教師の働き方も国際労働基準に
ワークライフバランスではなく
ディーセントワーク(人間的な労働)へ
ワーク・ライフ・バランスという言葉は、08年県人事委員会勧告の中で登場し、「仕事と生活の調和の推進に向けて休暇制度等の利用促進・時間外勤務の縮減等に取り組まれるよう」求めています。仕事と生活の調和を追求するものであって、働き方や労働の質に十分関わるものではありません。
これに対してディーセントワーク(decent work)は、1999年にILO(国際労働機関)が21世紀戦略として打ち出したものです。日本のように異常な働かせ方がはびこる中、「人間としての尊厳、自由、均等、安全の条件で、男女が生産的な好ましい仕事を得る機会を推進すること」を提唱しています。その中で次の4つの戦略目標を提起しています。
1 労働の基本原則と権利
2 雇用(男女が人間的な雇用と収入を確保できる機会の充実)
3 社会的保護(すべての人に対し、社会的保護を高め、保護範囲を広げる こと)
4 社会対話(三者構成主義―政労使―と社会的対話の強化)
ILOはこの目標をわかりやすく「ディーセントワークタイムー人間らしい労働時間を求めて」として、次の5つにまとめています。
1 労働者の健康によい労働時間である。
2 家族に友好的な、フレンドリーな、好意的な労働時間である。
3 男女平等を進める労働時間である。
4 それらのことを通じて生産的な労働時間である。
5 労働者の選択と決定が認められる労働時間である。
これを読んでいくと気づくように、人間らしい働き方として戦略1〜3を追求し、4によって実現させていくことが大事なのです。ここが「調和」との決定的な違いです。