2011年度から使用される小学校教科書ならびに2012年度から使用される中学校教科書採択に関する要請書

 貴職の日頃のご活躍に敬意を表します。
 私たちは、よりよい教育の実現を目指す県内の一教職員組合です。
 さて、今回の教科書検定結果を受けて、小学校教科書は、早いところでは5月末からの教科書展示会の開催が始まっています。そして8 月末までには、2011 年度から使用開始となる教科書の採択が県内各地で行われることになります。
 教科書採択にかかわっては、子どもの現実に日々向き合っている教職員の意向を尊重し、よりよい教科書が子どもたちのもとに届けられ、教職員や父母、保護者、何よりも子どもたち自身の努力と重ねて、充実した教育活動が展開される必要があります。この観点は、1997年3月に行われた閣議決定でも、「…教科書採択の調査研究により多くの教員の意向が反映されるよう、現行の採択地区の小規模化や採択方法の工夫改善についての都道府県の取組を促す」とされてきました。
 しかし、実際には、中学校における「つくる会」教科書をめぐる動きとも重なって、採択地域の広域化や教職員の意向を排除して「教育委員会の責任と権限による採択」が、全国で広げられてきました。この動きが、憲法の精神を蹂躙する教科書をいくつかの地域、自治体で採択する要因となったことは明らかです。同時に、こうした制度改悪のもとにあっても、多くの父母、市民、教職員の「よりよい教科書を子どもたちに」の声と運動は、憲法の精神と歴史の教訓に逆行する教科書を許さないという世論をつくり出してきました。
 2010年の教科書採択は小学校ですが、来年には中学校教科書の採択期を迎えます。教科書採択の公開と民主的な採択制度の実現、何よりも子どもたちの教育を充実させるにふさわしい教科書採択がなされることを切望し以下の要請を行います。

   記
1.採択にあたって現場の意向が反映できる方策を採ると共に、その意向を元に採択すること。
2.採択までの日程及び手続きを明らかにすること。
3.採択地区協議会の会議を公開し、あわせて議事録を公開すること。
4.採択地区協議会の会議を受けて教科書採択にかかわる教育委員会の会議を公開し、あわせて議事録を公開すること。