教育改悪3法の参院委員会附帯決議

忘れないように、読んでおきましょう

 教育改悪3法は、愛国心などの目標化、免許更新制導入、「指導力不足教員」などでいつでも教員をクビにできる仕組み作り、国の地方教育へのさらなる規制強化など、改悪教育基本法の具体化へ道を開くものです。
 しかし、実際の具体化にはまだまだたたかいの余地があります。一番の根拠はもちろん憲法です。憲法に根ざした教育は、改悪法を受け入れられないものです。
 ここでは、与党が強行採決の際に出した『附帯決議』を載せておきます。その中にも、今後に生かすことのできる内容もあると思います。忘れないために、ここに載せます。

参院文教化学委員会 附帯決議

学校教育法等の一部を改正する法律案、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案及び教育職員免許法及び
教育公務員特例法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
       平成19年6月19日    参議院文教科学委員会
政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。
1、教育は、我が国の将来を託す世代を育成する国政の最重要課題であることにかんがみ、国家的先行投資である教育予算の一層の拡充に努めること。
2、各学校が、多様な子どもの実態や地域の状況を踏まえた創意工夫ある教育課程の編成を通して、学校種ごとの目標を達成できるようにすること。
3、教員の多忙化を解消し子どもと向き合う時間を増やすなど教育の充実のため、小学校高学年での専科教員の増、習熟度別指導・少人数教育の拡充など、教職員定数の改善に努めるとともに、学校事務職員の任務を踏まえた有効活用、学校のI C T 化及び事務の外部委託化並びに外部の専門家及び地域人材の活用に努めること。
4、副校長等の新たな職を置く際には、教員間の適切な役割分担に資すると同時に、学校が保護者や地域住民の期待に十分に応えられる体制となるよう必要な定数を確保するとともに、職責に応じた処遇が図られるよう努めること。また、地方自治体や学校の実態を踏まえた配置がなされるよう努めること。
5、学校評価ガイドラインについては、各教育委員会及び学校による、地域の実情に応じた創意工夫に基づく学校評価の実践を尊重するとともに、評価結果が学校の序列化につながらないよう留意すること。また、学校評価の結果等教育活動に関する情報の積極的な提供を促すこと。
6、我が国の大学が人類の文化を継承発展させる知の拠点として、質の高い教育研究を行うとともに、将来にわたり国際社会を始め広く社会に貢献できるよう、基盤的経費を拡充するとともに、競争的資金を確保するなど必要な支援に努めること。
7、文部科学大臣が是正の要求や指示を行う以前に、地方自治体において地方自治の力を発揮するよう要請すること。また、文部科学大臣が是正の要求や指示を行うに当たっては、十分な情報に基づいた、慎重な運用に努めるとともに、紛争処理に関しては、地方自治法の適正手続を必ず踏まえること。
8、文部科学大臣地方教育行政の組織及び運営に関する法律による是正の要求や指示を行うに際し、首長は、教育委員会に対して支援等を行うこととすること。
9、知事が都道府県教育委員会に対し、学校教育に関する専門的事項について助言・援助を求める際には、私立学校と協議するものとし、教育委員会は私立学校の自主性を尊重すること。
10、私立学校が全国、全学校一律の法律上の義務を担保できるよう、知事部局に学校教育に関する専門的知識を有する者を配置するなど体制の充実を促すこと。
11、教員免許更新制の円滑な実施に向け、教員及びその他の免許状保持者等に対して制度の十分な周知を図ること。また、更新制の導入に伴う免許状授与原簿の管理システムの構築と運用に当たっては、遺漏なきよう万全を期すること。
12、国公私立のすべての教員の免許状更新講習の受講に伴う費用負担を軽減するため、受講者の講習受講の費用負担も含めて、国による支援策を検討すること。
13、教員の資質能力の向上という免許状更新制度の趣旨を踏まえ、任命権者は、学校現場の実態に即し、各教員の受講期間を的確に把握し、教員の安全と健康に配慮しながら受講機会の確保とともに受講時の服務の取扱いについても必要な配慮を行うこと。
14、免許状更新講習の内容については、受講者に対する事前アンケート調査の実施、講習修了後の受講者による事後評価及びこれらの公表を行うなど、受講者のニーズの反映に努めること。また、多様な講習内容、講習方法の中から受講者が選択できるような工夫を講ずること。
15、へき地等に勤務する教員や障がいを有する教員が、多様な免許状更新講習を受講できるよう努めること。
16、現職研修と免許状更新講習との整合性の確保、特に十年経験者研修の在り方について検討すること。
17、法施行後の実施状況を見極めた上で、現職教員以外の者であって教員免許状を授与されたことのある者の免許状更新講習の受講要件を拡大する方向で検討すること。
18、大学における教職課程の見直し、社会人の教員採用など、養成・採用・研修を通じた教員の質の向上に努めること。
19、教職に優秀な人材を確保するため、人材確保法の存続と教員の勤務実態を踏まえた給与財源の確保に努めること。
20、指導改善研修に係る教員の認定に当たっては、任命権者による公正かつ適正な認定が行われるよう努めること。また、認定に当たっては当該教員の意見を述べる機会を設けるなど配慮すること。
21、学校は児童生徒が一日の大半を過ごす場であるとともに、地域住民の避難場所としての役割も果たしていることから、すべての学校施設の速やかな耐震化のために必要な措置を講ずること。
22、スポーツ等部活動を活発化するための支援を充実し、スポーツ指導者等の処遇改善に努めること。

右決議する。