文部科学大臣による高校生・教職員への不適切な言動は容認できない!

 

 

【全教談話】 

 

柴山昌彦文部科学大臣による高校生・教職員への不適切な言動は容認できない

   2019年9月11日

    全日本教職員組合  

    書記長 檀原毅也

 

 今、柴山昌彦文部科学大臣の公式ツイッターを使った不適切発言が大きな問題になっています。

 

  発端は、「大学入試改革」の英語民間検定試験を使うことに対して柴山大臣に数多くの抗議の声が寄せられたことがあります。8月16日には、「サイレントマジョリティは賛成です」とツイートし、怒りの声を広げる結果となりました。

 

 また、8月24日に柴山大臣が埼玉県知事選の応援に行った際、大臣に向かって「柴山やめろ」「民間試験撤廃」と発言した男子大学生が県警関係者とみられる数人に囲まれ遠ざけられたという事件が起こりました。柴山大臣が大学生の発言について「わめき散らす声は鮮明に誰の耳にも届きましたけどね」とツイートしたために、さらに多くの怒りの声が巻き起こりました。新聞取材に対し大学生は「入試改革で混乱している受験生の代弁をしたのに、『わめき散らす声』と否定するのはおかしい」と述べ、それを支持するツイートが数多く寄せられました。

 

 さらに、一連の問題の核心部分である「大学入試改革」、特に英語の民間検定利用に対する抗議の声は沈黙することなく、むしろ大きく広がり、ついに8月30日と9月6日の文科省前抗議という具体的な行動に結びついています。

 

 こうした流れの中で、9月1日、柴山大臣はある高校教員と高校生のツイートを引用して「そのような行為は適切でしょうか?」「こうした行為は適切でしょうか?」という“問い掛け”を装った「圧力」を加えるツイートを発信しました。高校生のツイートは「私の通う高校では前回の参院選の際も昼食の時間に政治の話をしていたりしていたのできちんと自分で考えて投票してくれると信じています。もちろんいまの政権の問題はたくさん話しました。笑」というもので何ら問題ある内容ではなく、政治的関心をもち友人と話し合うなど、むしろ主権者として当然の行為です。それに「圧力」を加える柴山大臣に対して1300件を超える抗議のリツイートが寄せられました。

 

 こうしたやりとりがネットメディアに取り上げられると、柴山大臣は「若者政治参加は大切。しかし、同記事には本当に下記のようなやり取りに問題がないとの見解だろうか?また、公選法137条(私学を含む教員の選挙運動)や、同法137条の2(未成年者の選挙運動)の誘発につながることについて一言もコメントがないのはなぜか?」とツイートしました。これは、法の理解がまったく間違っている上に、誤った思い込みに基づく発信をおこなうという、議員だけでなく閣僚としての資質が疑われる発言です。

 

 18歳選挙権が開始され、高校生が政治を身近なものと受け止め、関心を持って自由闊達に話し合うことがますます大事になる中、曲がりなりにも「主権者教育の推進」を掲げる文科省のトップである柴山大臣が、教員や高校生、大学生に「圧力」をかけ、萎縮させるような言動を取ることなどあり得ないことです。ツイッターを使って国民と直接対話しようというやり方を批判するものではありませんが、権力を振りかざして国民の間の私的なやりとりに介入して、政策を押し付けようとするのは、大臣としては軽挙妄動の誹りを免れないのではないでしょうか。

 

 全教は、こうした柴山大臣の不適切な言動は、高校生、大学生、教員の自由な意見表明や政治論議を圧しつぶし、政権の政策を権力的に押し付けるものであり、けっして容認できないと考えます。一連の発言に抗議するとともに、その撤回を求めるものです。

 

                            以  上

 

 

 

 

 

 文部科学大臣が、内閣改造により萩生田氏に。この問題についての見解も就任記者会見では言ってもらいたいですね。