3月17日、静岡県の新教育長人事にかかわって、次のような申し入れをしてきました。
「逮捕歴」について、知事や県は、「10年以上経過しており、刑法上はその前科は問われない」としていますが、
当のT氏は「そのことは今も誇りに思っている」と答え、反省しているわけではありません。
「個人のプライバシーを侵害」するのではなく、静岡県の教育長として、どうかと問いたいのです。


新教育長人事にかかわる申し入れ書

 県議会総務委員会は、次期教育長候補・T氏の人事案について、教育委員長・M氏の「経歴に疑義がある」とする申し入れを受け継続審査とし、3月18日にT氏とM教育委員長を呼んでの再審査を行なうことを予定しています。
 M氏が指摘しているように、改正地方教育行政法において、教育長は「人格が高潔で、教育行政に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、 任命すること」と定められています。私たちは、問題になっているT氏の「逮捕歴」およびその背景について、事実関係をできうる限り正確に掌握して、T氏が次期教育長として果たして適格なのかどうかを慎重に判断すべきであると考えます。
 問題になっている逮捕歴というのは、1979年5月21日に、警視庁によって、日本国内の政治・経済や自衛隊活動などの情報を収集した台湾の情報局員と、この情報局員に協力した、当時「香港自由報」東京支局長であったT氏の2人が、旅券不実記載、出入国管理令違反などの容疑で逮捕されたというものです。T氏は、3月16日の記者会見で、「当時は中国で文化革命が起きていて、知り合いの中国人が友人たちを逃がすため私の家族の名義を勝手に使っていた。」と説明していますが、逮捕の時期も(文化大革命は1966年から1977年)その内容も逮捕時の状況とは異なるものです。
 経歴からみると、T氏は台湾との関係が非常に深い人物であることがわかります。それはT氏が、李登輝中華民国総統の来日支援などが契機となり、日台関係の強化と台湾独立を支持する有識者らを中心に、2002年12月15日に設立された「日本李登輝友の会」の発起人に名を連ねていることにも見て取れます。このような背景から見て、T氏自身の逮捕歴にかかわる弁明は、その信憑性が疑われても仕方がないと言えます。氏は判決文によって真実を明らかにする責任があります。
 また、T氏は台湾独立を支持する傍ら、数々の著作の中で、中国政府や「中国人」に対する辛辣な批判を繰り返しています。また著作の中でT氏は、「『南京大虐殺』はなかった」と明言し、政治的・社会的に問題となっている歴史修正主義的な立場に立っていることもまた明白な事実です。
 静岡県は「静岡県日中友好協議会」を中心に古くから中国との友好交流の歴史があります。昨今では静岡空港を利用した高校生の中国修学旅行など、高校生レベルでの交流事業も盛んになっています。個人としてのT氏がどんな思想や政治的立場・歴史観を持っていようと、私たちがとやかくいう筋合いのものではありません。しかし、教育的な観点からも政治的な観点からも、そういう立場で活動してきた人が、政治的中立性を強く求められる静岡県の教育長としてふさわしいとは到底思えません。よって以下申し入れます。

1T氏の逮捕歴の事実とそれにかかわる氏の弁明について精査し県民に明らかにすること。
2政治的な中立性が担保できない恐れがあるT氏の政治的な立場・歴史観などを鑑み、本件人事案を白紙撤回すること。  
以上

追;県議会には、「否決すること」として申し入れしました。


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また、静岡県知事室HPに「御意見・御質問」コーナーがあります。聞いてみてください。