中東での新たな戦争を回避し、武力ではなく対話による解決を  全教が談話

【全教談話】  

中東での新たな戦争を回避し、武力ではなく対話による解決を

 

日本政府は閣議決定を撤回し、自衛隊の中東派兵を中止せよ

                                

2020年1月9日

全日本教職員組合(全教) 

書記長 檀原毅也

 

 年明け早々の1月2日、アメリカ政府は、トランプ大統領の指示によりイラクバグダッド空港を空爆し、イラン革命防衛隊司令官のソレイマニ氏を殺害したと発表しました。アメリカ政府はアメリカ人に対する「差し迫った脅威」を未然に防ぐための行動だったと述べていますが、一国の政府要人を殺害することはまさにテロ行為であり、正当化できるものではなく、国際法違反の無法行為です。

 

 この行動には世界各国から批判の声が上がり、各国政府も自制を求めています。アメリカ国内でも「イランと戦争するな」との市民のデモが広がっています。

 

 しかし、1月8日未明にイラン革命防衛隊がイラク国内のアメリカ軍と有志連合の駐留基地にミサイル攻撃をしたことにより事態は一挙に緊迫化し、戦争状態に陥る恐れがあります。軍事力の応酬は憎しみの連鎖を生み出し、多くの人々を傷つけます。最大の人権侵害である戦争はいかなる理由があろうとも、すべきではありません。軍事力を背景にした平和はあり得ず、対話によって対立を解決する外交努力こそ求められます。

 

 今回の対立のそもそもの発端は2018年5月、トランプ大統領がイラン核合意から一方的に離脱し、イランへの制裁を強めてきたことにあります。反発したイランは核合意からの段階的離脱を表明し、1月5日にイラン政府はウランの濃縮活動を無制限に進める方針を表明したことで、核拡散の危険性が高まっています。アメリカ政府は軍事力の行使を直ちにやめるとともに、一刻も早く核合意の枠組みに復帰し、核軍縮のための対話を進めるべきであり、イラン政府も核合意を尊重すべきです。

 

 アメリカに追随する安倍政権は、国会審議をすることなく12月27日に中東沖への自衛隊派兵を閣議決定しました。今回のアメリカの無法な軍事的挑発行為にあたっても、それを黙認したまま現時点で自衛隊派兵を計画通り押しすすめようとしています。しかし、日本政府に求められているのは、憲法9条の平和主義にもとづき、アメリカ・イラン両国との外交関係をいかしつつ、両国政府に軍事行動を中止し、対話による解決を促し、核軍縮を推進するよう説得することです。ただちに閣議決定を撤回し、自衛隊派兵を中止すべきです。

 

 全教は平和を求めるすべての人々と連帯し、戦争に反対し、対話により中東の平和と安定を求めるとりくみに全力をあげます。