【全教青年部発表】2008/06/24 

全教青年部が青年教職員に対するハラスメント調査結果を発表!

ハラスメント被害者への緊急の対応を!

管理主義・競争主義的な「教育改革」を強権的にすすめる東京、大阪で突出するハラスメント!

 全教青年部は6月23日、2007年11月から08年3月にかけて行った「青年教職員に対するハラスメントについての調査」の結果を公表しました。

 「調査」には21都道府県・2305人の回答が寄せられ、今回35才以下・1978人分を集計しました。

 調査の結果、現在の職場にハラスメントが「ある」と回答した人が39・7%、これまでハラスメントを受けたことがあると回答した人が37・4%にのぼりました。また、東京では現在の職場にハラスメントが「ある」と回答した人が59・9%、これまでハラスメントを受けたことがあると回答した人が53・8%にのぼり、知事・教育委員会によるトップダウンで「競争・管理」の教育が学校現場に持ちこまれる中で、「職場破壊」がすすんでいることが明らかになりました。 

 全教青年部は、当面、文部科学省教育委員会が責任をもって実態を把握し、ハラスメントを受けている教職員に対する相談窓口や苦情申し立て制度、メンタルヘルス・ケアの体制確立をもとめていくことが必要であると指摘。ハラスメントをなくし、生み出さないために、職場のハラスメントについての立場やガイドラインの表明、管理者に対する研修・教育訓練、教職員に対する啓発活動などを行うよう文科省に求めています。 また、学校現場だけでなく、民間・公務を問わずハラスメントのない公正・公平な職場環境を社会的に実現することがもとめられており、そのためにも、この間の安易な規制緩和路線のもと破壊されてきた労働環境・社会環境を回復し、労働者が人間らしく働くルールや職場のハラスメントとたたかうための根拠となる規制法の立法化などが必要だとし、関係省庁や国会議員への要請など社会的に訴えていくことにしています。
 
≪調査の趣旨≫ 
 いま、職場でのハラスメント、いじめ・嫌がらせといった問題が社会的な問題となってきている。その背景には、リストラや成果主義の導入などによる過度に競争的な関係、非正規雇用労働者の増大など職場内の差別的な構造の広がり、この間の相次ぐ企業の不祥事に象徴される職場のモラルの著しい低下などにより、労働者の仕事の負担増や労働条件の悪化、職場内のコミュニケーション困難や人間関係の希薄化などがすすんでいることがあると思われる。
 この問題は、学校現場も無縁ではない。この間、職場の多忙の深刻化、「教育改革」のもとでの学校間競争の激化、教育委員会や管理職による「管理・統制」の強まり、教職員評価制度やそれにもとづく賃金リンクの導入などが行われてきている。こうした政策が学校現場に導入されてくる中で、職場でのハラスメントに悩む教職員からの相談や、全国的な会議などでの報告も増えてきている。
 しかし、職場でのハラスメントの問題は、1990年代から2000年初頭以降、法制化をはじめ具体的な対策をすすめはじめた欧州諸国に対し、日本では実態把握も具体的な対策も不十分な状況にある。文部科学省の担当者も、「セクハラなどのハラスメントは個人の人権を侵害するものであり、就労条件・教学条件という点からも許されない行為」「『パワハラ』についても近年、社会問題になってきている。職場環境の面からも問題と思っている」(08年3月21日)と回答する一方で、すでに法制化されたセクシャル・ハラスメントをのぞくその他のハラスメントについては、法的根拠がないことを理由に文部科学省として責任をもった実態把握も具体的な対策も行う意思がないことを表明している。
 職場でのハラスメント行為は、ハラスメントを受ける個人にとって重大な人権侵害であると同時に、職場の環境悪化をもたらす労働問題である。さらに学校現場においては、それは子どもたちの教育にとって重大な影響をもたらす教育問題である。全教青年部は、すべての教職員が子どもたちと正面からむきあい、いきいきと教育活動に専念できる職場環境を実現するために、職場におけるハラスメントの実態の把握とその解決に向けたとりくみをすすめることを目的に今回の調査を実施した。