子どもに間違いを教えかねない多忙

理科の実験で、電子天秤をつかって酸化銀を測り取っていたときだった。正確な計測をするために天秤を水平に調節するためのねじ式の足がついている。ひとつのねじ足が大きく伸びて電子天秤が大きく傾いている。
 それを承知で、100mg単位で酸化銀を次々と、はかり取る。なぜ、水平に直さないのか。50分の授業のなかで、酸化銀を12グループ分測りとり、実験の最中に、電子天秤を準備室に片付け、実験の最中に、子どもの観察し、次の授業に間に合うようにすべてを片付けて、5分以内に理科室を施錠して、次の教室に向かうためには、電子天秤の傾きを直す時間の余裕がない。
 準備室には塩酸が出されたままになっていることを知りながら、次の授業に遅れまいと理科室を飛び出る。
 少人数指導で、「きめ細かな指導」という掛け声の裏では、こんな教師のゆとりなさが日常のものとなっていることを知ってほしい。