【全教談話】

辺野古埋め立て訴訟の最高裁の不当な判決に抗議し基地のない沖縄の実現を求めます

2016年12月21日
 全日本教職員組合 
書記長  小畑 雅子

 12月21日最高裁第二小法廷裁は、国が沖縄県を訴えた辺野古埋め立て訴訟で、沖縄県の上告を退けました。国が翁長知事の辺野古埋め立て承認取り消しを訴えた今回の裁判で、福岡高裁那覇支部は「辺野古新基地建設が唯一の普天間基地の危険性除去」などと国の言い分をうのみにした判決を出しましたが、今回の最高裁判決はそれを確定させる極めて不当な判決です。全教は、今回の判決に厳しく抗議するものです。


 2010年の県知事選挙で「普天間基地の県外移設」を掲げて当選した仲井真前知事は、
2013年安倍首相と会談し、首相が示した「振興予算」を絶賛して、12月26日に埋め立て承認を決定しました。米軍基地負担のさらなる押し付けに対する沖縄県民の怒りは、その後の名護市長選挙、県知事選挙、衆議院選挙などで「オー ル沖縄」の勝利を実現させ、「新基地NO」の民意を明確にしました。


 翁長知事は就任後、公約を貫いて辺野古新基地建設を中止させるため、仲井真前知事が行った埋め立て承認について、第三者委員会の検証も受け、「法律上瑕疵があった」として取り消しました。これに対して、承認取り消しは「著しく公益を害する」として政府が起こした、取り消し撤回の代執行を求めた訴訟でした。今年9月に出された高裁判決は、国の主張を全面的に認め、米軍基地移設の妥当性にまで踏み込んだ異例の内容の不当判決となりました。これに対して沖縄県が上告しましたが、今回最高裁第2小法廷は、口頭弁論も開かずに上告を棄却しました。


 辺野古新基地は、海兵隊の海外侵攻のため、垂直離着陸機オスプレイが配備され、強襲揚陸艦が接岸できる港湾機能なども新たに備えた巨大出撃拠点として計画されています。東村高江で工事が強行されているオスプレイパッドなどとも一体的に運用され、訓練の激化にともない、住民への被害も拡大しかねません。実際に、12月13日夜、MV22オスプレイが名護市の民家に近い浅瀬に墜落する事故を起こし、さらに別のオスプレイも同日夜に胴体着陸するなど、その危険性は沖縄県民に現実的な不安をもたらしています。2審判決の「県全体としては基地負担が軽減される」などの主張が、沖縄の基地の現実を全く見ていないものであることは明らかです。


 全教は本判決に厳しく抗議するとともに、辺野古新基地と高江オスプレイパッド建設の阻止、基地のない沖縄の実現を求め、沖縄の皆さんと心を一つにしてたたかいをすすめていくことを表明するものです。