安倍9条改憲を許さず、憲法をいかした政治の実現を求めて  全教が談話

【全教談話】

安倍9条改憲を許さず、憲法をいかした政治の実現を求めて

 

新たな決意で運動を強めよう-参議院選挙結果を受けて

 

2019年7月24日

全日本教職員組合(全教)

書記長 檀原 毅也

 

 7月21日投開票で行われた第25回参議院選挙は、安倍9条改憲阻止、国民のいのちとくらしを守る政治の実現などをめぐって、市民と野党の共闘対自民・公明とその補完勢力との対決構図が鮮明となるもとでたたかわれました。自公の政権与党が改選の過半数を上回る71議席を獲得したものの、自民党は、改選議席から9議席後退しました。さらに、補完勢力である日本維新の会を加えても、改憲勢力は2/3を下回る結果となりました。

 

 「早期の改憲」を掲げて参議院選挙に臨んだ安倍首相は、22日の記者会見において、「憲法審査会の開催と憲法改正原案に向けた議論を呼びかけたい」と改憲に前のめりの姿勢を示しています。臨時国会で、憲法審査会を再開し、9条改定を含む「改憲4項目」を提示することをめざすものですが、改憲派が2/3未満となる民意が示されたもとで、このまま改憲につきすすむことは許されるものではありません。

 

 一方、32の一人区のすべてで、13の共通政策を掲げた野党5党・会派での統一候補が実現したことの意味は大きいものがありました。改選時には、5野党・会派は2議席だったものが、10選挙区で勝利し、今後の市民と野党の共闘をさらに発展させる上で大きな成果となりました。10選挙区の結果は、安倍9条改憲ストップ、イージス・アショアの配備撤回、米軍の新基地建設は許さない、消費税増税中止、暮らせる年金制度の確立、日本の経済主権を守れなどの切実な国民の願いが示されたものだと言えます。

 

 全教は、参議院選挙にあたって、「安倍9条改憲NO!安倍政権退陣!立憲主義、民主主義、平和主義の回復を 政治を変えて職場の願いを実現しよう」と題する選挙闘争方針を確立し、たたかいをすすめてきました。とりわけ、職場の切実な要求をもとに、「1年単位の変形労働時間制の導入ではなく、長時間過密労働の抜本的解決を求め、教職員定数増などで、子どもと向き合う時間の確保、ゆきとどいた教育を実現すること」を掲げ、「せんせいふやそう 選挙にいこう」との呼びかけを職場で強めてきました。こうしたたたかいを進める上で、参議院選挙特集の新聞全教号外を14万部発行し、憲法3000万署名、「せんせい ふやそう」ネット署名を軸に教職員との総対話をすすめ、「選挙に行って政治を変えよう」と呼びかけました。各構成組織は、職場・地域の実態を踏まえながら、選挙闘争に正面からとりくんできました。

 

 今回の参議院選挙が、48.8%と戦後2番目に低い投票率となった背景には、度重なるうそと隠ぺい、忖度政治がまかり通ることに対する政治不信の広がりがあります。また、政治的中立の名をかりて、政治や選挙について自由に語り合うことを阻害する状況がつくられていることが、政治的無関心を広げる要因ともなっています。

 

 文科省は、18歳選挙権の実現に伴って、2015年10月、「『高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について』(初等中等教育局長通知)」(「通知」)を、さらに2016年1月29日に、「通知」に関する「Q&A」を発出して、高校生や教職員の政治的自由に不当な制限をかけてきました。こうした動きと連動して、地方議会や地方教育委員会からの教職員の政治的自由に関わる介入問題も続いてきました。また、今回の参議院選挙にあたっても、文科省は、教職員に対してあらゆる政治活動、選挙活動が認められていないかのような、「教職員の選挙運動の禁止等について(通知)」を4月の統一地方選挙での通知に続いて発出しました。こうした一連の動きは、本来憲法で保障されている教職員の思想信条の自由、言論表現の自由に制限をかけ、萎縮させるものでしかありません。全教は、改めて、「通知」及び「Q&A」教職員の選挙運動の禁止等について(通知)」の撤回を求めるものです。

 

 全教は、引き続き、「教え子を戦場に送るな」のスローガンを高く掲げ、安倍9条改憲を許さず、憲法をいかした政治の実現を求める運動に全力をあげていく決意です。この秋、「せんせい ふやそう」「権利としての教育無償化の実現を」など、教職員の要求を実現する運動をご一緒にすすめていきましょう。

 

                        以上