【全教談話】 文部科学省事務次官ら幹部の処分、辞任にあたって

文部科学大臣任命責任、安倍首相の政治責任を厳しく問うとともに、憲法子どもの権利条約にもとづく教育政策への抜本的な転換を強く求めます

                   2018年9月26日
                   全日本教職員組合(全教)
                   書記長 小畑 雅子

 9月21日、文部科学省幹部が関わる贈収賄事件を受け、文科省の戸谷一夫事務次官引責辞任をしました。組織的な天下り問題による前事務次官引責辞任につづくものです。また、事務次官以外にも、初等中等教育局長が辞任し、高等教育局長及び大臣官房総務課長も処分されるという異常事態です。事件をめぐっては、9人の職員が民間会社役員から接待を受けていたことが明らかになっています。


 事件全体を通じて、官僚と政治家、大学、企業との癒着の構図が浮かび上がってきます。1998年に発覚した旧大蔵省の接待汚職事件を受けて、2000年に国家公務員倫理規程がつくられましたが、その時の構図と何ら変わっていないと言わざるを得ません。その上、今回の事件が、子どもたちの教育をつかさどる文科省が舞台であったことに、多くの国民が深い不信と失望感を抱いています。


 全教は、前局長の受託収賄事件に関わる逮捕にあたって、「今回の事件が、文科省の組織的な天下り問題が発覚した時期や加計問題で文科行政が問われていた時期と重なっていたことも看過できない問題」であると述べた上で、「財界の言うままに、『グローバル人材の育成』とそのための『大学改革』を、政治の力と補助金の誘導で大学に押し付けようとする安倍政権の大学政策が根本にあると言わざるを得ない」と指摘しました。子どもたちの豊かな成長・発達を保障する教育を求める国民の声に背を向けて、教育の目的を財界の求める人材育成にすり替える安倍「教育再生」を強引にすすめるもとでの事件であったことを改めて指摘せざるを得ません。


 林文部科学大臣任命責任が厳しく問われています。また、事務次官任命責任も含めて安倍首相の政治責任が問われる重大な問題です。


 全教は、林文部科学大臣任命責任、安倍首相の政治責任を厳しく問うとともに、徹底した真相究明、憲法子どもの権利条約にもとづく教育政策への抜本的な転換を強く求めるものです。

                          以上