ILOの提唱するディーセントワーク

 2月12日に、『ILOの提唱しているディーセントワーク』をテーマに安健センターの学習会がありました。

ILOについて

 ILO(国際労働機関)は、1919年第一次世界大戦後に、労働者が再び戦争に巻き込まれないためにと、「永続する平和は社会正義を基礎として」と設立されました。
 ILO憲章前文に「いずれかの国が人道的な労働条件を採用しないことは、自国における労働条件の改善を希望する他の国の障害となる」とあることでも、ILOの設立の意義が分かります。
 それから第二次世界大戦までは、第1号条約が「8時間労働、週休2日、週40時間、有給休暇」などを盛り込んでいたように、主に労働時間に関する条約が中心でした。ところが途中、日本はドイツ、イタリアと共にILOを脱退、その中で、日本は労働時間に関する条約を批准しないまま現在に至っています。
 ILOは戦後を見据えて、『フィラデルフィア宣言』を出し、「労働は商品ではない」「表現と結社の自由」「労働者の生命と健康の保護」などを主張しました。そして戦後、後述する重要な条約を打ち出します。

ILOの21世紀戦略

   〜 ディーセントワークの推進
 21世紀を前にしてILOは、不平等なグローバル化の進行と、それに伴う貧困の蔓延を憂えて、『ディーセントワーク』を世界目標として掲げ、各国で実現することを訴えました。『ディーセントワーク』については、「人間らしい仕事」とか、「人間らしい働きがいのある仕事」「好ましい労働」とか訳されています。チャップリンの「独裁者」の中のセリフにも出てくるDecent とは?
 その意味は、ILOの『ディーセントワークの実現に向けた取り組み』に明らかです。
前提として「ジェンダー平等は、横断的目標として、すべての戦略目標に関わる」とし、次の4つをあげています。
1.「仕事の創出」、
2.「仕事における権利の保証」
3.「社会保障の拡充」
4.「社会対話の推進と紛争解決」

日本も「ILO条約尊重の義務」がある

 ILO188の条約の内、48しか批准していない日本では難しい?そうではありません。 
 ILOは、「条約を批准していなくても、加盟国は尊重する義務を持つ」としました。
特に『結社の自由及び団結権保護』の87号条約、
団結権及び団体交渉権』の98号、
『同一報酬』の100号、
『強制労働の禁止』29号、105号、
『雇用及び職業における差別の排除』の111号、
『児童労働の実効的な廃止』138号、182号
の8条約は、重要と強調しています。

 憲法98条にあるように、日本は条約や国際法規を「誠実に遵守する」義務もあります。
 ILO条約や『ディーセントワーク』を日本の国内で当然に生かすことが、今でもできるのです。
 生かすのは政府?もちろんですが、重要なのは労働運動です。私たちです。