2010年夏季休業中の勤務に関する要求書

 
この数年来、県内では7月末までを授業日とし、そして8月末から始業という学校が目立ち、子どもたちの夏休みを大きく削る方向で定着化してきています。もはや、長期休業とは呼べないものへと変質しつつあります。長期休業が、成長過程のまっただ中にある児童・生徒にとってどのような意味があるのかも検証されず、「学力向上」の名の下に一方的に大きく削り取っていくことは大きな問題と言わざるを得ません。
 一方、このことは教職員にとっても大きな影響を与えています。日常における長時間過密労働の改善が遅々として進まない中、昨年も指摘したように、「常態化している長時間過密労働で酷使された身体を癒すだけでなく、教員が職場を完全に離れて過ごすことが豊かな教育実践につながる」(「理想の学校教育具現化委員会」藤原委員の発言要旨)や「夏休みの勤務を日常と変えることはすぐにでもできることだ」(同小川委員発言要旨)等、夏期休業期間における教職員の休養と学びの必要性やそれを保障する勤務の有り様について、県教委自身が改善に向け具体的な動きをつくることが急がれています。
 こうした状況を踏まえ、以下の要求書を提出いたします。つきましては、5月中に交渉の場を設定していただけるよう、お願い申し上げます。

                  記

1  夏休みの勤務を日常と変える発想をもち、教職員の「休養」と「学び」が真に確保されるよう、これまでにない思い切った措置を講ずること。

2  「夏休」を7日に拡大すること。また、一斉に習得することを原則とすること。

3  健康上の不安を抱える教職員だけでなく、休むことに不安を感じている教職員が増えている傾向が見られることにも配慮し、夏季休業期間は、例外なく安心して休養したり、治療に専念したりするよう、管理職および全教職員に対し指導すること。

4 「理想の学校教育具現化2009」や「学校運営の見直し改善」で示した会議や研修の精選のうち、夏季休業中にかかわるものを県教委として率先してすすめ、また、各学校が推し進めるよう指導を強めること。
5 「国民的行事である旧盆期間中は学校を閉庁」とし、教育委員会からも全保護者に対し、理解を求めること。また、旧盆以降には学校行事や校務を入れないよう、校長を指導すること。

6  1ヶ月に満たない休業期間の学校が出てきている中では、小規模学校に限らず、「夏休」等の行使により、勤務する者がいない事態が発生する可能性がある。「結果閉庁」を含め、学校現場の実態を踏まえた対応をとること。

7  例年確認しているように、教特法21・22条の精神に則り、勤務場所を離れて自主的な研修をとることは当然保障されるべきものである。近年、積極的にとる方向で教育委員会が指導に動き出していることは評価される一方、「学校でできることは学校でやるべき。自主的な研修としては認めない。」というような間違った校長の対 応も依然としてあり、是正させること。さらに、文科省教育委員会の後援が「ある・ない」によって、「自主研修」承認の可否判断の基準としないよう校長を指導すること。

8 旧盆以降の諸活動を計画しないように指導すること。

9 過熱化の様子が見られる部活動や各種指導等で、夏季休業中に「夏季休暇」が完全取得できない教職員が出ないよう、指導を徹底すること。また、中体連等による週休日の振替がきちんと取得できるよう十分な配慮を行うこと。

10 「夏休」対象外となる臨時教職員の勤務に関しても、「十分な休養と主体的な学び」が確保されるよう校長を指導すること。

11 最近顕著になっている夏季休業期間を短縮したり、学力向上等の理由で安易に児童生徒を学校に招集したりすることのないよう、指導すること。

12  「初任者研」・「10年研修」対象者及び「教員免許更新受講者」等に対して配慮を行うこと。

13 夏季休業中に勤務の時間割り振りを行わざるを得ないときには、確実に行われるよう事前・事後の指導を行うこと。

14  年休や夏休の申請期間でありながら、同時に出勤していることがないよう指導すること。
                                        以上