2022 年 9 月 2 日
文部科学大臣 永岡桂子 様
全日本教職員組合(全教)
中央執行委員長 宮下直樹
学校現場で弔意表明を強要しないよう周知徹底することを求める要請書
日本国憲法にもとづき、子どもたちの成長と発達を保障する学校教育の充実に向けて
のご尽力に敬意を表します。
政府は 9 月 27 日に安倍元首相の「国葬」を実施するとしています。
日本国憲法のもと、国葬に法的な根拠はなく、国会で議論することなく閣議決定のみ
で莫大な経費を費やすことは財政民主主義に反します。そもそも国葬を実施することそ
のものが、故人の死を政治利用し、故人への賛美を国民に強要することであり、憲法が
保障する思想・信条の自由を侵すものです。多くの国民が「国葬反対」の声をあげるの
は当然のことです。
8 月 30 日、永岡文科大臣は、記者会見で「国民一人一人に弔意を求めるものである
との誤解を招くことがないように、地方公共団体や教育委員会等への関係機関に対する
弔意表明の協力方をおこなうことはございません」と述べています。翌 8 月 31 日、岸
田首相も「今般の国葬儀の実施に当たっては、国民一人一人に弔意の表明を強制するも
のであるとの誤解を招くことがないように、国において、閣議了解は行われず、地方公
共団体や教育委員会等の関係機関に対する弔意表明の協力も、表明の協力方の要望も行
う予定はありません」と述べていますが、続けて「各府省における弔意表明について
は、葬儀委員長決定として、従来の各府省における弔意表明と同じく、弔旗を掲揚する
とともに、葬儀中の一定時刻に黙祷をする」としました文科省はこれに応じるべきでは
ありません。また、このような発言により、地方公共団体や教育委員会が自らの判断
で、9 月 27 日に学校に弔旗の掲揚や黙祷など弔意の表明への協力を呼びかけることが
予想されます。しかし、それは学校や子ども、教職員に弔意の表明を押しつけることに
ほかならず、 また、教育基本法第 14 条 2 が禁じている政治的活動にあたるおそれがあ
り、すべきではありません。
以上のことから、下記について、すみやかに対応するよう求めます。
記
1 個人の思想・信条の自由を保障する日本国憲法に則り、 教育委員会が学校に弔旗
の掲揚や黙祷など弔意表明の協力を求めることがないよう、8 月 30 日の文科大臣の
発言の趣旨を周知徹底すること。
2 国葬実施にかかわって、各校の行事予定などの教育活動の変更をする必要はないこ
とを地方公共団体や教育委員会等の関係機関に周知徹底すること。
以上