6月20日静岡大空襲 65年目

http://d.hatena.ne.jp/zenshizu/20080618 


封印の地、再訪 貝殻で水増し「偽りの遺骨」防空壕で秘密作業
東京の女性、65年ぶり静岡・谷津山へ 「やっと重荷を降ろせた」
2010年6月16日「静岡新聞」夕刊より
 1945年6月20日の静岡大空襲から65年。静岡市内の谷津山で、当時、女学生たちがつらい作業をした。女性史グループに助けられ、「やっと重荷を降ろすことができた」という高橋うた子さん(81)=東京都在住=は5月、心の奥に封印してきたその場所を訪ねた。
 高橋さんは山の北側にあった静岡第一師範女子部の学生だった。校舎は大空襲で全焼。同級生は沼津の工場へ動員されたが、高橋さんを含む15人は軍に動員され、拾ってきた貝殻を谷津山の防空壕(ごう)の中で砕いた。戦地から届いたわずかな骨に混ぜて増量するために。一切が秘密の作業だった。
 小分けした包みを入れる白木の箱の短冊にいとこの名前を見つけ、たまらず抗議してしまった。国賊と呼ばれ死を覚悟したことも。兵隊の手が足りず、“偽り”の遺骨を駅に届けさせられもした。泣き崩れる遺族の姿に「こういう作業は殺されても嫌だ」と思ったという。
 高橋さんは70代後半になって、体験を初めて同窓会の文集で明かした。それが縁で「静岡女性史をつくる会」との交流も生まれた。高橋さんの話を丹念に聞き取り、さらに補足や修正をする。真摯(しんし)な聞き手を得て記憶が解きほぐされ、「ほっとされていた」と担当者は言う。やっと記録として伝えられるとの思いもあったのだろう。
 高橋さんらの証言をまとめた「聞き書き 静岡の女性 二○世紀を生きる」が出版されて2カ月後、高橋さんは思い切って谷津山や宿舎だった寺を訪ねた。防空壕のあった辺りへ進んだが、何も見つからなかった。長い年月は歴史の痕跡を消し去っていた。
 同書は予想外の反響で、増刷が決まった。収録した写真に「姉の姿があった」「父が写っている」など新情報も寄せられた。過酷な体験をした当事者に、時間という壁が押し寄せる。会では「戦争は暮らしを一変させる。貴重な体験談を若い世代に読んでもらいたい」と夏に向けた企画を検討している。

静岡大空襲 1945年(昭和20年)6月20日未明、米軍の爆撃機B―29、123機が静岡市上空に飛来、約868トンの焼夷(しょうい)弾を投下した。わずか2時間で市街地の3分の2が焼失し、推定2000人以上が死亡した。焼け出された人は約12万人に上った。


焼夷弾 ウィキペディアWikipediaより
集束焼夷弾E46
 木造の日本家屋を効率よく焼き払う為、第二次大戦時に米軍が開発した焼夷弾。子弾として38発のM69焼夷弾を内蔵するクラスター構造を取っており、投下後上空700m程度でこれらが分離し、一斉に地上へ降り注ぐ仕組みになっている。なおM69焼夷弾1発あたりの大きさは、直径8cm・全長50cm・重量2.4kg程度。
人体への直撃による被害
 焼夷弾は建造物等の目標を焼き払う為の兵器であるが、M69は小型の子弾が分離し大量に降り注ぐため、人体への直撃による即死の事例が、多くの被災者の証言により伝えられている。
 例えば戦争を題材にしたアニメ・映画では、落下した焼夷弾が家屋や地面に激突し大爆発を起こし燃え上がる描写が多く見られる。だが実際には避難民でごった返す大通りに大量に降り注ぎ子供を背負った母親や、上空を見上げた人間の頭部・首筋・背中に突き刺さり即死、そのまま燃え上がるという凄惨な状況が多数発生していた。
「火の雨」の様に見える理由
 M69の発火は、対象への激突後である。しかし『火垂るの墓』をはじめとする戦争映画等では、火のついた焼夷弾が「火の雨」となって落下する描写がある(多くの空襲被災者の証言にも見られる)。そのため、空中で発火して焼夷剤に引火させると誤解されていることがある。
 M69には、目標(木造家屋の瓦屋根等)への貫通力を高めるため、姿勢を垂直に保つ目的のリボン(青く細長い布)が取り付けられている。上空での分離時に使用されている火薬によって、このリボンに着火し、それがあたかも火の帯のようになり一斉に降り注ぐ為、火の雨が降るように見えるのである。

爆弾のゴミ捨て場となった静岡、浜松 B29は、グアム、サイパンから飛び立ち、目的地へのあるいは、帰り道の目印として富士山や浜名湖をめざしました。空襲目的だけでなく、帰りは機体を軽くするために、残った爆弾を静岡や浜松に落としました。アメリカ軍の文書に「爆弾のゴミ捨て場」と記されています。

関連・インターネット検索; 
  アニメ映画『火垂るの墓』、
人形劇映画、絵本『猫は生きている』 
  「静岡平和資料センター」
  「ウィキペディアWikipedia」には
『日本本土空襲』『浜松空襲』等あり。
  総務省「 一般戦災ホームページ 」 など