川崎市教育委員会が労安徹底の請願を採択!

川崎市教職員連絡会の運動が実る!

★ 川崎市教職員連絡会などが川崎市教育委員会に求めていた請願が、なんと採択されました。川崎市教職員連絡会の代表者が、教育委員会の会議で陳述しました。教育委員の質問に市教委事務局はまともに答えられず、結局川崎市教育委員の全員一致で、次の請願が採択されたものです。もちろん、当局にこれを具体化させることが、これから重要になると思います。しかし、川崎市の運動の成果は、全国に励ましを与えるものです。学習の意味も含めて、請願書を読んでください。

平成18年4月の文部科学省の通知「労働安全衛生法等の一部を改正する法律等の施行について」と厚生労働省基準局長通知「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」を各学校に周知し、労働安全対策の徹底をはかるよう求める請願

             請願の趣旨
 日頃より川崎市の教育の充実のために努力されていらっしゃることに敬意を表します。
 さて、川崎の学校現場では、健康を害し休職する教職員が年々増えており、2000年度の43人から2005年度の71人へと5年間で約1.65倍に増加しています。
 こうした中、「学校現場においても労働安全衛生の必要性について指導の徹底をはかること」(労働安全衛生法等の一部を改正する法律〔平成17年法律第108号〕附帯決議)が国会で決議されたことを受けた文部科学省は、通知「労働安全衛生法等の一部を改正する法律等の施行について」(18ス学健1号、平成18年4月3日)(以下「文部科学省通知」と呼ぶ)を発しました。
 文部科学省通知は、第2項目に「労働時間の適正な把握について」をあげ、「労働時間の適正な把握については、平成13年4月6日付け基発339号厚生労働省労働基準局長通知『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について』において具体的な方法等が示されているところですが、今後とも、各学校等における勤務時間の適正な把握に努めて頂きますようお願いします」として各学校での労働時間の適正な管理を求めています。

 厚生労働省通知に基準として示されている主な内容は、以下の通りです。
(1) 使用者は労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとに始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。

(2) 使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として、次のいずれかの方法によること。
    ア 使用者が、自ら現認することにより、確認し、記録すること。
    イ タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。

(3) 自己申告制により始業・終業時刻を確認及び記録を行う場合の措置

(4) 労働時間の記録に関する書類について、労働基準法第109条に基づき、3年間保存すること。

(5) 事業場において労務管理を行う部署の責任者は、当該事業場内における労働時間の適正な把握等労働時間管理の適性化に関する事項を管理し、労働時間管理上の問題点の把握及びその解消を図ること。

 川崎市立学校においても、この文部科学省通知と厚生労働省通知に基づき、教職員の労働時間の適正な把握と管理を行われるよう要望します。

 その際、「教師の労働には、一部時間の計測や把握が困難な部分がある」ことを理由に、教師の労働を「時間計測になじまない」として、労働時間の記録簿の作成を行わないなどということはあってはなりません。厚生労働省労働基準局長通知「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」は、使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法として、(2)の原則的な方法が困難な場合は、(3)の自己申告制を行わざるを得ない場合についても基準を示しています。ちなみに、文科省は、平成18年に教職員の自己申告をもとに教員勤務実態調査を実施し、平成18年11月24日に7,8月分の結果を発表しています。これは、教師の時間外労働を把握・計測し算定することが可能であることを端的に示しています。現に横浜市はすべての職場に「時間外勤務の記録簿」(高校は「超過勤務記録簿」)を備え、職員が自己申告した内容を管理職が確認して労働時間の把握・管理を行っています。

 また、「校長が明白に指示した超過勤務勤務」だけでなく、「客観的に見て正規の勤務時間内ではなされ得ないと認められる場合の如く、教職員が超過勤務の黙示の指示によって法定労働時間を超えて勤務した場合の時間外労働」(昭25・9・14基収2983号)も超過勤務として勤務時間の把握・記録の対象となります。これは、平成13年10月30日の参議院文教科学委員会において、矢野重典・文科省初等中等局長が、学校現場での、命令のない超過勤務も(厚生労働省通知が示す)始業・終業時刻の把握と記録の対象となることを明言していることからも明らかです。

 校長と教職員自身が、改正労働安全衛生法に基づく「過重労働による健康障害防止のための産業医面接指導」の必要性の有無を1ヶ月間の超過勤務から判断する際には、この「勤務時間の記録簿」が有力な資料となります。教職員の健康保持の立場からもぜひその作成を急いでいただきたいと思います。

 以上の趣旨から、次に掲げる項目を実施されるよう請願します。

請願事項

1.教育委員会は、労働時間を適正に管理するため、教職員の労働日ごとに始業・終業時刻(超過勤務)を確認し、これを記録するような書類をすべての職場に備えること。

2.労働時間の記録に関する書類について、労働基準法第109条に基づき、3年間保存すること。

3.労働時間の記録に関する書類を教職員の健康保持、労働安全対策に活用すること