学院教授)
  欠・川勝平太氏 (静岡文化芸術大学長)
  ・庄田 武氏 (浜松市文化振興財団理事長)元教育長
  ・遠山敦子氏 (新国立劇場理事長) 元文科大臣 国家が宿題にまで口出しした大臣 ゆとり教育見直し主張
  ・戸塚洋二氏 (日本学術振興会学術システム研究センター所長)
  ・藤原文雄氏 (静岡大学准教授)※座長 静岡市教職員評価制度検討委員会委員
  ・渡辺弥生氏 (法政大学教授) 元静岡大学准教授 静岡県教職員評価制度を考える会委員 (委員の記載については、五十音順)
※新聞記事参照

【石川知事】
・9年前から「人づくり百年の計委員会」をスタートさせた。昨年には第二弾「創知協働人づくり有識者懇談会」を設けた
・一方我々の対応より速いスピードで困難性が増す。方策が必ずしも効を奏しない。
・学校の果たす役割はなお増大している。期待されている学校の体制が整っているかというと必ずしもそうではない。
・(私一人の思いすごしかもしれないが)学校の世界はともすると、役割の大切さは自覚しているが、・・・・・組織であるにもかかわらず、一人に(それぞれの立場にある人に)あまりに負担がかかりすぎているのではないか。少し視点を変えシステムとして対応できないか。
・もっというと、学校のことは教員でないと処理できないと思ってはいないだろうか。


・今回「学校がどういう状態にあるのか」「教員の公務と私生活の24時間」を調査した
文科省は、予算要求をしてまた30人学級を言うのではないか。そうではなくて、いろいろな分野とつながって、もっと気楽にやれるようにしたい。
・(私の持論だが)生産性のある仕組みを、全国のモデルとなるようなものをつくっていただきたい

【遠山】・地方の時代だ。
    ・やるべきことがらははっきりしている。(これ以上言うわけにはいかないが)
・自分の小中高時代は実に大らかで意欲に満ちた教育を受けた
【遠藤】・学校教育がいい方向に向かっているとはまったく言えなくなってきている
    ・今日の学校への期待と以前とは異なっている。学校教育の原点にもどって論議してほしい
   ・教員の多忙感と学校における意識(充足度)とではかなり乖離が見られる


・教育をシステム化して、よい方向を静岡から発信したい
・(知事に言っていただきたかったが)少なくとも県民にお金がかかることを伝えてゆく。 金にいとめをつけないとは言わないが、順を追ってやっていく
【藤原】「学校を取り巻く実態状況調査」を取りまとめた関係から
・おしなべて勤務時間が長いことは確かである。国が小川教授に依頼した調査でも同じデータが出ている
・(人によって)バラつきがある程度あるのは学校経験のある方ならわかる
教員が忙しそうだというのを子どもたちから見えていたことも気になることだ
保護者と教員と違う結果が出ていると指摘されるが、両者が一致しているところを見ることが大事だ。一つは、教員の質・意欲化を願っていること
・もう一つは、教員の同僚性についてである。保護者も大事に思っている。

・一方中学校の信頼度が低いことが気になる。

【戸塚】・先生たちには休日は休んでもらいたい。やはり部活。検討が必要だと思う。
【藤原】・教頭の勤務時間が長い。さまざまな調整に時間が割かれている。教職員の仕事から調整をはずすようコーディネーターを配置すべき
   ・保護者は学校にすべて任せようとは思っていない。しかし現実的には家庭でできていないのが問題だ。
   ・教職員も地域に任せようと願うが、地域が何なのか見えていないから、しかたなく自分たち(学校)がやるしかないと思ってしまう
【遠山】・家庭が第一とみなわかっていても、これができない時代になっている。
【渡辺】・保護者のアンケート結果は意外である
・社会性は学校でないと育たない。(家族ではトラブルに対応する能力が育たない)
・「常識」がどういうものか知らない生徒の実態→「わかるまで教えてほしい」 という一つの中身
【庄田】・しつけは学校でやらざるを得ない。個々はきちんとしていても、集団になると乱れちゃう子が多い。学校が手を差し伸べるのもやむをえない
【遠山】・小学以前も重要
【戸塚】・「理想の学校教育」のテーマをつくりあげないと議論が進まない
・社会生活への適応が欠如している→学校の仕事になる
モンスターペアレンツという言葉を初めて聞いた
【遠山】・某有名な私立校での3年前の話。当時すでに親からの注文・苦情に授業ができないほどの実態が報告されている。 最大の過大だと言っていた。
【藤原】システムとしては、必要な人員を増やすことはきわめて重要

(1)学力向上のために
【庄田】・過去はうまくいっていた
   ・画一教育から個別の教育が求められている 個別の学びを求めるようになった。
【渡辺】・授業が40分で完結させようと能率的な進行が求められている。もっと時間的配慮が必要
【藤原】・ある程度出来上がった子が入ってくるはずの小学校が壊れている。
    ・協同的な学びが求められている。世界に求められる学びの型。知識伝達型ならば55人でもOK
   ・協同的な学びをやっていくにはクラスサイズが問題
【戸塚】・日本は概念を変える画期的なものを創り出すことが苦手。アメリカと異なる。 
  ・できる子をとことん伸ばす教育と常識的に理解できる力をつける教育の二本立
【藤原】・協同的な学習とは、いい子をひっぱることではなくて、高めあうこと。わかる子もももっとわかる。個別化の時期は少し後でいい。小中は、「協同的に」力を    入れるべき
【遠山】フィンランドの教育の背景は 「教員の質の高さ」と「教員の自由裁量」
   後者は市民にも認められていることが大きい
【庄田】・総合学習は期待していたが、教員が準備に時間をかけられないから成功していない。(消えつつある)
   ・探求的学習の方向で育てたい
【遠山】・週に3時間をまとめて行う時間をとるべき
【渡辺】・子どもを発達の観点から見ると、違った方針が見えてくる。年齢でも発達にかなりの差がある。相手の気持ちを理解するプログラムを取り入れてみてはどうか。   
・学校行事が多い。運動会などやらねばならないとなっていて、イライラが子どもにも伝染する
【藤原】学校がやるべきこと=教師がやるべきことではない。
裁量権が教師に与えられていない。教育改革の行きつく所だろうと思う。改革が失敗している原因がそこにある。
【藤原】・授業によってクラスサイズが違っていい
・問題解決的学習は教師が見る範囲に限りがあり、教室の狭さも問題だ。

(2)社会性向上のために
【渡辺】・今の子どもの状況・・・クラスによって発達レベルが2〜3歳違うこともある。教師自身が発達を見る目をもちたい
   ・授業の中で役割をいろいろ変えて持たせる
【庄田】・基本的知識と同様、体で覚えさせる、小学低学年では
【遠山】・県レベルで身につけたい(ルール)ことを取り組んでいるところがある。群馬、京都など
【渡辺】・常識が身についていると答える子ども。常識の中身が異なっている。
  ・自己評価には限界がある。ルールを具体化してわかるようにすること。年齢に合った提示の仕方。ルールがなぜ必要なのか 知らないことを教えること