新型コロナウイルス感染拡大防止に関わる休校延長措置に関連した要望書(案 )全教静岡

ご意見をください。

 

新型コロナウイルス感染拡大防止に関わる休校延長措置に関連した要望書(案)

 

 コロナ禍にご奮闘されていることに敬意を表します。未曾有の事態とそれにも増して朝令暮改で上意下達の指示や「要請」への対応に、疲れ切っているのではないかとお察し申します。貴職や事務局の皆様が過労・心労で倒れることのないよう、ご自愛されることを念じております。

 さて、年度末3月の休校措置、年度当初の休校措置、それぞれに再延長などがあり、ここに来てさらに延長が求められる状況となってきています。

 そこで、前回3月1日付け要望書に続き、改めて新型コロナウイルス感染拡大防止に関わる休校延長措置に関連した要望をいたします。以下の点について、貴職の誠意ある対応を求めます。(多岐にわたります。また貴職の権限の範囲をこえる箇所もあるかと思います。その場合、「国・県に要請してください」「協力を求めてください」「市町・学校を援助してください」等に読みかえてください。)

 

 

1.休校あるいは再開の判断にあたっての要望

(1) 国・政府が臨時休業要請やその後の緊急事態宣言とその後の延長決定を、地域・学校現場等の実態や意見を把握・調整せずに一方的に行うことに対して抗議し改善を求めること。

(2) 貴職や首長が休校の延長や再開の決定を行うに際しては、各学校の実態や意見の把握・調整を行うことを前提とすること。該当地域の感染状況や科学的知見を踏まえ、関係者が納得できるよう努めること。

(3) 感染やまん延防止及び以下の要望については、人員の増員、施設設備の補充が必要となるため、国、県、首長部局、議会等に対して財政出動を強く要求すること。

 

2.子どもたちの感染防止・まん延防止のための条件整備の要望

(1) 登校日や再開後の登下校については時間差、少人数化など必要な措置を講じること。

(2) 教室等での授業、給食配膳、委員会、部活などの活動について「社会的距離」が確保できるための環境改善・方法の工夫に努めること。

(3) マスク、消毒液、手洗い用洗剤、体温計、トイレ洗浄剤などについて、通常を超えた量を確保し、各学校に配分すること。その際事前に養護教諭や給食主任、給食補助員などの意見を聞くこと。

(4) 感染の疑いのある子どもが帰宅又は受診するまでの間の学校にとどまるための「別室」を確保しておくこと。

(5) 保健室での感染を防ぐための措置を講じること。

(6) 子どもたちの既往歴や生活を把握し、免疫力低下の子どもについて、保護者・かかりつけ医・校医と相談の上、必要な手だてを措置しておくこと。

(7) 上記実施のための必要な教職員の加配を行うこと。

(8) その他、他県の感染例や学校関係者の意見や指摘を参考にして、必要な手だてを講じること。

 

3.教職員の感染防止・まん延防止のための条件整備の要望

(1) 上記2.と同様の措置を講じること。

(2) 時差出勤、出勤者数抑制、在宅勤務、特例休暇などの措置を講じること。妊婦や免疫力低下の持病のある方などには特に配慮すること。年休取得を奨励する管理職や年休取得すら制限する管理職がいる実態があるので、厳しく指導すること。

(3) 職員室がもともと気積10㎥/1人の労働安全衛生法の基準に違反していることの多い実態をふまえ、職員室が「密」にならず「社会的距離」が実現できるようにすること。校長室、事務室、保健室なども同様の配慮をすること。

(4) 事務室や受付窓口などでの来客対応などの際の感染防止策、電話機・印刷機などの消毒を実施すること。

 

4.休校中の子どもたちの健康と生活を守るための条件整備の要望

(1) 「休校中の預かり」や学童保育などの対応については、他の部署とも連携し、上記2.3.も念頭に必要な援助を行うこと。

(2) 登校日や再開後の登下校について、他の部署や地域・自治会等との情報交換、連携をもとに、安全のための配慮を行うこと。

(3) 不登校あるいは学校と連絡が取れていない子の状況把握と対応について、スクール・ソーシャル・ワーカーや関係部署・者と連携して実態をつかみ、安全安心のための手だてを講じること。

(4) 春の健康診断が行われていない中で心配される子どもの心身の健康状況把握、口腔ケアなどについて、家庭や医療機関等関係諸機関と連携して必要な手だてをとること。

(5) 休校中の子どもたちへの虐待やネグレクトなどについて、スクール・ソーシャル・ワーカーや関係部署・者と連携して実態をつかみ、安全安心のための手だてを講じること。それぞれの関係部署・者間の情報提供は躊躇なく行うこと。

