木村百合子さんの公務災害認定を求める裁判について

ついに、12月15日(木)静岡地裁の判決が出ます!

傍聴してください!13時30分〜静岡地裁201号法廷です。
傍聴はどなたでもできます。

 静岡県磐田市の東部小学校の新採教員だった木村百合子さんが、採用された年の9月に自死された事例について、これを公務災害として認めてほしいという裁判が行われています。基金(地方公務員災害補償基金)は静岡支部でも、同審査会段階でも「公務災害外」という不当な判定を下しました。そこで、ご遺族が静岡地裁に提訴し、現在係争中です。朝日新聞テレビ朝日の『報道ステーション』などでも取りあげられましたので、ご存知の方もおられるかと思います。


 百合子さんの事件を知った全国の教職員から、「私と百合子さんは紙一重。私も同じようになったかもしれない。」といった声が届いています。文科省の発表では、2010年度に新採(条件附き採用期間)で退職された方は296人でした。1999年度の51人から比べて、驚くほどの増加です。静岡県教委の発表によると、2009年度の特休・休職者の合計は439人で、そのうち精神疾患罹患者193人です。休職者だけで見ると、121人に対して87人です。新採者も含めて、長時間過密の労働、際限ない業務量の増加、教室内外で生起する負担の数々の中で、教職員が痛めつけられているのです。


 ご遺族も支援する私たちも、誰を断罪するというのではなく、同じような事例が学校職場で二度と起きないように、これを機に働きやすい職場になってほしいという思いで、公務災害認定を求めています。娘さんを失われたご遺族の、無念の気持ちを察していただき、
支援する仲間に加わっていただきたいと願います。。


尚、現在東部小学校は、同じような問題が起きたら、学校全体でフォローするようになっているよ、とのことです。この事件を機に改善されつつあるとのことです。


 ただ不可解なのは、当時百合子さんが所属していた教職員組合の役員の方々は、「心情的には分かるが、中立を守る」(ご遺族と弁護士が支援要請に赴いた際の返答)という立場を取っています。なぜ、中立の立場に立たなければならないのかは、理由を明らかにしていません。繰り返しますが、公務災害認定を求めているだけで、当時の管理職などが断罪されるわけではないのですが。


 また、当時の同校教員の何人かが、基金側に立った陳述書を出しています。それも、不可解なことです。同僚であった方が、なぜ百合子さんの死を「自己責任」「百合子さんは脆弱な先生だった」などの証明のために協力までするのでしょうか。


 この裁判は、仕事上で心身が傷ついた人は当然「公務災害」(民間は労働災害)として補償されるべきだということを主張しているのです。


【経過概略】
 2004年4月木村百合子さんは、静岡県磐田市立東部小学校に新規採用され、4年生のクラス担任となります。念願の教職に就くことができ、希望に満ちたスタートでした。ところがそれから間もなく、百合子さんは大きな困難に直面することになります。百合子さんが担任したクラスには、多動性・衝動性が顕著な児童が在籍していました。百合子さんは、この児童の指導に行き詰まりました。同時に他の児童たちの中にも、百合子さんの指示に従わない子が現れ始め、クラス内の秩序が保てなくなりました。先輩教師に相談したり、指導方法を改善したりするなどしましたが、状況はよくなりません。多忙さゆえの長時間労働も相まって、5月の終わり頃には、心身ともに衰弱した百合子さんの様子が見られるようになりました。


 しかし、クラスが大騒ぎした時などの応急的な対処はあるものの、百合子さんと担任するクラスへの学校としての支援体制はつくられませんでした。それどころか、管理職などからは「おまえの授業が悪いから荒れる」「アルバイトじゃないんだぞ」「問題ばかり起こしやがって」などと責められる始末でした。百合子さんは、「本当に必死な毎日」、「必死にならなければ毎日を過ごせない状態」の中、「自分の最善を尽くしてきた。」「そのことだけは胸をはっていようと思う」(残された百合子さんの記録から)と奮闘しましたが、状況が改善されない中、9月になってクラスの保護者から「ちゃんと子どもの話を聞いていますか」などと書かれた苦情の手紙が届きます。その翌朝、車の中で自死している百合子さんが発見されたのです。


 百合子さんのご両親は、百合子さんの死は公務災害によるものだと訴えましたが、地方公務員災害補償基金基金静岡県支部は、「通常考えられるレベルの困難」であり、「自死したのは百合子さんの脆弱さによるもの」として公務外の認定を下しました。ご両親はもちろん、事実を知った私たちはこの認定を到底受け入れることはできません。


 今、教育現場は、子ども達のために頑張っている教師たちに精神疾患が続発するという異常な事態となっています。百合子さんのような若い新任の教師たちも例外ではありません。百合子さんの事例が公務外ということになれば、異常な働き方をさせられている教育現場の実態が、改善なく放置されることになります。また新任教師に対する不十分な支援体制も、「通常のレベル」とされてしまいます。


そこでご両親は、2008年7月、「公務災害外認定」を取り消すよう(公務災害認定するよう)静岡地裁に提訴されました。


 その後、静岡地裁で11回の「口頭弁論」と2回の「準備手続」、さらに証人尋問が3回にわたって行われ、9月8日(木)に結審となりました。


 判決は、12月15日(木)13時30分から静岡地裁201号法廷で出ることになりました。傍聴は自由です。傍聴にお出かけください。


 そして、是非判決に注目していただくとともに、この裁判のことを多くの方に広めてください。同時に新採教員の置かれている状況について関心を深められ、初任者研修制度や校内支援体制の改善充実などに、いっしょに声をあげてください。


 尚、尾崎裁判では、静岡地裁で敗訴した後、東京高裁と最高裁で勝利しました。今回、勝利判決を確信していますが、どちらにしても控訴審(高裁)となる可能性は高いと思われます。基金要請行動や新たな署名活動なども考えなければなりません。その旨のご理解とご支援もよろしくお願いします。

 また、しんどくなっている教職員、是非ご相談ください。

裁判の経過などは、
ブログ『ともに〜全教静岡』
ブログ『静岡市教組』
などをご参照ください。

連絡先;静岡市教組054−271−8438 
shikyoso@quartz.ocn.ne.jp