【全教談話】

文科省は教員を病気休職に追い込まない施策こそすすめるべき

          2015年2月4日
          全日本教職員組合(全教)
          書記長今谷賢二


1.文部科学省(以下、文科省)は、1 月29 日、「平成25年度公立学校教職員の人事行政状況調査について」を発表しました。


2.文科省の発表によると、2013年度の教員の病気休職者数は8408人となりました。うち精神疾患は5078人と昨年比で118人、0.01ポイント増え、6割を超えました。2005年度に59.5%、翌年2006年に初めて精神疾患が6割を超えて以来、2012年度のみ59.5%と6割を下回ったものの、約6割の水準が9年連続していることは異常な事態です。


3.病気休職者に占める精神疾患の割合を年代別にみると、20代が78.9%と最も高く、30代64.5%、40代63.4%、50 代以上53.3%となっています。職種別では、「校長」25.7%、「副校長等」43.5%、「主幹教諭等」50.7%、「教諭等」62.0%、「養護教諭等」41.0%という状況です。学校現場における管理強化と忙しさの実態を反映したものといえます。


 また、調査では「精神疾患による休職発令時点での所属校における勤務年数」が公表されています。それによると、赴任して1 年未満で25.6%(1297人)、1年以上2 年未満で22.7%(1152 人)となっており、精神疾患全体の48.3%が赴任後の間もない時期に休職に入っています。これは、新たに赴任する教員の適応力の問題として片づけられるものではなく、管理強化と多忙が常態化するもとで教員が分断され、孤立化がすすんでいることを示すものではないかと思われます。


4.2013 年度の新規採用で正式採用とならなかった教員は351人、うち依願退職者は340人です。内訳を見ると病気を理由とする教員は92人、うち79人は精神疾患です。「その他(自己都合)」が235人となっており、それ以上の理由は明らかにされていません。


 いずれにしても、新規採用者が教育と教職員をとりまくきびしい職場・労働環境のもとで苦悩し、退職に追い込まれざるをえない実態を反映したものといわざるをえません。


5.子どもたちとふれあい、その成長にやりがいを感じている一人ひとりの教員を支えるためには、


 第1 に、小学校から高校まで30人以下学級を実施することなど、抜本的な教職員増をおこなうこと、


 第2 に、教育と教職員に対する管理統制・強化ではなく、教員の自主性と創造性を発揮できる教育条件と労働条件を整備すること、


 第3 に、管理職の責任で教員の正確な勤務時間把握を行うとともに「公立の義務教育諸学校の教育職員の給与等に関する特別措置法」を改正して、病気休職の背景にある恒常的な長時間過密労働の根本的な是正に踏み出すこと、


 第4に、文科省と地方教育委員会の責任で事務作業、会議や調査研究などの軽減をおこない、子どもたちと直接ふれあう時間を奪っているさまざまな業務の精選をおこなうことが必要です。


 全教は、今回の深刻な事態の発表に対して、教員を病気休職に追い込まない具体的施策の実現を文科省に強く求めるものです。

                                                      以上
文科省HP↓
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/jinji/1354719.htm