(6) 子どもの貧困率13.9%(2015年)やコロナ禍における失業者急増などの報道を念頭に、他の部署と連携して子どもの生活や心身の状況について注視し、栄養不足、居場所不足、不安などに対して子どもを守る取り組みを行うこと。また子どもが相談しやすい体制をつくること。

 

5.学習、学力保障のための取り組みと条件整備のための要望

(1) 「年間の学習内容は学習指導要領で決まっているため、再開後の授業は確実に進度が早くなり

ます」などのような、子どもたちや保護者、教職員を焦らせ、脅すかのような発言や態度は厳に

慎むこと。子どもたちの努力や教職員の工夫、保護者の協力を励ます発信を行うこと。

(2) 文科省4月21日通知の「すべての地域において最低限取り組むべき事項」(「家庭学習の充実」

「学習状況の把握」「ICTの最大限の活用」)や、「休校中に予習が十分にできたかどうかで、 再開後の授業の理解度が大きく変わります」などの言葉に惑わされず、再開後の学校・授業で子どもたちにどう学習・学力を保障していくかの研修・研究に取り組むこと。また、休校中の子どもたち個々の学習環境に思いを馳せた柔軟できめ細かい学習・学力保障に力を注ぐこと。

(3) 文科省学校再開ガイドラインでも示されたように、子どもや教職員の過重負担にならないことを考慮し、かつ、上記(2)の観点を前提として、標準時数を超えた授業時数確保や、土曜授業、夏休み等の短縮に短絡的に結びつけることのないようにすること。

(4) 中学・高校受験について休校の影響を考慮した時期や実施方法にするよう関係機関・学校と協議・調整すること。

(5) この機会に、どのような事態でも子どもたちに学習・学力の保障ができるものとなるよう、学習指導要領の中身やあり方について論議を深め、文科省にも意見を出すこと。

 

6.子どもたちができる限り充実した学校生活を送ることができるための要望

(1) り患した本人や家族が中傷・差別を被る事態が報告されている。学校内はもちろん、学校外でもそのようなことのないよう事前事後の指導や啓発に努めること。

(2) 報道やインターネット等で様々な情報が広まり、とりわけ休校中に多くの情報を得ることが多かっただろうと予想される。科学的でなく一方的であったり不確かであったりする情報に子どもたちが振り回されることのないよう指導すること。

(3) 運動会、修学旅行、中体連大会など延期になったり中止になったり、休校中不安になったり孤独になったりなど、子どもたちは大きく揺れているだろうと想像される。そういった子どもたちの心身に理解を示し、話を聞く、ともに語り合うなど大変な中でも余裕のある場と時間の提供に努めること。スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、相談員、学校司書などの増員・勤務時間の増などを捻出すること。いたずらに子どもたちを急かさないこと。

(4) 上記(3)の観点で、特別支援学級だけでなく普通学級在籍も含む障害のある子たちへの支援を厚くすること。

 

7.会計年度任用職員(支援員、学校司書、授業補助等)の勤務条件を守るための要望

(1) 3月あるいは休校前の「勤務条件通知」や勤務の約束に沿い、休業補償を確実に行うこと。休校決定後に勤務条件を恣意的に変えるなどの不当な行為を行わせないこと。

(2) 市町においても、子の世話にかかる特例休暇や在宅勤務について認めること。

(3) 夏休み縮減、土曜授業実施などもともとの勤務条件にない勤務については、改めて任用の契約をすること。

 

8.保護者の生活支援などのための要望

(1) 保護者の休校による子の世話のための休業・失業、減収などの家計急変に対して、就学援助、

就修学支援、児童手当(上乗せ)などの制度を知らせること。またそれらの申請や給付方法につい

て簡素化、迅速化をはかること。

(2) 子どもの生活に直結することから、保護者の生活困窮や休業補償等に対して救済をはかるため、関係部局と連携して国や県、自治体当局に要請すること。

(3) 保護者からの相談窓口を設けること。

   

9.関連する施設、業者に関する要望

(1) 管轄の範囲を超えて、保育園や学童保育などの子どもたちや教職員に対する感染拡大防止、条件整備などの措置についても自治体当局と一体で対応すること。

(2) 給食供給業者や従業員、修学旅行等の旅行業者、学校訪問の劇団・演奏団体など関連する方々

で、休校措置によって失業・縮小を強いられる方々についても、貴職から国や自治体当局に情報

を知らせ、救済等を要請すること。

 

以上

 

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