15春闘交渉報告その1

7月17日に、対静岡県教育長 「春闘」交渉を行いました。
んっ?今頃、春闘
そうなんです。静岡県の教育長は、春に決まらず、
ようやく新教育長、木苗直秀氏が決まったのが、5月の半ば。
通常は、4月の末には行っていた春闘要求書にもとづく交渉が、
ここまで延びました。ふ〜っ。
 交渉の様子を伝えて行きます。

 重点要求 1  教育委員会の政治的中立・自主性厳守について
 教育委員会の県知事からの政治的中立と自主性の維持、内部討議と合議制の体制を厳守すること。
    ↓
【県教委回答】 本県の教育行政につきましては、「教育基本法」、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」及びその他の関係法が定めているところにより適切に行われております。

  ↑ 「戦争法案」が衆院強行採決された後でした。「戦争体制」になれば、有事立法発動で、真っ先に学校現場に影響があります。その際に、行政の横暴に対して、教育委員会が、教育を守るため、子どもたちを守るため、壁になってほしいと訴えました。


 重点要求 2の1  免外教員の解消、持ち時数の負担解消
 学習指導要領実施に伴う様々な矛盾について解決を図ること。特に、免許外教員の解消を図ること。
    ↓
【県教委回答】 免許外教科担任の解消につきましては、原則10学級以下の小規模校について、免許外教科担任解消のための非常勤講師を増員しました。今後も引き続き、非常勤講師の増員に向け努めていきたいと考えております。

    ↑ 静岡県は、免許外教員(専科教員が不足のため、他教科の教員が「お願い」をして、免許外教科を教えています。)の数が、全国でもベスト10内の常連です。今年度はじめでも、県内に334人いると、県教委は発表しています。専門の先生に教わっていない生徒が大勢いるということです。


 重点要求 2の2 授業持ち時数や授業担当学級が増える場合への教員加配などの措置を講じること。
    ↓ 
【県教委回答】 教員加配などの措置を講じることにつきましては、平成26年度、学習支援事業として、小学校に学び方支援非常勤講師と支援サポーターを配置しました。本年度は、配置対象を中学校にも広げ、事業規模も拡大しております。

    ↑ 今の学習指導要領になり、例えば音楽の先生が学校に1人しかいなくて、20以上のクラスを受け持つなんてことが、広がっています。これでは、生徒に十分な授業ができなくなると同時に、教員の忙しさは、とてつもなくなります。Y市教委は、昨年、みんなやってる、と言いましたが、それでいいわけはありません。


 重点要求 3   全国学テの中止
全国学力・学習状況調査」(学テ)に参加しないよう働きかけること。
  特に、実施しないよう国に意見をあげること。少なくとも「毎年・悉皆」で行うことには反対すること。
    ↓
【県教委回答】 全国学力・学習状況調査につきましては、その目的が「学校における児童生徒への教育指導の充実や課題を検証し、その改善を図る」ことであり、調査の実施は学校改善・授業改善に有効であると認識しております。  県教育委員会といたしましては、昨年11月に、調査のあり方について検討されるよう、文部科学省に要請したところであります。

    ↑ 検証の果てが、「過去問」をやったこと、問題と解答用紙が別のやり方になれたことなどが主な成果であるなら、単なるテストなれ対策です。テストができるような「授業改善」になりがちです。実際、学校現場では、目の前の子どもたちにつけたい学力とは?そしてそれをどうやれば?と毎日が「授業改善」の連続です。そこへ、テストができるための「授業改善」が持ち込まれ、混乱をきたしています。
 しかも、学習指導要領の問題を取り上げずに(昔から、教育行政は間違いを認めない)、学習指導要領に基づいた「全国学テ」を強制しているのが、実態です。

交渉での発言から

  昨年、2年生を担任していたが、算数の内容で、4月に学習する『時間と時刻』は、子どもの発達を無視した、問題の多い内容である。指導要領の改正前には、3年生の4月に学習していたが、2年生の4月に下りてきてしまった。時刻と時間の違いが、2年生になったばかりの子たちには、大変わかりにくい。
 さらに、「午前と午後」も、24時間制と比べて考えなければならないので、わかりにくい。午前8時から午後3時までの時間の長さを求める問題まであり、2年生の1年間を過ごした子たちが学ぶのと、1年生から2年生になったばかりの子が学ぶのとでは、誰が考えてもその困難さは考えられるだろう。
 加えて、ここに出てくる「時」「間」「前」「後」の漢字は、2年生の2学期以降に国語で学ぶ漢字である。読み仮名は教科書に付いているが、いきなり漢字で書かれている。
 学習後に、プリントなどで復習しても、理解できない子が多くいて、さらにのテストの問題も難しい内容のために、子どもたちは、ひどい点数しか取れない。
 家に持ち帰れば、保護者もできの悪さに驚き、4月末の家庭訪問で話題になり、教師が釈明したり、不審に思われたりすることになる。
 初めて2年生を受け持った若い教員は、流れのままに授業をし、練習をし、テストをし、悪い点数に保護者の批判に晒されることになってしまった。
 さらに、浜松では、12月にこれまで基礎的な計算力を問うていたテストが、PISAを意識した、長文の中にかけ算やひき算の問題が隠されているような複雑なものとなり、平均点が50点ということで、教師の間で大変な問題になった。持ち帰ったテストを保護者が見て、教師不信が深まることは当然である。
 2年生だけでなく、すべての学年の、すべての教科内容で、子どもの発達課題を無視した内容が、これまで以上に広がっていることは、大変な問題である。