07年度 給与勧告の骨子  人事院07年8月8日

とりあえず、人事院の勧告骨子を載せます。分析批判は後日。夏休み中に読んでみてください。静岡新聞の見出しは、「平均年収9年ぶり増」でしたが、」果たしてその見出しで安心?
**○ 本年の給与勧告のポイント
① 民間給与との較差(0.35%)を埋めるため、
  ◇ 初任給を中心に若年層に限定した俸給月額の引上げ (中高齢層は据置き)、
  ◇ 子等に係る扶養手当の引上げ、
  ◇ 19年度の地域手当支給割合のさかのぼり改定
② 期末・勤勉手当(ボーナス)の引上げ(0.05月分)
③ 給与構造改革の一環としての専門スタッフ職俸給表の新設

○ 公務員給与の改革への取組
 平成17年の勧告時の報告において、地域間配分の適正化、職務給の徹底、成績主義の推進を図るため、
給与制度の抜本的な改革を行うことを表明。この給与構造改革は、平成18年度から俸給表水準の引下げ
(4.8%)を実施しつつ、逐次手当の新設等を行い平成22年度までの5年間で実現
 また、民間企業の給与水準をより適正に公務の給与水準に反映させるため、平成18年勧告の基礎となる民間給与との比較方法について、比較対象企業規模をそれまでの100人以上から50人以上に改めるなど抜本的に見直し
 本院としては、公務員給与の改革を進めることにより、国民の支持の得られる適正な公務員給与の確
保に向けて全力で取り組む所存
Ⅰ 給与勧告の基本的考え方
〈給与勧告の意義と役割〉勧告は、労働基本権制約の代償措置として、職員に対し適正な給与を確保する機能
         を有するものであり、能率的な行政運営を維持する上での基盤
〈民間準拠の考え方〉国家公務員の給与は、市場原理による決定が困難であることから、労使交渉等によって
         経済・雇用情勢等を反映して決定される民間の給与に準拠して定めることが最も合理的
Ⅱ 民間給与との較差に基づく給与改定
1 民間給与との比較
   約10,200民間事業所の約43万人の個人別給与を実地調査(完了率89.4%)<月例給> 公務と民間の4月分給与を調査し、主な給与決定要素である役職段階、年齢、学歴、勤務地域の   同じ者同士を比較
○民間給与との較差1,352円0.35% 〔行政職(一)…現行給与383,541円平均年齢40.7歳〕
   俸給387円 扶養手当350円 地域手当560円 はね返り分55円<ボーナス> 昨年冬と本年夏の1年間の民間の支給実績(支給割合)と公務の年間支給月数を比較
   ○民間の支給割合4.51月(公務の支給月数4.45月)
2 給与改定の内容と考え方<月例給>
(1) 俸給表初任給を中心に若年層に限定した改定(中高齢層は据置き)
 ① 行政職俸給表(一)
      改定率1級1.1%、2級0.6%、3級0.0%。4級以上は改定なし
      初任給Ⅰ種181,200円(現行179,200円)、Ⅱ種172,200円(現行170,200円)
         Ⅲ種140,100円(現行138,400円)
 ② その他の俸給表行政職俸給表(一)との均衡を基本に改定(指定職俸給表等を除く)
(2) 扶養手当民間の支給状況等を考慮するとともに、少子化対策の推進にも配慮
  子等に係る支給月額を500円引上げ(6,000円→ 6,500円)
(3) 地域手当給与構造改革である地域間給与配分の見直しの着実な実施
  地域手当の級地の支給割合と平成18年3月31日における調整手当支給割合との差が6%以上の地域の 地域手当支給割合について、今後の改定分の一部を繰り上げて改定(本年度分として0.5%の引上げを追 加)
[実施時期] 平成19年4月1日
  <期末・勤勉手当等(ボーナス)> 民間の支給割合に見合うよう引上げ4.45月分→4.5月分
(一般の職員の場合の支給月数)
             6月期       12月期
    19年度期末手当  1.4 月(支給済み)   1.6 月(改定なし)
       勤勉手当  0.725月(支給済み)   0.775月(現行0.725月)
    20年度期末手当  1.4 月        1.6 月
    以降勤勉手当   0.75月        0.75月
[実施時期] 公布日<その他の課題>
(1) 住居手当         自宅に係る住居手当の廃止も含め見直しに着手
(2) 非常勤職員の給与    給与の実態把握に努めるとともに、職務の実態に合った適切な給与が支給
             されるよう、必要な方策について検討
              なお、非常勤職員の問題は、その位置付け等も含めた検討が必要
Ⅲ 給与構造改革(平成20年度において実施する事項)
1 専門スタッフ職俸給表の新設
 行政の多様化、複雑・高度化に対応するため、公務において職員が培ってきた高度の専門的な知識や経験を活用するとともに、早期退職慣行を是正し在職期間の長期化に対応する観点から、複線型人事管理の導入に向けての環境整備を図るため、専門スタッフ職俸給表を新設(平成20年4月1日実施)
(俸給)
・専門スタッフ職俸給表は、行政における特定の分野についての高度の専門的な知識経験が必要とされる調査、研究、情報の分析等により、政策の企画及び立案等を支援する業務に従事する職員で人事院規則で定めるものに適用し、3級構成。各職務の級の水準は、本府省の課長補佐級から課長級までの水準を基礎
(諸手当)
・専門スタッフ職職員には、俸給の特別調整額を支給しないほか、2級、3級職員について、超過勤務手当等の適用を除外
・専門スタッフ職調整手当は、3級職員のうち、極めて高度の専門的な知識経験等を活用して遂行することが必要な特に重要で特に困難な業務に従事する職員に支給(俸給月額の100分の10)
(勤務時間)
・専門スタッフ職職員の勤務時間について、職員の申告を経て、4週間ごとの期間につき各省各庁の長が割り振る弾力的な仕組みを導入
2 地域手当の支給割合の改定等
・地域手当は、平成22年度までの間に段階的に改定することとしており、平成20年4月1日から平成21年3月31日までの間の暫定的な支給割合を設定(平成19年度の支給割合を1〜2.5%引上げ)
・広域異動手当は、平成20年度に支給割合が引き上げられ、制度が完成(異動前後の官署間の距離区分が60㎞以上300㎞未満の場合3%、300㎞以上の場合6%)
・今後とも、昇給・勤勉手当における勤務実績の給与への反映を一層推進

