【声明】『与教育基本法改悪法案国会提出に満身の怒りをこめて抗議する

――すべての父母・国民、教職員のみなさん、教育基本法改悪法案阻止のために全力をあげましょう――』

2006年 4月28日 全日本教職員組合中央執行委員会
 
 小泉内閣は4月28日、教育基本法改悪法案を閣議決定し、国会に提出しました。全教中央執行委員会は満身の怒りをこめて改悪法案提出に抗議するとともに、すべての教職員、父母・国民のみなさんと力をあわせて、教育基本法改悪法案成立阻止のために、全力をあげてたたかう決意を表明します。
 
 教育基本法改悪法案のねらいは、第1に、憲法9条改悪による「戦争する国」づくりと一体の、「戦争する国」を支える人づくりにあります。改悪法案は、「国や郷土を愛する態度」を入れ込み、戦前子どもと国民を侵略戦争に精神的に総動員する道具としてきた「愛国心」を、学校教育をとおして押しつけるものとなっていることが、その何よりのあらわれです。教育基本法は、日本国民310万人、アジアの人びと2000万人という大きな犠牲を生み出した侵略戦争を厳しく反省し、日本は二度と戦争はしない、と世界に誓った平和憲法と一体につくられました。これを根底から覆す改悪法案は、「教え子を再び戦場に送るな」という歴史的スローガンに照らして、断じて許すことはできません。
 
 第2は、時の政府が教育を思いのままに支配しようとするものです。改悪法案が、教育は「国民全体に対し直接に責任を負って」という教育基本法の規定をすべて取り払ったことにそれは明瞭にあらわれています。権力が教育を支配したり、教育に介入したりしてはならないというのは、戦前の教育が時の権力に支配されて、教育がゆがめられ、「お国のために死ね」と教える教育がおしつけられたことへの深い反省に立ってつくられた教育基本法の民主的大原則です。改悪法案は、これを180度変えてしまうものであり、絶対に許せません。
 
 子どもは「宝」です。改悪法案は、みんなの手で大切に守り育てなければならない「宝」である子どもたちを時の政府がほしいままにし、特定の政治的立場にたつ「愛国心」を押しつけて、内心の自由を侵害し、苦しめるもの以外の何ものでもありません。
しかも、改悪法案は、自民・公明の一部の政治家が、子どもの声も、父母・国民、教職員の声も聞かず、3年間にわたってずっと密室で協議してきたものです。まさに、国民不在といわなければなりません。それを、いきなり国会に提出し、今国会で決めてしまうというのは、誰が考えてもあまりにも乱暴な話です。「国家百年の計」であり、もっとも重要な国民的課題である教育の問題についての審議に、まったくふさわしくなく、とうてい、国民の合意を得られるものではありません。
 
 すべての教職員のみなさん、子どもを大切に育てたい、という教職員の良心を総結集し、何としても教育基本法改悪法案の成立を阻止しようではありませんか。教職員の誇りと尊厳をかけた歴史的なたたかいを、一気に、急速に、すべての職場、地域から強めようではありませんか。
 
 すべての父母・国民のみなさん、子どもはその存在そのものが未来です。子どもの未来を閉ざしてはなりません。子どもを守るために、ごいっしょに力をあわせ、教育基本法改悪法案阻止のために全力をあげようではありませんか。
 
 平和を愛し、子どもを愛するすべての父母・国民、教職員の願いを、立場や考え方をこえて、今こそ一つにたばね、憲法9条改悪を許さぬとりくみと大合流させましょう。圧倒的な国民世論で、改悪勢力を包囲しましょう。その力で、教育基本法改悪法案を何としても阻止しましょう。
 
 全教は、このたたかいの先頭にたち、全力をあげて奮闘するものです。