2007年度末人事異動に関する要求書

年度末人事は教職員の生活権と子どもたちの学習権に関わる重大間題であり、異動に際しては教職員の身分の尊重、待遇の適正化が深く配慮されなければなりません。また、「人事異動は教職員の勤務条件の変更」であることも明らかな事実であり、当然のことながら人事異動に関わる問題については組合との交渉により、その合意に達した事項によって、公正・明朗な人事異動を行うべきと考えます。
 
                     記

(1)〈朝令暮改〉の「教育改革」の押しつけによって、今、学校には制限のない諸要求の波が押し寄せ、一人一人の多忙状況は一層深刻化し、体調を崩す教職員が増加している。昨年度県教委が実施した 「勤務状況調査」の結果を踏まえ、改めてゆとりを持って本来の教育を行うという原則に立ち、増員・加配を含めて適正な人事配置(職場の年齢構成も含む)を行うこと。

(2)現場で多数見られる「定数内講師」の実態を改善し、一人でも多くの正規教員を配置するよう具体的計画を明らかにすること。

(3)異動は公正かつ民主的に行い、差別的人事は一切行わないこと。組合員の生活条件・教育計画をふまえ、『希望と納得』に基づく人事を行うこと。地教行法38条・39条に基づかない人事は絶対に行わないこと。
※ 校長は教職員の希望や状況をつかみ、教委に「具申」することになっています。教委は、必ずしも希望に添わないこともあるが、基本的にはその「具申」を尊重して人事を行うと例年回答しています。

(4)地域・子どもをよく知り、子どもの教育に責任を持てる教職員とするために、最低でも5〜6年は同一校勤務を保障すること。また、毎年指摘しているように新規採用からの10年間3校という形式的な異動はやめ、本人の意向を尊重した人事異動をすること。

(5)広域人事により家庭別居・遠距離通勤等、結果的に人権無視や生活破壊につながる人事は行わないこと。また、長時間通勤もないよう配慮すること。

(6)妊娠中、産休中、育休中の女性教職員に対する人事は本人の希望を尊重し、母性の保護を最優先させること。

(7)管外等への転出希望者については、本人の希望を重視し、それが実現するよう努力をすること。

(8)単なる形式に過ぎない「希望表明制度」は廃止すること。また、「市籍・県籍の選択」については、不利益のないよう配慮すること。また、「籍の固定化」による問題についても、その解決を図ること。
    ※ 静岡市浜松市政令市になったことにより、独自の人事権を持つようになりました。しかし同じ県内ですから、個々の状況や希望、生活上の変化などについて、十分配慮してほしいと要求しています。

(9)学校事務職員、養護教諭、栄養職員の異動に際し、広域人事とならないよう配慮すること。併せて、学校事務職員や養護教諭に関わる「複数校兼務」の解消や、複数校への「初任者指導」の廃止等についてもその実現を図ること。
    ※ 「一人職」人事では、例年教育事務所にも要請行動を行っています。

(10)法の趣旨に沿って60歳までの勤務を保障し、組織的・計画的な退職勧奨は絶対に行わないこと。本人から個別勧奨に応じない意思表示があった場合は、退職を絶対に強要しないこと。特に、女性教職員に対する差別的若年勧奨は絶対に行わないこと。
    ※ 退職の強要につながる行為は、法的に禁止されています。しつこく退職勧奨をしてきたら、断固拒否しましょう。 

(11)最近急増している精神疾患による特休・休職者の現場復帰に際しては、回復状況を慎重に見極めて復帰をはかるとともに、過度の負担等をかけたり退職に追いやったりせず、安心して職務に専念できるよう、地教委を通して校長を指導すること。
    ※ 小笠の先生であった尾崎さんの公務災害認定を求める裁判でも、天笠医師は、職場復帰については、十分慎重に行うことを意見書で述べています。

(12)昨年、東部地域であったような〈本人の希望を全く考慮しない人事〉は絶対に行わないこと。留任希望者を転任対象としたり転任希望者を留任対象とする揚合は、本人の意思の形成過程を大切にする観点から、本人の意向をしっかり打診し、『希望と納得の人事』を推進すること。

(13)人事異動の「個人希望調査」提出の時期が、年々早まってきている。人事異動方針が出される前に、「個人希望調査」を提出させる地域があったり、成績事務や面談準備の忙しい時期を承知で提出させたりするなど、提出時期に関わる問題も多い。そこで、適切な時期(12月末)に提出させるよう地教委を指導すること。
  また、西部地域においては、6月に異動希望を校長に伝えることになっているが、早急に是正するよう地教委への指導を強めること。尚、地域によっては「希望調査票」提出前に校長に「希望」を伝え、しかも校長が本人に対しその場で「希望」の変更をさせているという事態がまだ継続しているが、こうした不当な行為を生み出さないよう地教委を通して校長を指導すること。毎年、改善されないため、同じことを要求せざるを得ないのは、大変残念なことである。県教委の責任として、実効ある指導をすること。
    ※ まだ来年度以降のことなど考えられない早い時期に、異動のことを問われて困ったことはありませんか?

(14)2月中に異動の有無を組合員本人に知らせること。また、異動発表2週間前までに、内示を本人 と組合(分会)に必ず行うこと。その際、問題が生じた場合は本人や分会の要求に沿った解決が得られるよう最大限の努力をすること。
    
(15)校長・教頭の任用については、現場教職員からの信任があり、人格・見識ともに優れ、民主教育推進にあたる能力を有する者を充てること。尚、昨年も指摘したように、候補者になるには校長の推薦を必要とするという「実施要領」は見直しをすること。
    ※ 上司のパワハラが自殺の原因だとして労災が認められた民間の例が最近3例報道されています。静岡県の教員でも似たような事例があると聞いています。成果主義・評価制度が導入されると、パワハラが増えるという報告もあります。県教委の言う「勤務時間の適正化」やメンタルヘルスについての理解の面で、全く無知の管理職も多いように思います。「人格・見識に優れ」ていなければ、子どもも教職員もやってられないのですから、我慢しないようにしなきゃね。

(16)人事異動にあたっては、組合と誠意をもって協議すること。              以上