公務員人事管理に関する報告の骨子
公務員に対する国民の批判を真摯に受け止め、国民からの信頼回復が必要
1 新たな人事評価制度の導入〜能力・実績に基づく人事管理の推進〜
・人事評価の枠組みについて、フィードバック、苦情処理等を含め更に検討
・評価結果の任免、給与、育成への活用方法について基本的考え方を提示。識別力の向上など評価の客観性・安定性確保が重要
専門職大学院等に対応した人材確保〜人材供給構造変化への対応〜
・有為の人材確保には、行政官の役割明確化、仕事の魅力の発信、人材供給源の開拓等が必要
・「霞が関インターンシップ」や講演会など募集活動強化と併せ、関係者の意見を把握しつつ、採用試験をはじめとする採用の在り方を早急に検討
3 新たな幹部要員の確保・育成の在り方〜キャリア・システムの見直し〜
・①「採用時1回限りの選抜」によらない公平で効果的な能力・実績に基づく選抜、②行政課題に機動的に対応できる幹部要員を訓練育成する仕組みの構築につき、広く合意の形成が必要
・幹部に求められる資質・適性、人材誘致に有効な訓練機会、幹部要員の選抜方法などにつき、検討が必要。−当面、Ⅰ種における選抜強化、Ⅱ・Ⅲ種の登用促進が重要
4 官民交流の拡大
・交流拡大は、組織の活性化や閉鎖性を見直す上で重要。具体的推進策は、その意義・目的を明確にした上で、職業公務員との役割分担や公正性の確保に留意しつつ検討することが重要
・公募制には、部内育成との適切な組合せや公正な能力検証が重要
5 退職管理〜高齢期の雇用問題〜
平成25年度から無年金期間が生じることを踏まえ、民間同様、65歳までの雇用継続を前提に、定年延長、再任用の義務化等について、処遇の在り方等の問題も含め研究会を設けて総合的に検討
6 労働基本権問題の検討
労働基本権問題の検討に際しては、公務員の職務の公共性や地位の特殊性、財政民主主義との関係、市場の抑止力との関係、国民生活に与える影響等について検討が必要
7 勤務時間の見直し
来年の勧告を目途に、勤務体制等の準備を行った上で民間準拠を基本として勤務時間を見直し
8 超過勤務の縮減
在庁の実態を踏まえ、府省ごとに在庁時間の縮減目標を設定するなど政府全体の計画的な取組が肝要。超過勤務手当予算の確保が必要。弾力的な勤務時間制度等の導入を検討
9 その他
・採用試験年齢要件を検討、女性の採用登用を推進、米国政府への実務体験型派遣研修を新設
・テレワーク(在宅勤務)の前提としての勤務時間制度の在り方等について研究会を設けて検討
・職場における心の疾病の早期発見のための方策の検討、「職場復帰相談室」等の拡充