静岡県人事委員会が異例の、不当な「臨時勧告」

民間の夏のボーナスが「大きく減少することがうかがわれる」

・・・だから、公務員の夏のボーナスも下げる(0.2月分「凍結」)

 静岡県人事委員会は、5月15日に異例な「臨時勧告」を行いました。

  「民間企業における本年の夏季一時金は、昨年に比べ大きく減少することがうかがえる」・・・確定したものではなく、予想でしかありません。
  「可能な限り民間の状況を公務に反映する」
  「12月期の特別給で1年分を精算しようとするとおおきな減額となる可能性」・・・ここでも「可能性」
 人事院が出した以上3つの理由で、本来2.15月分支給される夏の一時金(ボーナス)を、0.2月分下げて(凍結)、1.95月分にしろと言うのです。

「民間給与との精確な比較」をせず、「可能性」だけで・・・

 県人事委員会は、「従来から民間給与との精確な比較を基に給与勧告を行っている」と言っています。今年も人事院と各県・政令市人事委員会が、5月1日から6月18日まで調査をしています。これは、訪問・聴き取りによるもので、全国1万1千社を超える調査なのです。
 ところが、今回は人事院が行った2700社への郵送調査だけで、しかも一時金妥結で回答した企業はわずか340社だったという調査です。当然まだ支給されていないのです。ですから、「減少することがうかがえる」「大きな減額となる可能性」としか言えません。「決定状況を精確に把握することは困難」ですとも言っているのです。
 このような不確実な調査を基に勧告をするなど言語道断です。

「中立」を言いつつ、政府与党の圧力に屈した

 労働基本権の代償機関として、「中立の立場」で調査し勧告するというのが、人事院や県人事委員会の常日頃の言葉です。
 ところが「自民、公明両党の『国家公務員の給与の検討に関するプロジェクトチーム(PT)』は4月2日、国家公務員の2009年夏のボーナスを減額する方針を正式に了承した。」と報道された直後のこの「臨時勧告」です。誰が見ても、人事院も県人事委員会も政治的圧力に屈したとしか思えません。

一時金は生活給なのに

一時金(ボーナス)は、特別のご褒美ではありません。ローンの返済、子どもの教育費、買い換え時期に来た家電などの購入、実家への恒例の帰省費、近い将来への貯金等々、生活を維持するために必要で、当然支出が予定されている生活給です。支給前1カ月余しかないのに、7〜8万円も収入減となっては大きな痛手です。

これから決まる中小企業の夏の一時金にも影響

多くの中小企業では、夏の一時金の決定はこれからの攻防のようです。その際公務員の支給率を参考にするところも多いと聞いています。今回の公務員の削減が強行されれば、当然中小企業への影響も大きいものがあるでしょう。

賃下げの悪循環は、さらに消費不況に追い込むもの

 民間が下がるだろうから、公務員も下げる、すると民間も下がる。まさに悪循環です。政府与党や大企業はそれをねらっているのでしょう。
 しかし、この経済不況は国民の消費が大きく落ち込んでいることも大きな原因です。だからイギリスなどは消費税を下げて消費の伸びを支援しています。日本はやることが逆です。公務員の賃金を下げて、民間の賃金をさらに下げることで喜ぶのは、赤字と言いながら内部留保をいっぱい蓄え、「国際競争力」をつけようとしている一部大企業だけではないでしょうか。「これでまた、人件費をおさえられる理由ができた」と。

 20日に県教育長との交渉が予定されています。県人事委員会「臨時勧告」を受け入れないよう、強く強く要求していきたいと思います。
 みなさんの声を伝えます。怒りと悲痛な声を聞かせてください。
2009年5月16日
全静岡教職員組合(全教静岡)執行委員会